自衛官の大半が若年定年制で50歳代半ば、任期制自衛官の多くが20~30歳代半ばで退職します。 防衛日報デジタルでは「募集と援護」を「入口と出口」と称し、地本・部隊の日々の活動を伝えています。防衛日報社としても自衛官の再就職を「援護」していきたいと考え、石塚氏とともに『援護を援護する』というコラム企画を立ちあげました。
この回では、第34回~第54回までをまとめ「2024年上半期総集編」とし、みなさまにお送りいたします。自分に当てはめながら読み進めていけば、何かが見えてくる。それはきっと、未来につながる“何か”です。
「援護を援護する」読者のみなさま
いつも連載をフォローくださり本当にありがとうございます。
白熱したパリオリンピックも今日が閉会式です。
「失敗は失敗に非ずそれを他人のせいにした時こそ真の失敗になる」 ネルソン・マンデラ
負けた時には清々しくそして潔く負けを認め自分を支えてくれた人に心からの感謝をし
素直な気持ちで勝者を讃えその負けから多くを学び次の挑戦へと目を向ける。オリンピックで何も繰り返された光景です。
気づきの多い人は生まれもっての才能を逆転します。これからもみなさまの未来に少しでもお役に立てるきっかけになれたら嬉しいです。
猛暑が続きますがみなさまどうぞご自愛ください。
株式会社求人
代表取締役 石塚 毅
第34回 上司がいなくてもまわる職場をつくろう
上司がいなくていい仕組みを作る。自分がいないと現場が心配で、と思っている管理職は失格です。管理職の不安は「自分がいないのにうまく回っている」ということだったりします。例えば床屋さんに行った、とします。今日はなんだか、みんなが明るくて元気で感じいいですねと言うと、従業員さんが笑いながら「今日は店長がお休みなんです」と言われることがあります。店長がいなくて活気がある、というのは場にとって一番良いことです。自分がいる時は一番元気。自分がいなくなったらうまく回らない、ということを管理職が望み始めたら、その職場はその人がいなくなった時点でアウトです。
自分がいなくても回っていけるようにするのが管理職の仕事です。自分がいない時の方が売り上げが多いな、というのがベストです。管理職が出ているときに売り上げが多くて、ないと売り上げが下がるところは職場としては、管理職が人を育ててはいない、ということです。ところがその現象に気づかずに、自分がいないときに売り上げが下がったりトラブルが発生すると内心、喜んでしまう管理職が多いのです。しっかりしてくれよ!と言いながら、やっぱり自分がいないとダメなんだな、と内心うれしいのです。
ベストなのは、今日〇〇さん、いなかったんですか!という状態です。いなくても回る仕組みを管理職が作ったからです。これが人を育てるということです。自分がいて優秀な社員を縦横無尽に使って、強いチームを作るというのは人材育成でありません。自分がいない方が、逆にうまく回っていくんですというのが人材育成です。それには小さなことの積み重ねが必要なのです。管理職は自分が不在でうまくいくことを目指せばいいのです。
第35回 トラブルやアクシデントに感謝しよう
トラブルやアクシデントが増えるときはじつは転換点です。転換期はしんどいです。たまたま、的なかたちで起こる偶然もあれば、トラブルやアクシデントというかたちで出現する偶然もあります。つまり、トラブルやアクシデントとは「あなたに何かを気づかせたい」信号・合図なのです。
転換点を意識的に作り出すことも実は大切です。いいチャンスにめぐり合う手前で、だいたいトラブル・アクシデント・事故・病気・ハプニングが起こります。それが転換点の予兆です。そこでその人のライフスタイルが変わります。職業が変わるのではなく、生活スタイルやものの考え方、根っこが変わっていきます。スキルを身につけるという問題ではないのです。
家の中で照明スイッチが立て続けに3つも故障したら、これは転換期です。ずっと動くと思っていた時計が止まって電池を換えても動かなかったりします。大切にしているものや日常使っているものが壊れたり、喪くなるときが転換点です。チャンスの前には必ずつらいことが起こるのです。
第36回 それは考えなくていいと言える人になろう
