②国家防衛戦略

○新しい戦い方が顕在化○

 【2022年12月23日(金)1面】 文書では、日本を含む国際社会は深刻な挑戦を受け、新たな危機の時代に突入しており、インド太平洋地域では、国際秩序の根幹を揺るがしかねない深刻な事態が発生する可能性があり、日本がこうした動きの最前線に位置していると記した。

 また、今年は米国も新たな国家防衛戦略を策定しており、「日米の戦略を擦(す)りあわせることは時宜にかなう」としている。

 さらに、戦略環境の変化に伴い、新しい戦い方が顕在化しているとし、具体的には(1)精密打撃能力による大規模なミサイル攻撃(2)情報戦を含むハイブリッド戦(3)宇宙・サイバー・電磁波領域や無人アセットを用いた非対称的な攻撃(4)核兵器による威嚇(いかく)も生起―を挙げた。

<ここから2面>

○「安保環境」の創出○

 【2022年12月23日(金)2面】 その上で、防衛の基本的な考え方について言及。中国やロシアなどの例を踏まえ、力による一方的な現状変更を許容せず、こうした試みには抑止・対処し、早期に事態を収拾する「安保環境」を創出すると記した。

画像: 隊列を組む中露艦艇(統幕提供)

隊列を組む中露艦艇(統幕提供)

 そのためには、力による一方的な現状変更が困難であることを認識させる抑止力や、相手の能力に着目した防衛力を構築する必要があるとしている。

 具体的には、(1)スタンド・オフ防衛(高速滑空飛翔(しょう)や極超音速飛翔などの迎撃困難な能力の強化)(2)統合防空ミサイル防衛(3)無人アセット防衛(無人装備をAI=人工知能=や有人装備と組み合わせ、非対称的な優勢を獲得可能)(4)領域横断作戦の各能力のほか、(5)指揮統制・情報関連機能、(6)機動展開能力・国民保護、(7)持続性・強靭(きょうじん)性(必要十分な弾薬・誘導弾・燃料を早急に保有、自衛隊員の継戦能力向上のため、衛生機能も強化)―の7つが必要だとしている。

○弾薬、燃料の確保○

 こうしたことを受け、5年後の2027年度(令和9)までの最優先課題として、今ある装備品を最大限活用し、稼働率を向上させ、弾薬や燃料の確保、防衛施設の強靭化を加速させることなどを挙げている。

 また、「国を守るためには自衛隊が強くなければならない」とする一方で、外交力や情報力、経済力、技術力を含め国全体の防衛体制を構築するとともに、政府と地方公共団体、民間団体などとの協力を推進するとしたほか、宇宙・サイバー・電磁波領域の能力を防衛力に直結するよう政府全体で強化することを目指すとしている。

○共同抑止・対処を強化○

 日米同盟による共同抑止・対処についても言及。「わが国への侵攻が生起した場合には、日米共同対処により侵攻を阻止する」としたほか、同志国などとは地域や各国の特性などを考慮した多角的・多層的な防衛協力・交流を積極的に推進するとしている。

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【安保3文書 記事】
(①国家安全保障戦略)安保3文書が閣議決定 「反撃能力」を保有
(③防衛力整備計画)防衛費 5年間で43兆円規模
岸田首相が会見「戦後の安保政策 歴史的に転換」
浜田防衛相「反撃能力行使のタイミングは『武力攻撃に着手した時』」


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