英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の第三国輸出を巡る議論は、一定の「歯止め」を設けるなど政府・自民党が公明党に譲歩する形でようやく決着した。議論の開始から約1年の歳月がかかった。安全保障環境が一層厳しさを増す中、四面を海に囲まれた日本にとって次期戦闘機の重要性はますます高まっている。一方で防衛技術は民生技術にも転用でき、国民の利益にもつながるとの見方もある。安全保障政策の大きな転換期となる次期戦闘機への議論は長すぎた感が否めない。何よりも防衛力と技術力の向上に目を向けなければ、本当の意味での「国益」は得られない。
次期戦闘機開発に関する条約に署名した木原稔防衛相(中央)、イタリアのクロセット国防相(左)、英国のシャップス国防相(令和5年12月14日、防衛省)