メンタルが弱い、凹みやすい、立ち直りに時間がかかる人は、「あの人はああ言う。この人はこう言う。」とやたら考え方・意見を溜め込みます。いろいろな人に相談するので、参考意見も多いのです。
でもメンタルが強くて、すぐに立ち直れる人は、1人くらいにしか意見を聞きません。2人に聞いたら、また違う意見や考え方が出てきます。3人に聞いたらいたら、3人とも違う意見を言うでしょう。聞けば聞くほど、みんな言っていることが違います。そのことが自分が「決断しない」口実になっているのです。
立ち直れる人はこれは選択肢になんか入れなくていい、とネガティブな発想を捨てることができます。ネガティブな発想の大掃除が必要です。だから「それは考えなくていいよ。」「そんなこと考える必要なんかないよ。」と言ってくれる人が一番必要なのです。
あれも考えるこれも考えろというアドバイスをする人の方が圧倒的に多いのです。だからどうしてもたくさんの選択肢が集まるのです。選択肢が増えれば増えるほど、人は決められなくなるもの。どうでもいいネガティブな枝葉のことなどまったく考えなくていいのです。
第37回 立ち直れる人と立ち直れない人の違いを知ろう
私は仕事柄、人から相談を受けることが多いです。何とか解決してあげたいと思っています。立ち直れない人の相談は、相談のフリをした言い訳が多いです。相談は具体的ですが、言い訳は抽象的です。「生理的にイヤなんです」「とにかくやる気がしないのです」というのは抽象的です。こういうものは相談しても始まりません。立ち直れない人はどうしたい、がハッキリしていません。どうしたいかはっきりしていないから抽象的になります。
一方、立ち直れる人は相談が行動につながります。行動とはイコール解決策です。立ち直れない人は解決策を求めていません。ただ聞いてもらえるだけでいいんです。これは相談とは言いません。ただの言い訳です。
ふだん、ものごとを考えるときは自分が自分に相談しています。そのときにただただ言い訳を言うだけで、何かを考えているつもりでも何も前に進みません。言い訳と相談の違いはこれです。
言い訳を言っている人の相談に乗っても、その人はその後、動きません。具体的な解決策を教えても次に会ったとき、どうだったと聞いたら何もしていないというのです。本人がそれを求めていない、ということなのです。
立ち直れる人は聞いたら即動きます。立ち直れない人は、ただ話を聞いてほしいだけです。次の日別の人のところにまた聞きに言ってしまいます。これを繰り返しているようです。誰が相手でも同じです。ただ聞いてくれる人であればいいのです。AさんBさん、Cさん、Dさん・・・どんどん回っていきます。これが立ち直れない人の考え方です。
第38回 知識より考え方を聞く人になろう
うまく行く人は解決策を求めます。だから相談する人は1人で十分なのです。その人で解決しなかったら解決しないし、その人でほぼ全てのことが解決するのです。
その人に聞いてわからなかったからといって他の人に聞くことはありません。この人に聞いてそれでわからなければ自分で考えるより他はない、からです。
うまく行かない人は知識を聞きたがり、うまく行く人は知恵や考え方を聞きます。自分が「先生」と思う人がいたらその「先生」に聞けばいいのです。経歴とか肩書とかは関係ありません。
「〇〇〇のことだったら、Aさんに聞いてみたら」
それで、そこから先につながることはあっても、聞く人はたった1人でいいはずなのです。これはうまく行く人に共通する行動特性です。
第39回 がんばればできることを増やして伸びる人になろう
能力開発の見極めは3つしかありません。
「できる・できない・がんばればできる」常にこの3つです。
人間だから絶対にできないことがあります。これを追いかけても時間をムダ遣いします。
重要なのは「できない」と「がんばればできる」の見極めです。なぜなら、がんばればできるがその人の能力の成長余地だからです。ここを真剣に考えるか、どうかでその後の成長にものすごく影響してきます。
