お疲れ様です。元消防士の「よろずの発信局」です。
今回はInstagramでリクエストがあったテーマをお届けします。
内容は、「過呼吸になった際に担任の先生がペーパーバック法をしてきてとても苦しかった。
正しいやり方をよろずさんに投稿してもらいたい」というものです。
過呼吸の適切な対応を紹介していきます。
・そもそも過呼吸とは?
不安や緊張に襲われたときに、突然胸が息苦しくなり、息を吸っても吸っても改善されない状態になることです。
過換気症候群と呼ばれます。
ときには手足のしびれ、けいれん、意識を失うこともある症状です。
・なぜ起きるか?
不安や恐怖、緊張など精神的なストレスにより発症します。
几帳面な性格や心配性の性格の方は発症しやすい傾向です。
また、精神的な面だけでなく肉体疲労や睡眠不足でも発症します。
・症状は?
・窒息しそうな息苦しさ
・呼吸数の増加、荒くなる、ハーハー
・手足のしびれ
・口のまわりのしびれ
・めまい、嘔気、冷汗
・動悸
・脈がはやい
悪化するとけいれんや意識消失することあり。
・従来の過呼吸の対応
従来の過呼吸の対応はペーパーバック法
と呼ばれるものです。
ペーパーバック法とは鼻と口元を紙袋で覆うことで、吐いた息を再度吸い込む方法
です。
血液中の二酸化炭素濃度を上げる目的で行われます。
この方法の問題点は3つあります。
①窒息死の危険
紙袋で二酸化炭素濃度の高い空気を吸うことになるので低酸素血症や窒息死の危険が出てきます。
これは一度人の吐いた呼吸は酸素が16%程度になるからです。
16%とは酸素欠乏症の症状が出始める濃度であり人体に有害な酸素濃度となります。
実際に海外では死亡事故発生しています。
また、純粋に紙袋の息を吸い込むのが苦しいです。
②他の病気の可能性がある
過呼吸の症状は心筋梗塞や肺塞栓症などと似ています。
実際は過呼吸ではない病態なのにペーパーバック法を取ってしまえば対応が遅れてしまいます。
③病態の原因が精神面ではないかと見直されてきた
ペーパーバック法で生理学的な対応ではなく、本人の精神を落ち着かすことに重きを置くようになってきた
ことも推奨されなくなった理由です。
・適切な対応
適切な対応を一言で表すと『呼吸のリズムを正常に戻す』
です。
当人の精神的な不安を解消させながらゆっくりと小さな呼吸で正常なリズムに戻していきます。
>具体的には?
・息を吸う、吐くを1:2の割合で行う
・一回の呼吸に5秒ぐらいゆっくり行うように伝える
・周囲の人間は慌てない、過剰な心配もしない、周りが慌てるほど悪化する
・背中を押してあげるのも効果的!
・救急車は呼んでよいか?
過換気症候群と似たような病態がたくさんあります。
とはいえ、過呼吸は長くとも1時間程度では収まると言われています。
それ以上症状が続く場合は危険な病気のサインかもしれません!
遠慮せず救急車を呼びましょう!
ヤバいと思ったら救急車は鉄則です!
まとめ
・過呼吸で命の危険になることはない
・周りは落ち着いて行動する。
・ゆっくり小さな呼吸で普段の正常なリズムに戻す
・症状が収まらなければ遠慮せず救急車を呼ぶ
特に教師や公安職など命を預かる立場の人間はこういった知識は常に更新していきたいですね!
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