防衛省は海上自衛隊のP1哨戒機をベースに「電子作戦機」の開発を進める。電波情報の収集などを行う海自のEP3の後継機として導入する方針で、令和15年度の実用化を見込む。

 電子作戦機には国産の信号情報収集システムを搭載し、遠距離から敵艦艇の展開状況を把握できるような能力を備える。これに加えて、味方艦艇や航空機の電子戦能力を向上させる機能も持つ。機体にはコブのようなアンテナフェアリング(覆い)が各所に設けられる。

 電波の痕跡を捉えることで敵の警戒監視や探知、追尾、識別を担うほか、味方の艦艇や航空機を支援する。入手した電波情報をもとに相手のレーダーや通信を妨害したり、味方の電波利用を防護したりと、重要な役割を担う。

 防衛省によると、現在、運用している海自のP3C哨戒機の派生型のEP3が令和10年代をめどに耐用年数を迎える。こうした中で、後継機開発については、開発期間の短縮とコスト削減を図るために、既存機のP1哨戒機をベースに開発に着手することとなった。

画像: 開発のベースとなるP1哨戒機(提供・海上自衛隊)

開発のベースとなるP1哨戒機(提供・海上自衛隊)

 令和6年度予算には開発費用として141億円を計上したほか、7年度予算の概算要求では本格的に開発を進めるために414億円を求めた。13年度には試作機をつくり、さまざまな試験を経た上で、15年度の完成を目指す。

 防衛省の担当者は「従来の陸海空に宇宙・サイバー・電磁波などを加えた『領域横断作戦』を実施するためには、情報収集・分析する電子作戦機が現代戦においては必要不可欠だ」と話す。

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