伸びる人の発想は「がんばればできる」が基準です。いま、できなくてもいいから成長余地を大切にします。できないことが、がんばればできることなのであればその人には成長余地があるのです。例えば、せっかく良いアイデアを持っているのに、それをうまく提案書にできない人がいます。その人は提案書のつくりかた、ものの見せ方、伝え方を覚えればいいのです。プレゼンが下手で、損しているなら、プレゼンを、しゃべりを練習すればいいのです。これが成長余地です。
できることが良くてできないことが悪いのでは決してありません。できることはもう成長余地がないのです。できないことががんばればできることならばそこから改善すればいいのです。がんばればできることがたくさんあればあるほど、その人には成長余地があるのです。そう考えるとできないことがなんだかワクワクしてきませんか。
第40回 うまく行かない時にたった1つのピースを探せる人になろう
うまくいかない時は課題が見つかったと喜ぶべきなのです。うまくいかなかったことを喜べるようになった人は強いのです。
すぐに落ち込む人、ヘコむ人はできないことを欠点と考えます。できないことをいろいろ挙げて、だから自分は夢を実現できない、好きなことができない、うまくいかない、と考えてしまうのです。
一方、伸びる人はうまくいかない時に課題が見つかった、成長余地だ、と考えます。うまくいかないことは成長余地です。それができれば先に進めるのです。全部がうまくいかないなんてことはありません。ここだけ、この1つだけできないことの方が多いのです。パズルにたとえると、あともう1ピースがあれば完成するのです。うまくいかないときは1ピースが足りないところでしくじります。どこの1ピースが足りないか、を知ることがポイントなのです。
仕事でトラブルが発生した時もこのように考えてみてください。ここでトラブルが発生するな、というトラブルが発生する場所がわかるようになることが大切です。全部がうまくいかないのではありません。どこで、どの場所でトラブルが発生しているのか、どこの1ピースが足りないかに気づけばいいだけです。
その1ピースを埋めれば、全部をやり直さなくていいのです。もしも5つの業務プロセスがあるなら足りないのはピースの数は5つではありません。たった1個のピースが足りないだけです。うまくいかないということはこの1個のピースが何か、ハッキリわかったということなのです。
第41回 偶然を活かせる人になろう
偶然に、たまたまラッキー!なことって仕事でもありますよね。決して偶然を否定してはいけません。でもヘコみやすい人ほど偶然に頼ります。しかしデキル人は偶然を活かします。
偶然に頼ると、偶然が起こらなかったら何もできなくなります。ところがデキル人は偶然が起きなくても何とかできます。
「頼る」と「活かす」の違いは大きいのです。ヘコみやすい人ほど偶然に頼っている割に、いざラッキーなことが起こってチャンスが来た!という時にそのチャンスをゲットできないのです。
偶然を活かすのも頼るのも、どちらも偶然を使うことにおいては同じです。頼って使っているか、活かして使っているかの違いです。
偶然がなくても、デキル人は、偶然が転がり込んだらもっと活かせます。一方、偶然に頼っている人は偶然を活かすことかできないのです。
第42回 単なる二者択一ではなく自分の生き方を見つめ直そう
仕事柄、転職しようと思うんですが、という相談をよく受けます。いまAという仕事をやっていて、今度Bという仕事をやろうかと思いますがどう思いますか?いまA社に勤めていますが今度、B社に転職しようかと思うのですがどう思われますか?というご相談です。
転職に関するご相談は生き方のご相談でもあります。
とても重要なポイントは、AかBかの二者択一ではない、ということなんです。
転職とは生き方を考え直す、見つめ直す、ということなのです。会社や職種を変える、ということは自分の生き方を変えるということです。生き方が定まっていないのに、職種や会社だけ変えてもうまくいきません。それはただ変わっただけ、なんです。言い換えると質的な転換には何もなっていないのです。
第43回 職業が何であるかよりもプロであるかを大事にしよう
仕事にはプロフェッショナルの仕事のやり方と、アマチュアの仕事のやり方しかないのです。
職業を、業界を転々としても、アマチュアな人はアマチュアな仕事を続けることになります。
