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永遠の図書室通信 第50話「人物・飯塚浩」(終)
「永遠の図書室通信」も今回で50回。1年がだいたい52週らしいので、約1年コラムを連載してきたの!? と思うと自分でも驚きます。ましてやこれまで文章関係のお仕事をしたことはなかったので、なおさら不思議な気持ちでいっぱいです。
さて、今回ご紹介するのはカテゴリ「人物」より、飯塚浩氏についてご説明しようと思います。「人物」棚はとっくの前に終わったはずでは?と思った方はきっと図書室通信を長く読んでくださっている方。そうです。あえて後回しにしておりました。
それでは皆さん、飯塚浩という陸軍大尉をご存じでしょうか。
おそらく知らない人の方が多いと思います。歴史の教科書に載っているわけでも、自伝が出...
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永遠の図書室通信 第49話「手記・証言・談話」
さて、永遠の図書室の本はコーナーごとに分かれていますが、その冊数はさまざま。数えるほどの冊数のコーナーもあれば、棚を丸々一個使ってしまうコーナーもあります。その中の一つがこの「手記・証言・談話」コーナー。年々戦争体験者の数は減少していますが、戦争を体験した人たちが書き遺した本というのは、本人が亡くなっても何年、十何年、保管状態が良ければ何十年先でも残り続けます。文章は生き続ける。本とは、歴史と人とをダイレクトに繋ぐものでもあるのです。
さて、このコラムで私が何度も書いている「生の声は貴重」という言葉。「手記・証言・談話」はそんな生の声が集まっています。一人ひとりが経験し、その眼で見た戦争...
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永遠の図書室通信 第48話「特攻」
さて、今回のテーマは特攻。特別攻撃・特殊攻撃の略です。元々は普通の攻撃以外のものを特攻といったそうなのですが、現在多くの人に知られている意味で使われ始めたのは神風特攻隊からなのだとか。つまり、自爆……死ぬ前提での攻撃ですね。
現在の価値観から考えるとかなり非人道的ですが、当時の日本はかなり追い詰められていました。デッドオアアライブという言葉がありますが、日本はその時「ここから巻き返して勝つか玉砕か」でした。もちろん降伏の二文字は辞書から消しました。
そこで思いついた作戦が「どうせ死ぬなら敵も道連れにして死んでやろう」というもの。これが特攻でございます。
人道面から見ても効率面から見てもよ...
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永遠の図書室通信 第47話「小説」
ついにやってきました、今回のテーマはずばり「小説」。
小説といってもその種類はさまざま。恋愛小説、青春小説、ミステリーにホラー、SF、伝奇に歴史、など多種多様のジャンルがあります。以前このコラムでも私小説と実名小説、エッセイの話をしましたが、それだけ「小説」という枠内で出来ることは多いのです。なんだったらノンフィクションやルポルタージュと銘打つよりも自由度が高いと思うのです。
そこで今回は「小説」棚よりおすすめ本を紹介。ここにとりかかった時、「よーし!やっと『帰らざる夏』の話ができるぞ!!」なんてはしゃいでしまったものですが、よくよく考えてみたら以前の読書感想文回で紹介していましたね……...
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永遠の図書室通信 第46話「世界の戦争・歴史」
世界はなんだかんだで広いものです。
その広さの全部を見ることって、多分世界一周した人でも難しいのだと思います。今があり過去があり、この地球にある世界という概念の中には人の歴史があり、文化があり、生活があります。更に生物全般にも目を向ければ、それはもう途方もない事でしょう。
私たちが地球の裏側のことについてあんまり詳しくないように、地球の裏側の人達も私たちのことをあんまり知らないのかもしれません。
とはいえそんな広い世界で、すべてを見れないからといって嘆くことはありません。
このコラムでも何度も言っているように、「知る」ことで広がる視野もあります。百聞は一見に如かずなんて言いますが、それで...
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永遠の図書室通信 第45話「沖縄・原爆・空襲」
戦時中における兵たちへの呪いの言葉として、歪曲された「生きて虜囚の辱めを受けず」があります。
戦陣訓ではこの一節の後にも言葉が続いているのですが、勝手に独り歩きしてしまうのが言葉の恐ろしいところ。恐らく作った本人でさえ意図していなっかった方向へ行き、まるで生が呪いであるかのような風潮を生み出しました。実際この呪いが広まったことで「実際捕まった時、尋問に対する訓練をそもそも行っていないので敵に情報を渡してしまう」という見事な粗も生み出しているのですが、それは少し横に置いておきましょう。
とはいえ全部が戦陣訓のせいというわけでもなく……こちらも以前第十八回にて紹介した「葉隠」などもあり、日本...
