航空祭開催中にホットスクランブルが発生した千歳のまちの航空祭
令和6年(2024年)9月15日(日)、航空自衛隊千歳基地と千歳市内グリーンベルトお祭り広場において千歳のまちの航空祭が開催された。千歳基地航空祭のサブタイトルだった千歳のまちの航空祭がメインタイトルとなって2回目の同航空祭だ。
千歳飛行場は再来年の令和8年に開港100周年を迎える。航空祭の名前を変えたのもその序章であろうか。今年はそれに先立ち航空自衛隊が創設70周年を迎え、千歳基地第2航空団隷下の第203飛行隊は創隊60周年を迎えた。60年前といえば昭和39年の東京オリンピックの年にあたる。戦後冷戦下で北の空の守りを固め続けてきたのが千歳基地だ。
平成5年(1993年)からは政府専用機を運用する特別航空輸送隊を配置し、平成31年(2019年)にはB747-400型機からB777-300ER型機に機種更新し、昨年令和5年(2023年)に30周年を迎えた。
生憎の曇り空で航過飛行の5区分になってしまいましたが、これはこれで珍しい組み合わせではないでしょうか?
今年の目玉は第203飛行隊の60周年記念塗装機のほか、航空自衛隊70周年を記念してか政府専用機とF-15の異機種混合編隊が見られた。三沢基地からはF-35Aもリモート展示で飛来した。
またブルーインパルスの展示飛行中とサイン会中には、航空祭当日にも関わらずホットスクランブルが発生した。T-4ブルーインパルスになってから展示飛行中にホットスクランブルがかかった事態を聞いたことがない。
この8日後の9月23日にはロシア機による領空侵犯があり対領空侵犯措置としてフレアによる警告発信が行われた。令和5年度のホットスクランブル数は全国で669回、そのうち千歳基地を含む北部航空方面隊は112回だった。隣接した新千歳空港の過密な離着陸を管制しながらホットスクランブルや訓練でのレーダー管制および飛行場管制を担うのは千歳管制隊だ。ホットスクランブルは「緊急発進」を意味し、発令からわずか5分以内に離陸していく。その主任務は「対領空侵犯措置」であるが、まれに地震発生時などの「災害派遣」でもいち早く情報収集するために緊急発進していく場合がある。
基地所属機や他基地から多くの空自保有機が参加した千歳のまちの航空祭
例年8月初旬の開催が9月中旬となった。秋の北海道らしい肌寒い朝、朝6時の気温は15.8℃だった。
会場中央にはF-15JとUH-60Jが並んでおり、航空自衛隊70周年記念と千歳のまちの航空祭のロゴのステッカーが貼られていた。地上展示機には、松島基地航空祭でも展示されていたEC-1や、赤白のT-4も来ていた。陸上自衛隊からは要人輸送ヘリEC-225LP スーパーピューマも地上展示された。早朝より入場すると、オープニングフライトを行うF-15や政府専用機、救難のU-125AとUH-60Jが離陸した。
航空祭の開催ありがとうございました。令和6年度千歳のまちの航空祭 9月15日(日)で撮影しました。久しぶりの戦闘機撮影で失敗写真が多かった中、比較的綺麗に撮れた写真をお送りします。
男子トイレの長い行列に焦りました。エンジンの取り外しを見て、急いでトイレを済ませ、会場に戻ると直ぐにブルーインパルスの展示飛行が始まりました。間に合って良かった~
この写真の後、後席パイロットの方がヘルメットを外してビックリ!ニュースで紹介されていたパイロットさんでは?
当日はあいにくの曇り空で、アクロバット飛行はありませんでしたが、一糸乱れぬ編隊飛行は、曇り空をブルーインパルス色に染め多くの観衆を釘付けにしました。
また、北海道出身の2名のパイロットが飛行した事もあり、会場は大いに盛り上がりました!
ブルーインパルスに詳しくない私でも、ワクワクドキドキが止まらないで最高の1日でした。
8:45からのオープニングセレモニーでは、F-15x2機によるオープニングフライトに合わせテープカットがされた。その後、B-777政府専用機の展示飛行に続き、異機種混合編隊で政府専用機をF-15x2機がエスコート中、これにT-4とU-125Aが続く航過飛行を見せた。
救難訓練展示やデモスクランブル&タクシーとF-35Aの展示飛行もあり、その間、ブルーインパルスのメンバーもランプ地区に現れ、午後のグリーンベルトでのサイン会とは別にファンサービスに立った。
F-2Bは松島基地から展開しF-2飛行時間3300時間を超える教官パイロットによる機動飛行が披露された。F-15の機動飛行では第203飛行隊の60周年記念塗装機を含むF-15J×2機が飛んだ。
ブルーインパルスは航過飛行を展示、途中ホットスクランブルで中断も
午後のブルーインパルスは12:30頃からのウォークダウンでスタートした。1番機から4番機がインディビジュアルテイクオフで離陸し、5番機と6番機はフォーメーションテイクオフで離陸した。
正面からの1番機から4番機によるダイヤモンド・ダーティ・ローパスでスタートした展示飛行は曲技飛行の天候条件を満たさず航過飛行となった。
正面からデルタ・ローパス、左からデルタ・ローパス。ここで展示飛行が中断され、実際のホットスクランブルのためF-15J×2機が離陸した。
展示飛行を再開し、リーダーズ・ベネフィット・ローパス、ポイント・スター・ローパス、スワン・ローパス、グランド・クロス・ローパス、エシュロン・ローパス、ピラミッド・ローパスで終了した。
1番機の川島良介3空佐(北海道北見市出身)と4番機の佐藤裕介1空尉(北海道札幌市出身)は地元北海道での凱旋フライトとなった。ナレーターは6番機練成の浅香光司1空尉(6番機TR)が務めた。
ブルーの飛行の直前雲が急に低くなり、急遽アクロは中止になりました。
別会場のグリーンベルトではトークショーも開催された
JR千歳駅に近い別会場のグリーンベルト・イベント広場ではブルーインパルスのパイロットによるトークショーとサイン会が開催された。物販スペースや体験&ワークショップ、特別航空輸送隊のイベントスペースも設けられた。北部航空音楽隊の演奏会も実施された。
ブルーインパルスパイロットのトークショーとサイン会で司会進行を務めたのは特別航空輸送隊隊員たちだった。パイロットの自己紹介・タックネームの由来などが紹介され、時には笑いも起こる楽しいトークショーとなった。このトークショー中にも、F-15×2機のホットスクランブルがかかった。
航空祭では模擬ホットスクランブル展示でその任務を垣間見ることがあるが、この日は航空祭当日にホットスクランブルが2回もかかるという異常な事態となった。以前に千歳基地航空祭前々日の金曜日に5回のホットスクランブルに出くわしたことがあったが当日のしかもブルーインパルスの展示中というのは前代未聞だ。
24時間365日休みなく対応するため航空自衛隊とそれを支える地元の方々のご理解・ご協力に心から感謝申し上げたい。
伊藤宜由の“のりさん写真館”
千歳のまちの航空祭の雰囲気が伝わるように我らが“のりさん”こと伊藤宜由の写真をアルバムにしてみました。是非ともご覧ください。
読者投稿受賞作品(防衛日報社賞)
応募で防衛日報社賞に輝きましたのは、どさんこさんの「グリーンベルト会場でのサイン会に対応する第11飛行隊長の江尻卓2空佐」です!
どさんこさんには防衛日報社賞の記念品を贈らせて頂きます。