それでは成功しないし、人生が幸せになりません。仮にいま転職するとしてA社にするかB社にするか、という選択肢があるとします。
しかし自分の生き方自体が変わらない限り、この選択にはまったく意味がありません。選択肢はA社かB社か、ではありません。自分の生き方がプロかアマチュアか、なのです。プロというのは一言、本気ということです。本気になれば選択肢がAからZまであっても、何も迷いがなくなります。ここに選択肢は何もなくなるのです。プロの仕事ができる人には迷いがありません。迷いながら一歩行く人と迷わずに一歩一歩行く人とでは、勢いがまったく違います。これはスピード感、熱意、誠意そして信頼感につながります。迷いがないから、信頼できるのです。
第44回 プロであれば1分間を大事にしよう
みなさん1分間でどれだけのことができるかを考えてみてください。
たとえばバスケットの観戦をしているとき、強敵を相手に奇跡的なリードを保っている残り時間1分間が、信じられないほどじりじりとしか過ぎ去ってくれないと感じた経験がありますよね。その最後の1分で、本当に逆転の奇跡や悲劇が起こってしまいます。
仕事も実は同じです。1分間を軽くみる人はプロではありません。
プロは「手のつけにくい仕事」にあえて1分だけ、手をつけます。ちょっとでも手を着けると、印象に残ります。それはときどき鮮明に思い出され「次はあれをやったほうがよいかも」「そういえばこんなアイデアもあるな」というように、前向きに検討できるようになります。
そうすると手をつけるハードルが下がり、翌日はもっと時間をかけられる見通しをもてるようになり、それがきっかけでいい仕事ができるようになるのです。
1分間だけでも手をつけると、不思議なことに自分が「その気になる」のです。そうすると、どんなことにでも仕事が溜まらなくなります。仕事を溜めるクセのある人は現実逃避に時間を使ってしまって、ギリギリまで仕事をスタートできないのです。
1分間を大事にするだけで仕事の進み方が変わります。これをわかっている人がプロなのです。
第45回 面倒くさいなぁと感じることはやめる人になろう
心に少しでも面倒くさいなぁと感じることがあったら、それはやめていい仕事です。
面倒くさいと思っていることをガンガン努力しても身に付きません。
仕事は、面倒くさいなと思いながらでもできます。でもそれでは顧客に喜んでもらえません。面倒くさいという気持ちは必ず顧客に伝わります。いまこちらのことを面倒くさい、と思われて提案されたのでは?と感じた顧客は、なんだか悪いことを頼んでしまったなと後悔します。それならやらない方がいいのです。
努力することを勧める人は「面倒くさいなぁと思ってもガマンしてやりなさい!」とよく言います。これは努力のしかたを間違えています。
面倒くさいなぁと思ってやり続けないことです。頑張っていても、「ハー」とため息をつくようなことならばやらない方がいいのです。その「ハー」は周りに伝染します。
第46回 努力のやり方がわかっている人になろう
本人が面倒くさい、と感じながらやっている仕事が結果や形はできていても、「ハー」が空気中にバラ撒かれてしまいます。
面倒くさいと感じながらやり続けると、自分が一生懸命やっているような錯覚に陥ります。何かやっているような気持ちにハマるリスクがあるのです。
自分はこんなに面倒くさいことをやっているんだ!という間違った正義感に目覚めてしまいます。たとえるなら尽くすタイプの彼氏彼女が、セーターを手編みして、料理を作って、息苦しくなるのと同じです。僕は私は、あなたにこんなにも尽くしているのに、あなたは何で?というのは面倒くさい彼氏彼女です。
仕事・勉強・習い事・遊びで一瞬でも「面倒くさい」が頭に浮かんだら、それは即、やめていいのです。大切なのは努力することではない、のです。努力のやり方を覚えることです。
「努力しなさい!」「本気でやれ!」
と言われても、具体的になにをどうしていいのかわかりませんよね?
努力のやり方を知っておかないといけません。
第47回 努力には方向性があることを知ろう
「もっと努力しなさい!」「本気でやれ!」
なんて言われても、具体的になにをどうしていいかわかりませんよね?
