【2023年1月17日(火)1面】 陸自のパラシュート部隊・1空挺団(団長・若松陸将補)の「降下訓練始め」が1月8日、習志野演習場(千葉県船橋市など)で行われた。訓練は、島嶼(しょ)部防衛を想定。平成29年から参加している米軍に加え、今回は英国、オーストラリア両軍の部隊も初めて参加し、自衛隊との連携を確認した。浜田靖一防衛大臣や米英豪の指揮官らが視察したほか、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、一般公開されるのは3年ぶりで、約9500人の一般見学者が訪れた(編集部・宇野木淳一、2面に写真グラフ)

米軍、初参加の英豪軍との作戦展開

 訓練には、自衛隊約1000人(うち海空自約20人)のほか、米軍から陸海空約70人、英軍から約20人、豪軍から約10人がそれぞれ参加。空挺作戦やヘリボン作戦などにより、不法に占拠された島嶼奪回作戦として行われた。

 まず、大型輸送ヘリCH47から1空挺団の指揮官と最年長、最年少隊員が空挺降下を実施。続いて英陸軍と米陸軍、豪陸軍の指揮官らが降下した。

 続く自由降下訓練では、1空挺団本部中隊、米陸軍第1特殊作戦部隊群第1大隊、豪陸軍空挺学校、英陸軍第16空中強襲旅団降下誘導小隊の隊員が降下。占拠された離島での緊急展開が繰り広げられた。

 空挺作戦では、P3Cによる航空偵察、先遣部隊の自由降下、F2(設想)のCAS(近接航空支援)や艦砲(設想)による統合火力、対戦車ヘリAH1Sによる降着地域の制圧などが行われた。空挺降下が可能と判断されると、C130Jなどから主力部隊が次々に降下し、上空がパラシュートで埋め尽くされた。

 ヘリボン作戦では、残存する敵に対してヘリ火力を発揮して、敵警戒部隊の進出を阻止。続いて多用途ヘリUH1Jが地面に着陸させることなく、搭乗した狙撃班が飛び降りて地上に展開。さらに、CH47からつり下げられたLAV(軽装甲機動車)が地上に接地すると、戦闘に参加して部隊の増強を図った。迫力ある航空機や車両、統制の取れた隊員の行動など臨場感ある展示に見学者は圧倒されていた。

 また、離島の奪回となる地上作戦では、まず電子戦を実施するネットワーク電子戦システム・NEWSが進入し、電波の収集・分析を行った。

 併せて島嶼防衛を任務とした水陸機動部隊がAAV7(水陸両用車)により上陸するとともに、即応機動連隊が上陸・展開。続いて奪回した離島を確保するために対空戦闘部隊と対艦戦闘部隊が上陸し、対空態勢・対海上態勢を確立した。

 その後、米英陸軍の来援による空挺部隊の降下が展開され、米英陸軍27人のパラシュートが大空を舞った。

画像: 訓示で、隊員を激励する浜田防衛大臣(防衛省ホームページから)

訓示で、隊員を激励する浜田防衛大臣(防衛省ホームページから)

防衛大臣「強固な協力・連携を示す」

 浜田大臣は訓示で、「精鋭無比という部隊標語通りの高い士気と技量を示してくれたことを大変心強く感じる。陸上自衛隊唯一の空挺部隊としてその誇りを胸に、全力で職務に邁進(まいしん)してもらいたい」と評価。会見では「今回は米軍に加え、新たにオーストラリア軍やイギリス軍が参加するなど、同盟国・同志国との強固な協力・連携を示すことができた」と述べた。

 また、全ての訓練終了後、相互の空挺徽(き)章を交換する「空挺徽章交換式」も行われ、他国と共同して降下した空挺隊員としての絆を深めた。

→紙面(2面)に掲載したフォトグラフを見る

画像2: 1空挺団が「降下訓練始め」離島奪回を想定

This article is a sponsored article by
''.