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永遠の図書室通信 第44話「日清・日露・第一次世界大戦」
日清戦争。日露戦争。第一次世界大戦。
これら三つは第二次世界大戦の前に起こった戦争の数々です。基本的に歴史というのは過去が現在に、現在が未来に影響を起して変わっていくものですが、これらが無ければ第二次世界大戦も違った形であったかもしれません。
そういう意味では本当に重要な戦いなのですが、そのわりに一般的にひろく認知されているのは第二次世界大戦の方。規模も大きく、日本も濃いかかわりを見せ、なおかつ経験者が語る場もあるのですからこちらが知られているのは当然です。
体験記の少ない明治・大正の戦争
しかし日清・日露・第一次世界大戦といえば圧倒的に経験談というものが少なく、同じ近代史でありながら少...
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永遠の図書室通信 第43話「中国・満州・関東軍」
某日、私はほぼ白紙のWordと睨み合っていました。
こういうのは珍しくありません。なんだかんだ言いつつ、毎週迷い悩み、ウンウン唸ったりしながら書いている記事なのです。
とはいえすんなり書ける時だってあります。そういう時はたいていテーマがはっきりしていたりだとか、書きたいことがもう決まっている時だとか、これだ!って本が見つかった時だとか。
そして今回のテーマも正直悩んでいました。中国という大きな国で起こったこと、満州という傀儡国家、そして色々と言及されることの多い関東軍。
下準備という意味で、あまりにも情報処理の量が多すぎる。というか捌ききれる気がしない。
本のジャンルもテーマで集められて...
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永遠の図書室通信 第42話「太平洋戦史」
太平洋戦争。またの名を大東亜戦争。今まで戦地の話や戦地に出向いた人の話、指揮官や軍の話の話などを書いてきました。今回はそんな「太平洋戦争」そのものについて書かれた本を紹介していこうと思います。珍しくマクロな視点から、この太平洋戦争について見てみることとしましょう。(余談ですがこの一文を書くためだけにマクロとマイクロについて調べました。フレーズとしてはよく聴いてたんですが……)
なぜ太平洋戦争は起こったのか
まず最初に紹介するのはこちら。
「写真 太平洋戦争」
皆さまよくご存じかもしれない、あの有名な雑誌「丸」の編集部が纏めたシリーズで、全十巻が発刊されています。当館にあるのは三巻まで。
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永遠の図書室通信 第41話「女性・子供の戦争・暮らし」
戦時中、戦っていたのは兵隊さんだけではありません。
夫の代わりに家を守っていた母親も、幼いながらに逞しく生き抜いていた子供も、なんだったら老若男女問わず、当時の人間は厳しい状況下の中で必死に戦い抜いていました。今回はそんな彼ら彼女らにとっての戦争についての本をご紹介したいと思います。
知れば知るほど面白い、それが昭和史
まず最初にご紹介するのがこちら。
「暮らしの中の太平洋戦争 -欲シガリマセン勝ツマデハ-」
「少国民」シリーズでおなじみ山中恒氏。彼が今回描いたのは戦時下の庶民たちの暮らしについてです。ガソリンを使わずに走る「薪自動車」の話、贅沢は敵だとされた中で、どんな結婚式や披露宴を...
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永遠の図書室通信 第40話「著者 司馬遼太郎」
さて著者シリーズも八回目、今回で終わりとなります。ここまで様々な著者を紹介してきました。文体も違えばフォーカスする人物も違い、性格も体験もそれぞれ違っていました。
そんな著者シリーズを飾るのはずばり、司馬遼太郎氏。司馬氏については軽い説明はもはや無用でしょう。たくさんの歴史小説を書き上げ、その多くが映像化・コミカライズなどでも発信されています。「竜馬がゆく」や「坂の上の雲」そして10月15日に公開された「燃えよ剣」など有名タイトルも多いですね。岡田准一さんの土方さん、見に行きたいなあ。
ちなみに私は氏の作品だと「新撰組血風録」が好きです。土方さんが山崎に「(この件に)手を出せ」と言ったら...
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永遠の図書室通信 第39話「著者 児島襄」
さて、まず私は今回ご紹介する作家さんに謝らなければいけません。
というのも半年ほど、今回ご紹介する著者のことを「こじま・じょう」と誤読していたからです。実際の読み方は「こじま・のぼる」。名前の読み間違いは誰にでもあることだとは思いますが、間違えられたら嫌な思いをする人もいると思います。
児島氏はその最たるものだったらしく、本人の前で「こじまじょう」と読まれたものなら本気で殴り飛ばす、なんてことがあったのだそう。ちなみにかなりの巨漢だったそうなので、おそらく私なんぞは一瞬で吹き飛んでしまうでしょう。基本的に著者シリーズの導入部分は作家自身の人柄だったり作品の傾向を書きがちなのですが、今回ば...