いちばん大切なのは、努力することではありません。努力の方向性を覚えることです。
「努力しなさい」「頑張れ」「一生懸命やれ」「本気でやれ」
とアドバイスされてもどうしていいかわかりません。
上司は上司で、「お客様を感動させろ」だの「お客様に可愛がられろ」と言います。
だから努力には方向性が大事なのです。方向性をまちがえた努力はすべて空回りします。ムダになります。空回りしていると「私はこんなにがんばっているのになんで?」という歪んだ正義感を持ち始めます。危険な兆候です。
だから努力には方向性が大事なのです。
そもそも努力は「好き好き」です。やりたい人はやればいいし、やりたくない人はやらなくていいのです。
「なんで努力なんかしなくちゃいけないんですか?」という人はやらなくていいのです。
今やらなければいけないと感じているけれども、面倒くさいと感じているならやらなくていいです。そんなことをしているヒマがあるなら、「面倒くさく感じないことを徹底的にやる」方がいいのです。
面倒くさいと感じることは全ての人に共通してあるわけではありません。同じ行為でも、ある人には面倒くさいと感じます。でもある人には面倒くさいとは感じないのです。
本を100冊読んできてください、という課題に、本を100冊も読まなくちゃいけないんですか?という人もいれば、本を100冊でいいんですかという人もいます。
家を新築したので来てください。駅からすぐです、という人の家は駅から25分です。駅から25分ならバスがあるんですねと訊くと、いいえ、バスで25分です、という家です。バスで25分は電車で移動する距離です。それを面倒くさいと感じない人もいるのです。一方で駅から5分でも歩くのが面倒くさいという人もいます。
面倒くさいと感じるのは同じ行為でも、1人1人違います。それは才能ではなく、その人の好き嫌いです。好きなことは面倒くさくないし好きではないことは面倒くさいのです。
ジグソーパズルを面倒くさいと感じる人は多いです。細かいピースの方が作るのが大変です。値段も高いのです。5ピースぐらいのジグソーパズルを買ってきても、楽しくも何ともありません。ジグソーパズルが趣味の人は面倒くさい、という気持ちになることが理解できません。
最近模型にハマっているんですけどという人もまったく同じです。
コレクションはコツコツ集めていくものです。誰か一括でくれないかな、というものはコレクションではありません。これを手に入れるのは苦労した、たまたま田舎の友人の実家の家じまいを手伝ったときに日に焼けてない箱が1個だけ残っていて、そこで手に入れた、というのがコレクションです。
面倒くさいという中に、物語と楽しさがあるのです。努力の方向性とは言い換えるといまやっていることに、これがあるのかないのか、ということなのです。
第48回 小さな仕事なんて1つもないことを知ろう
伸びない人の共通点は、小さな仕事を大事にしない、軽くみる、ことです。
「たかが〇〇〇じゃないか」「単なる〇〇〇だろ」「こんなのただの〇〇〇でしょ」こう思ってしまうなら、しなくていいのです。「こんなのただの〇〇〇でしょ」がつい口に出ることがあります。こんな気持ちで取り組んでもうまく行きませんし成長しません。
世の中には「ただの~」「単なる~」「ただの~」は1つもありません。
スポーツにたとえましょうか。バスケットならたった1本のパスです。野球のたかが1球です。たった1本・1球と思うか、大切な1本・1球と思うかで、大きな差がつきます。
自分の好きな世界にはこんなことはありません。「たかが~」「単なる~」「ただの~」と思ってしまうのは、その世界に興味がないのです。
どんな花形業界・成長業界に入っても、最初は職場の電話番のような雑用からスタートです。その時に、「たかがお茶くみでしょ」「単なるコピー取りでしょ」「こんなのただの電話番でしょ」僕は私はこんなことをやりたくて会社に入ったのではないというのです。
ただの電話番でしょうという人と、大事な電話番を任されていますという人とでは、その後の成長がまったく違います。ただの電話番と思っている人が電話を受けるとお客様には感じ悪く伝わります。実は電話番が1番大切なんだ、と思えるかどうかです。
小さな仕事に大きな差が出るのです。成長業界・花形職場では「ただの~」と言われるような小さな仕事が大きく評価されるのです。この小さな仕事が将来に繋がっていきます。誰もが「たかが~」と思う中に実は1番大切なことが埋まっているのです。いくつになっても新人時代にこれを掘り出すことがその後の成長を決めるのです。
