令和6年(2024年)9月23日(月)、秋分の日翌日の振替休日に、令和6年度小松基地航空祭が開催された。
台風14号が接近し当日まで気の抜けない状況の中、当日は台風一過で通り過ぎているのではないかなどと楽観的な期待もし、さらに台風が温帯低気圧に変わったと安堵(あんど)した矢先に、温帯低気圧に刺激された前線から線状降水帯が発生し、今年1月1日の地震災害から間もない能登半島を直撃した。航空祭2日前の9月21日(土)のことだった。
台風14号の経過を見守る中、ブルーインパルスファンネットには沖縄在住の米国人のファンから航空祭が開催されるのかたびたび問い合わせが入った。沖縄から見に来るのだという。
「開催はされるだろうけれど雲が低ければ飛んでも航過飛行になるだろう」とした返事も近づくにつれ「これなら台風一過でいい感じではないか」となったものの、最後は「注意深く小松基地Xの発表を見守るように」となった。
能登豪雨のその日、小松基地から開催可否の発表はなく、24時をもって見切り発車し小松に向かった。9月21日(土)午前8:00に第306飛行隊の記念塗装機がポストされてから、小松基地のXは沈黙していた。
21日の能登半島大雨災害発生により内容を変更して開催
9月22日(日)午後5:17、小松基地Xが更新され、規模を変更しての開催が告知された。更新されなかった時間がぎりぎりまで悩み抜いて検討した様子をうかがわせた。
戦闘機の展示飛行は時間を短縮。機動飛行は航過飛行に変更された。救難展示は条件付き。ブルーインパルスは曲技飛行を展示することとなった。
会場には能登7市町の子どもたちを対象に特別観覧席が設けられ、能登半島被災者が招待された。21日の豪雨で来られなくなった参加希望者には改めて招待することも告げられた。
「イーグル見るなら小松に来い」とよく言ったものである。ファン・ブレイクで機体の背中を見せ会場正面を駆け抜ける。そんな機動飛行は自粛された。
記念塗装機も毎度定評があり、ファンの期待も高い。その背中を機動飛行で撮るのが最大の楽しみだが、今年は致し方ない。
上に挙げた第306飛行隊の記念塗装機の投稿の前には第303飛行隊の記念塗装機の製作風景も公開された。今年3月16日に金沢-敦賀間が延伸開業した北陸新幹線のデザインを模し、左舷垂直尾翼には能登半島の地図が描かれ、右舷増槽タンクには「ともにこえよう石川」のメッセージが書かれた。筆者はこの記念塗装機に能登半島に想いを寄せるこの航空祭への参加意義を見いだした。
ブルーインパルスは曲技飛行を予定するも天候により航過飛行を実施
復興の翼ブルーインパルスは当初のまま曲技飛行展示を予定していた。招待した能登半島の被災者に見せたいという決意の表れであろう。3月の北陸新幹線延伸開業では小松基地に留まり「被災者に対する激励飛行」として能登の空を飛んだ。
ブルーインパルスは民航機や能登半島への災害派遣機の離着陸を避け、限られた時間の中で曲技飛行を見せようとしたが、展示時間に上空を厚い雲が通り、曲技飛行の気象条件を満たさず航過飛行となった。
最後は不死鳥の隊形で復興を願う「フェニックス・ローパス」で、結果的にはこのあとの第6航空団飛行群によるクロージングフライトと同じ課目で終了した。
サインを頂く為に長い行列が出来ていましたが、皆さんの眼がハートでした!
