習志野駐1空挺団(団長・戒田陸将補)の「降下訓練始め」が1月12日、河野太郎防衛大臣や髙橋憲一防衛事務次官、山崎幸二統合幕僚長、湯浅悟郎陸幕長、髙田克樹陸上総隊司令官らが視察する中、同駐と習志野演習場で実施された。「日米空挺の絆」をテーマに、空挺団や陸海空部隊の隊員約600人、在日米陸軍の1特殊部隊群や在アラスカ州の25師団4歩兵旅団戦闘団、在ノース・カロライナ州の18空挺軍団82空挺師団の約80人のほか、米空軍5空軍374空輸航空団が参加した。
訓練展示を前に、河野大臣は高さ11メートルの飛び出し塔からのパラシュート降下訓練を体験。迷彩服姿で命綱を装着し、「河野太郎、頑張ります!」の掛け声とともに飛び降りた。過去の防衛大臣で降下訓練を体験したのは、陸自レンジャー教官を務めた経験のある中谷元氏のみ。自衛官未経験者としては初となった。河野大臣は体験後、「隊員の先頭に立つと日ごろ言っているので、ちょっと気合を入れてやりました」と記者団に話した。
一般来場者約1万人が見守る中、隊員たちは「島嶼防衛」を想定した作戦の訓練を展示。海自のP3C対潜哨戒機とLR2連絡偵察機による情報を基に、先遣隊としてCH47輸送ヘリコプターから日米隊員が上空約1000メートルから自由降下した。続いて米陸軍のC130J輸送機で空挺隊員が上空約340メートルから空挺降下を披露。第1次目標線を確保するため、主力部隊の隊員が空自のC130HやC1、C2各輸送機から降下し迅速に第1次目標線を確保した。その後、ヘリボン部隊や水陸両用車などの支援を得て第2次目標線を確保した。残存する敵勢力に対しては、16式機動戦闘車や90、10式両戦車で前進し、特科部隊と共に海空優勢を保った。見学者は迫力ある展示に圧倒された様子だった。
河野大臣は訓示で、昨年の台風などにおける災害派遣活動や日ごろの努力に感謝を述べた後、「北朝鮮は昨年も相次いで弾道ミサイルの発射を行い、関連技術の高度化を図っており、その軍事動向はわが国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威だ。中国は軍事力を広範かつ急速に強化しつつ、わが国周辺の海空域における活動を拡大、活発化させている」と指摘。その上で、「諸君一人ひとりが果たすべき責務は一層重く、国民からの期待もより大きなものとなっている。空挺団長の統率の下、あらゆる段階・事態に対処可能な能力の構築に向けて邁進(まいしん)することを望む」と隊員を激励した。
その後、河野大臣の立ち合いの下、日米両空挺部隊員が互いに相手の胸に空挺徽章(きしょう)を付け、固い握手を交わし絆を深め合った。
千葉県船橋市に住む来年度入隊予定の20代男性は「空挺に憧れて入隊を決意しました。今日その姿を見て、改めて自分も頑張ろうと思いました」と話し、東京都練馬区から見学に訪れたの20代女性は「友人に誘われて初めて来ました。とてもかっこよく、自衛隊員を頼もしく感じました」と語った。
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陸上自衛隊 第1空挺団
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