第49回 時間軸10年で人生を見てみよう
成長できない人は「来年はこうしたい」と考えます。
成長する人は、「短くとも10年後はこうなっていたい」と考えます。この違いは大きいのです。自分の時間軸が1年と10年では10倍も差があるのです。
東京の北品川に品川女子学院 という中高一貫の女子校があります。
品川女子学院の教育ポリシーは、「28プロジェクト」です。
新中学1年生で入った12歳の中学生が高校を卒業する18歳の10年後、28歳になったときにどういう28歳になるのか。それを踏まえて今からやっていくべきことを決めるという教育のスタンスをとっています。
品川女子学院の生徒たちはとてもしっかりしています。職業選択に関しても両親がいままで聞いたことのないような職業を挙げます。なぜならいま社会で活躍されている人たちがどんどん学校で特別講義をしているからです。
品川女子学院の28プロジェクトと同じように自分の年齢に20年を足してみるとリアルに考えられます。その10年後のために、5年後、来年、そして今するべきことが、逆算で出てきます。未来からの逆算が成長する人の発想です。
成長できない人は、今から何かを足していったりいきなり一攫千金で一発逆転を狙います。これをやっていても年収も満足度もやりがいもいつまで経っても上がらないのです。
第50回 夢よりも、ビジョンを持とう
ふつう人は「いまできないこと」つまり、現実からかけ離れていることを夢ととらえがちです。
ほとんどの人の夢は抽象的です。抽象的なことを言っているうちは「夢」は実現しません。夢を実現している人は夢を語りません。夢を語るより、ビジョンを語ります。ビジョンとは具体的に目に見えることです。今ここにないのに、目に見えるものがビジョンです。
こういうふうなところにたどり着いたら幸せになる、ではなくこういう生き方をすれば幸せだ、というのはビジョンを中心にした生き方なのです。
ビジョンは数字ではありません。夢よりもっとはっきり見えていること、です。ビジョンがあれば目的地まで最短距離で行けますが、抽象的な夢を追いかけるとまわり道になります。
ビジョンが明快であればあるほど、行動は素早くなり、無駄がなくなり、最短距離で目的地へ行けるようになります。ビジョンがあればあるほど、目的地まで最短コースを取れるのです。最短コースで行くメリットは、試行錯誤があっても到着時間が早いから落ち込んでも早く回復できることです。だから夢ではなくビジョンを持つことが大事なのです
第51回 何のために?と言うのはやめよう
成長しない人は「これをやったらどうですか」とアドバイスすると、いちいち「それは何のためにやるのですか?」と聞いてきます。やる趣旨や方向性を最初に確認したい、ならわかります。
でもせっかくその人のことを考えて伝えても「それは何のためですか?」と1つずつ訊かれたら、話が後ろへ戻ってしまいます。
いちいち「何のため?」と訊く人でやり切った人はいません。これは成長しない人の発想だからです。
「何のため?」はやった後に初めてわかる場合が多いのです。頭で考えるのではなく、体感でわかることが仕事では特に多いのです。だからそれをやる意味は必ずあるのです。
ただし、わかるのはやる前ではなくやり切った後です。やってみないとわからないのです。ほとんどふだん関係のない世界に何のために、があるのです。何のために、は、やり切った後に初めて見えてきます。やる前に、何のためにという発想はないのです。そもそも何のために、と聞いてはいけません。それはその人の言うことを信じていない、ということと一緒だからです。
何のために、という質問は、口頭でもメールでも結構多いのです。でもものごとにはやってみないとわからないこと、やり切った人にだけ初めて見える・感じる・わかる・ことがあるのです。
第52回 問題意識に目覚めよう
全ての見る・聞く・感じる行為は見たいものを見て聞きたいことを聞いています。たとえば、あなたが上司の指示を聞いて手帳にメモしている時にはもうあなたの意識の中に存在しています。
人は自分の意識の中にあることしか聞けません。だから同じ会議に出ても1人1人のノートの中身は違ってきます。
「そうだよな」「そう思うな」と共感できるところだけが自分の意識の中に入っていくのです。
さらに、自分の中に「問題意識」が目覚めていないと、何かをパっと聞いても何も入りません。そもそも自分の中にないものは通り過ぎていくだけだからです。
だから前向きなこと、ワクワクすることをテーマ・課題として想定しておかなければなりません。前向きなことを頭の中で意識していると、それが自分の中に入ってきます。
