はじめに

 みなさんこんにちは。ヨメナルドです。

 明日3月11日は、震災から10年目の日です。震災の次の日から、報道等では避難所や高台に避難している方々の模様が映し出されていたのを覚えている方もいるかと思います。かく言う私も、実の姉や親戚の安否がわからずに、テレビやネットで必死に避難所の様子を観ていました。

避難所に逃げて、津波の犠牲に

 しかし、実は、東日本大震災の発災直後に避難所に逃げて命を落とした方々も少なくありませんでした。陸前高田市では、「市が指定した一次避難所 67か所のうち38か所が被災し、一次避難所で犠牲になった人が推計303人から411人おり、特に市民会館や市民体育館に避難した市民や市職員の多くが犠牲となった。」(陸前高田市『陸前高田市東日本大震災検証報告書』)との検証結果があります。

「指定緊急避難場所」「指定避難所」を明確に指定することに

 このような悲劇を起こさないため、国は、平成25年6月に災害対策基本法の改正を行い、新たに「指定緊急避難場所」と「指定避難所」に関する規定を設けました。

 内容として、
・災害時における緊急の避難場所と、一定期間滞在して避難生活をする学校、公民館等の避難所とを区別する。
・避難場所は、洪水や津波などの災害の種類ごとに安全な場所を指定しなければならない。

というものです。

「指定緊急避難場所」と「指定避難所」の違い

画像: 図1 指定緊急避難場所データ 「指定緊急避難場所と指定避難所の違い」 国土地理院 www.gsi.go.jp

図1 指定緊急避難場所データ 「指定緊急避難場所と指定避難所の違い」

国土地理院
www.gsi.go.jp

 図1のように、指定緊急避難場所は災害から身を守るために緊急的に避難する場所で、土砂災害、水害、津波、地震などの災害種別ごとに指定されます。災害に対し、安全な構造である堅牢な建物や、災害の危険がない学校のグラウンドなどが指定されています。
 対して、指定避難所は災害の危険があり避難した住民等が、災害の危険がなくなるまで必要期間滞在し、または災害によって自宅に戻れなくなった住民等が一時的に滞在することを想定した施設です。例として 学校・体育館・公民館等の公共施設があります。

 実は、東日本大震災以前は、避難所と避難場所は、必ずしも明確に示されておらず、また、災害ごとに合わせた安全な避難場所も指定されていないこともありました。その結果、3月11日の発災直後に避難場所に逃れたものの、避難施設に津波が襲来して多数の犠牲者が発生しました。避難場所の曖昧さが、被害拡大の一因となったのです。

自治体によって呼び方の違いも

 この法律の改正により、全国の自治体は避難場所・避難所を明確に区別し指定しています。しかし、自治体により避難所・避難場所の名称に違いがあります。一例として、東京23区の防災マップやハザードマップに記載されている避難先の名称をまとめてみました。

画像: 東京23区の指定避難所・指定緊急避難所とその名称

東京23区の指定避難所・指定緊急避難所とその名称

 表のように、避難所・避難場所の呼び方は様々です。中には、浸水の可能性が高く、避難所の指定がない区もありました。

 また、高齢者や、障害者その他の特別な配慮を必要とする要配慮者を受け入れるための設備、器材、人材を備えた避難所の「福祉避難所」や、避難場所に避難する前に、近隣の避難者が一時的に集合する場所の「一時集合場所」(一時の読み方は「いっとき」です)、自主避難施設等が記載されている自治体もありますので、ご自宅や通勤・通学先の自治体の防災マップやハザードマップを確認してみてください。その際は、名称の解説にも目を通しておくことをおすすめします。

災害により見る地図が変わることも

 上にも書いた通り、自治体は災害ごとに安全な避難所・避難場所を指定し、防災の地図上に記載しています。しかし、今回調べてみたところ、その地図も、自治体によって様々で、

① 「防災マップ(防災地図)」と「ハザードマップ」の二種類が存在する自治体
② 一つの地図に集約している自治体

が、ありました。

 二種類の地図がある自治体の場合、防災マップ(防災地図)は主に地震や津波、火災を想定して作成されており、ハザードマップは、洪水や土砂災害などの水害に対し作成されていました。一つの地図に集約している自治体は、災害別に利用できる避難所等を表にまとめているところが多い模様です。

全国の避難場所を調べられるサイト

 災害の種類によっては、いつ起こるか予測できないものもあります。そのため、緊急的に避難する避難場所くらいは確認したいものです。コロナにより制限されていることもありますが、旅行や出張など移動の多い今の時代、行く先々で万が一に備えて避難場所を確認しておくことができればベストです。しかし、その度に該当の自治体の防災マップ等を確認するとなるとかなり手間がかかります。

 その時に便利なのが、国土地理院の「指定緊急避難場所データ」です。

画像: 図2 指定緊急避難場所データ閲覧画面

図2 指定緊急避難場所データ閲覧画面

 指定緊急避難場所データを開くと、左側で災害別の指定緊急避難場所を選択できるようになっています。図2では、地震の際の指定緊急避難場所を選択し、表示しています。

 このサイトを利用すれば、全国地図での指定緊急避難所を確認できます。しかし、一つ注意点があります。国土地理院へ指定緊急避難場所のデータが未提出の自治体もあり、閲覧したい自治体に避難所マークがない場合もあります。

 その際は、「わがまちハザードマップ」を利用することにより、自治体のハザードマップに直接アクセスし、避難所の確認をすることができます。「わがまちハザードマップ」は、下記のサイトからアクセスすることができます。

まとめ

 避難場所と避難所の違いについて、皆さん知っていたでしょうか? 二つは似ている言葉ですが役割が違いますし、さらに自治体によって名称も変わってきますので、戸惑ってしまうかもしれません。

 3月11日が近いこの機会に、この記事を見て下さった皆さんには、自宅や学校・職場の近くの避難所の場所を確認して頂き、そして「安心」と「安全」を少しだけでも増やしてほしいと思います。

参考文献:
・佐々木昌二『最新 防災・復興法制 東日本大震災を踏まえた災害予防・応急・復旧・復興制度の解説』第一法規
・陸前髙田市『陸前高田市東日本大震災検証報告書』http://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/kategorie/bousai-syoubou/shinsai/kshoukokusyo.pdf  閲覧日:2021年3月7日
・内閣府 『平成27年版 防災白書』
・国土地理院「指定緊急避難場所データ」https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/hinanbasho.html 閲覧日:2021年3月7日

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