厳しい任務をされているメンバーだからこそ人に優しく出来ると思います。ありがとうございます。
雨や災害派遣の航空機の離発着の影響で千歳に続き5区分になってしまいましたが一糸乱れぬ飛行で魅了してくれました。災害派遣中にもかかわらずイベントを開催してくれ多くの方々に元気や笑顔を届けてくれて感謝です。また、自衛隊の練度の高さ即応力を内外にアピールできたのではないでしょうか。ありがとう御座いました。
前日に能登の災害があり元旦の地震からようやく落ち着いて今からという時に豪雨被害があり航空祭も危ぶまれてましたがプログラムを変更や縮小を余儀なくされる中での小松基地司令の決断に感謝します。
ブルーインパルスの展示飛行が始まった頃雨雲が迫ってきてドルフィンキーパーさんも緊張して見守ってる姿に感動しました。
能登半島豪雨災害への出動が航空祭の最中も頻繁に行われている中での展示飛行とお天気に翻弄され時間が短縮される条件でしたがウォークバックを終えて観客に笑顔で応えるパイロットさん達の姿に自然と拍手が起きてました。
初めて小松基地航空祭に参加しました。本来ならバリバリF15の暴れる姿を見たかったのですが、航過飛行で実施する方がレアではないかと思いました。震災復興中の豪雨災害で関係各所色々と苦労されてると思います。開催に踏み切って貰った分航空祭を楽しませて頂き感謝してます。
小松救難隊は条件付きながら救難展示を実施、飛行教導群は航過飛行
小松救難隊は状況によっては中止との条件ながら救難展示を完遂した。別動の救難機は航空祭の間も出動していた。
飛行教導群の展示も航過飛行となった。
今年は能登大雨や天候など様々なことが重なりアクロバット飛行を見ることができず残念でしたが、ブルーインパルスの皆様、石川まできてくださり本当に本当に、ありがとうございました。
航空自衛隊の皆様を応援しています。
フェニックス・ローパスで締めくくられたF-15大編隊のクロージングフライト
小松基地第6航空団飛行群の第303飛行隊と第306飛行隊が合同でクロージングフライトで締めくくった。「令和6年能登半島地震被害及び能登地方大雨被害からの復興を祈念したクロージングフライト」とした。飛行隊ごとの編隊飛行の後に合同で大編隊を見せ、その隊形を「フェニックス」と紹介し音楽はMISIAさんの「明日へ」を流した。航空自衛隊にフェニックス隊形は元々なく、ブルーインパルスが不死鳥をイメージしたその隊形を造った。このF-15大編隊によるフェニックス・ローパスは、曲の選択からも東日本大震災からの復興を祈念したブルーインパルスとMISIAさんの共演にならった、小松基地の決意が体現されたものだろう。
今年の航空祭には、元日に起きた能登半島地震からの復興への祈りが込められており、記念塗装機の燃料タンクには"ともにこえよう石川"の文字が象徴的に描かれています。機体が隠れるほどの溢れる思いで手を振る観客と、それに応えるパイロットの姿に、この航空祭と記念塗装機に込められた熱い思いを感じました。
更には、直前に再び被災地を襲った豪雨災害で開催そのものが危ぶまれながらも、最終的には無事開催に漕ぎ着けた事に対する感謝と喜びも込めたいと思いました。画面が傾いてしまったのは、背伸びして水平が分からなくなった事に加え、あまりの嬉しさに冷静さを失ってしまった結果です。
この日の参加者は82,000人だった。もし開催が中止されていたら、この航空祭に関わる経済活動が損失になり、能登半島復興の足を引っ張る損失ともなりかねなかった。内容を改め開催した小松基地関係者の英断といえよう。当日は祝賀会も昼食会と改められ酒類の提供も控えられた。
能登半島を応援しよう!
能登半島の復興を願い我々にできることは何か。八重洲の石川県アンテナショップで物産品を買ってみることもできるだろう。石川の米や酒は本当においしい。
スマホのオンライン決済でできるふるさと納税もある。
小さなことから能登半島に心を寄せていきたい。
伊藤宜由の“のりさん写真館”
我らが“のりさん”こと伊藤宜由の写真をアルバムにしてみました。ぜひともご覧ください。
読者投稿受賞作品(防衛日報社賞)
応募で防衛日報社賞に輝きましたのは、回遊魚座のkazuさんの「明日への空をみつめて」です!
回遊魚座のkazuさんには防衛日報社賞の記念品を贈らせて頂きます。