例えば大切な家族にプレゼントを贈るとします。そうすると街を歩いていて妙にお店の商品が目につくようになります。頭の中で意識した瞬間に今まで見過ごしていた文字やかたちや意匠が入ってくるんです。
自分が好きな世界があって興味があることをやっていると新聞をめくっていても、気になるところがポン!と出てきます。ほとんどの人には見えません。自分だけがその言葉・フレーズが目に入るのです。これが問題意識を持つということです。
問題意識がなければ面と向かってダイレクトに大きな声で話しても、そんなこと言ってたっけとスルーされます。問題意識があるというのは言い換えると自分が答えを探していること、なのです。
第53回 わずかな違いが圧倒的な違いになることを知ろう
「はい」という返事には個人差があります。仕事で何かを頼むとします。誰でも「はい」と答えるでしょう。
ところが、「はい」の前に文字にならない微妙なものが入るのです。そこに何かが入るか、入らないかが、実は決定的な差を生んでいます。
「〇〇さん、これをやってもらえるかな。忙しいのにゴメンね。」と頼んだときに、「アーはい」と言われたら、私はその人にもう仕事を頼みたくありません。
本人は微妙な「アー」を言っている意識はありません。いろいろな人から仕事を頼まれる時に何の気なしに「アー」を言ってしまっている自分にまず気づくことが大切です。
「1ページ12枚で100セット分、コピーを取っておいて!」と頼まれると見るからに「アー」と言いたくなります。
「アー」と言っても言わなくても100セット分のコピーを取る手間は同じです。ところが「アー」と言ってしまったがために、せっかくやっている行為があまり評価されなくなるのです。これを本人に教えてあげる人なんていません。
一方、誰にでも仕事を頼まれると「はい!」と言い切っている人がいます。
仕事ができるorできない、仕事運に恵まれるor恵まれない、それはほんのわずかな違いでしかありません。傍から見るとわずかな違いは目に入りません。
ですから、なんで私は仕事運が悪いのだろうか?あの人と私は同じことをやっているのに!なんて考えるようになるのです。
大きな違いが大きな差になるのではありません。目に見えないわずかな違いが大きな差になるのです。「はい」の前に「アー」と言う人は仕事運が味方についてくれないものなのです。
第54回 〇〇〇ほどおもしろい仕事はない!と言い切れる人になろう
あなたはいまやっている仕事を
「〇〇〇ほどおもしろい仕事はないよ」
と言い切れますか?これを言える人は本当に幸せです。
若手だったら、自分がお金を払わなければいけないことを給料をもらいながら学べる、身につけることできるなんて。これを仕事にしていてホント申し訳ないです!という感じでしょうか。
Aさんの仕事はおもしろい、ではなくて、主語を自分にするのです。
Aさんの手法はおもしろいだろうな、という人は、私の仕事の手法はおもしろくないと言っているのと同じです。
Aさんは楽しい仕事ばかりで、私はつらい仕事ばかりしていると思えてきたりします。
すると、Aさんの仕事はあれはあれで大変だと思うよ、あんなこと自分はやりたくないよ、などと変な感情が入ってきたりします。
大事なのはまわりの人の仕事がどのように見えようが自分の仕事はおもしろく感じることです。
自分「が」この仕事をおもしろい、と言えるかどうかが実はとても大事なのです。こう言える人にはなぜかいい出会いやチャンスがもたらされるのです。
第55回 プロ野球選手がバッターボックスに入る前のウェイティングサークルに注目する人になろう
いい結果を出すためには、必ずその元になる原因とやり方があります。
「いま、いい結果が出ていないんです。」という時は、やり方を変える、が大原則です。なぜならやり方が間違っているから、いい結果が出ないのです。
やり方とは努力のやり方です。努力には方向性があります。方向性を間違えた努力はまったく意味がありません。努力すれば何とかなる、わけではないのです。努力の方向性、やり方を変えることを学ぶのです。
たとえば野球の試合を見に行くとします。バッターボックスに選手が入っている時だけ見るのではなく、バッターボックスに入る前のウェイティングサークルで、選手が何をしているのかを見ないといけないのです。ここはテレビに決して映りません。
野球場に行くと、ウェイティングサークルの選手を見ることができます。ある試合では有名選手がピッチャーが投げるタイミングに合わせて、ずっと素振りをしていました。テレビでは見ることのできないバッターボックスに入る前の選手の意識を見られただけでも、野球場に足を運んだ甲斐がある、のです。ウェイティングサークルにいる選手は、意識が既に打席に立っているのです。
かのイチロー選手は試合が始まる前の練習時間で必ずルーティンワークをしていました。準備運動がとても長いのです。それもテレビでは放映しません。球場に行くか、ドキュメンタリー番組で初めて見ることができます。
いい結果を出すためには、必ずその元になる原因とやり方があります。
第56回 他人の人生に介入しない人になろう
その人にとって必要なことは、人それぞれです。この人にとって必要だからと決めるのは、他人の人生に介入していることになります。
「君のためを思って言っているんだ。」というお説教が一番ウザいのです。相手がウザいと思っていることをすすめる人は必ずこのロジックで人の人生に介入しようとします。
わかりやすい表現をするなら、会社は鉄棒で逆上がりのできない人を逆上がりができるようにはしません。逆上がりのできる人を連れてくるだけです。
逆上がりのできない人が、無理やり練習させられて、逆上がりができるようになっても鉄棒そのものが嫌いだったら、もっとつらい人生になります。なぜなら自分に向いていないことをし続けることになるからです。
「逆上がりができないんです。できるように練習した方がいいですか?」という人は練習なんかしなくていいのです。そんなものは通用しません。
「英語を勉強した方がいいでしょうか?でも気が進まないんです。」というくらいなら勉強しなくていいのです。英語のできる人に仕事は回ります。英語の勉強に気が進まない人は英語が必要な仕事からは外されるのです。
好きでもないのに英語をがんばってる。延々と英語の仕事をさせられます。それを第三者が決めてはいけないのです。この人のために、どうして自分は何回も同じことを言わなくちゃいけないんだよ。
気が進まないと感じることは、自分のストレスにもなります。自分自身だけではなく相手にもマイナスの連鎖が起こります。誰もハッピーになっていません。あなたの将来のためだから、と他人の人生を決めてしまうようなことはしなくていいのです。
やらなくていいか、と感じたら、気が進むやり方に改善することです。しくみで改善するか、その仕事から外すのです。
組織は動いています。いやいややっている人に仕事は回ってきません。仕事は好きでがんばっている人にしか来ないものなのです。
第57回 あいさつがとびきりうまい人になろう
あいさつがとびきり上手な人は、相手が気づく前に名前を呼び振り向いたらにっこり笑ってあいさつをします。あいさつをするときについタイミングを外してしまっていませんか。
ほとんどの場合はあいさつが中途半端になっています。それはあいさつをするタイミングが早すぎるのではなく、ちょっと遅れてしまうことが原因です。
向こうからあなたの知っている人がやってきた。相手の人はまだあなたに気がついていません。そういうとき相手があなたに気がついてから声をかけようとするから、タイミングが遅れてしまうのです。
気がつかないうちに名前を呼んで声をかけるのです。そして、相手の人があなたに気がついたらあいさつをするのです。とびきりうまいあいさつをするコツは3秒だけ挨拶するタイミングを早めること、です。そうすれば3秒長いあいさつができるのです。とびきりうまいあいさつを続けているとそれがやがてあなたにいろいろなチャンスを運んできますよ。
第58回 何気ないことに「すばらしい!」と言える人になろう
当たり前のことに感動していますか。
感動するようなできごとは感動できる人に訪れるのです。
レストランで料理を出されて「これなんていう料理?」と言ってませんか。
クリーニング屋さんで上がったワイシャツを受け取る時「たしかに」と言っていませんか。
洋服のサイズ直しをしてもらって試着したときに「これで大丈夫ですと言ってしまっていませんか。
そんなあなたは大事な言葉を忘れてしまっています。それは「すばらしい!」という言葉です。「すばらしい!」こそ感動を呼ぶ呪文です。
当たり前のことに「すばらしい!」と言える人にだけ感動するできごとが訪れるのです。
第59回 あいさつを交わせる人を1日1人ずつ増やす人になろう
第60回 尊敬する人の考え方をマネする人になろう
第61回 良いことがあった人によかったね!と言える人になろう
第62回 小さなことでも自分で決める、選択する人になろう
第63回 余計なものは捨てられる人になろう
第64回 欲しいものは注文して手に入れる人になろう