令和5年11月26日(日)、福岡県築上郡にある航空自衛隊築城基地(ついききち)で、令和5年度築城基地航空祭が開催された。令和元年(2019年)12月8日以来、4年ぶりの築城基地航空祭となった。快晴の築城で、ブルーインパルスは第1区分の曲技飛行を展示した。

画像: 新田原基地よりリモート展示の第305飛行隊のF-15J。順光で心置きなく戦闘機を撮れるのが築城だ(写真・伊藤宜由)

新田原基地よりリモート展示の第305飛行隊のF-15J。順光で心置きなく戦闘機を撮れるのが築城だ(写真・伊藤宜由)

 航空自衛隊の飛行場を持つ主要基地(千歳、三沢、百里、入間、小松、静浜、浜松、岐阜、美保、防府北、芦屋、築城、新田原、那覇)で、航空祭の会場となるエプロン地区が終日順光となる基地は三沢と築城のみだ。冬の澄んだ空気の中、快晴下の順光航空祭で、戦闘機が飛びまくる。撮影環境としてはこの上ない航空祭が築城基地航空祭だ。

画像: 屈強な航空自衛隊の実力が示された展示飛行の数々。第8航空団のF-2戦闘機が暴れまわった(写真・伊藤宜由)

屈強な航空自衛隊の実力が示された展示飛行の数々。第8航空団のF-2戦闘機が暴れまわった(写真・伊藤宜由)

 西部航空方面隊隷下の第8航空団が鎮座し、宮崎県の新田原基地(にゅうたばるきち)に配置された第5航空団と共に西日本の防空の要となっている。第8航空団はF-2戦闘機の配備部隊であり、第6飛行隊と第8航空隊の2個飛行隊が配置されている。どちらも一桁の数字を冠する伝統ある精強な戦術戦闘飛行隊だ。その築城でF-2戦闘機がオープニング飛行、機動飛行、デモスクランブル発進、模擬空対地射爆撃とマルチロールファイター(多用途戦闘機)としての性能と運用能力を十二分に発揮し、西日本防空の気概を示した。

画像: 平成23年(2011年)9月14日の築城基地飛行場アクロバット飛行訓練の様子が写真に残されていた (撮影・長友2空曹《当時》、写真提供・吉田信也)

平成23年(2011年)9月14日の築城基地飛行場アクロバット飛行訓練の様子が写真に残されていた
(撮影・長友2空曹《当時》、写真提供・吉田信也)

 東日本大震災後の移動訓練から松島基地に帰還して10周年のブルーインパルスにとっても、その移動訓練の期間中、飛行場訓練を行った思い出深い築城基地だ。展開先の芦屋基地から築城基地上空に飛来し飛行場訓練を行っていた。
 東日本大震災後、展示飛行で曲技飛行を再開したのも築城基地航空祭だった。平成23年(2011年)8月7日に千歳基地航空祭で編隊連携機動飛行、8月20日に宮城県東松島市の“ありがとう!東松島元気フェスタ”で編隊連携機動飛行、9月4日の三沢基地航空祭で編隊連携機動飛行の後、10月2日の築城基地航空祭で曲技飛行を再開した。
 この間、9月13日に築城基地上空での飛行場訓練を開始している。写真は9月14日に撮影されたものだ。

画像: 会場後方から正面へ向けて実施されたフェニックス・ループ(写真・今村義幸)

会場後方から正面へ向けて実施されたフェニックス・ループ(写真・今村義幸)

画像: 機体左舷に貼付された松島基地帰還10周年のデカール。フェニックス・ループが描かれている(写真・今村義幸)

機体左舷に貼付された松島基地帰還10周年のデカール。フェニックス・ループが描かれている(写真・今村義幸)

 平成25年(2013年)3月31日に松島基地に帰還し10年経った。
「コロナ禍を乗り越え、東京五輪の大任も果たし、無事元気にやっております」と語りかけるような今年の展示飛行は、フェニックス・ループを普段の右からの進入で見せるのとは違う後方からの進入で見せた。松島基地帰還10周年のマークを再現しているように見えた。

冬の風物詩「クリスマスツリーローパス(正式名、ダーティー・ツリー・ローパス)」も岐阜基地航空祭に続いて披露された(写真・今村義幸)

 

令和5年度築城基地航空祭 ブルーインパルス第1区分課目構成

①インディビジュアル・テイクオフ・ダーティーターン
②ローアングル・キューバン・テイクオフ、ロールオン・テイクオフ【同時】
③ファン・ブレイク
④4ポイント・ロール
⑤チェンジ・オーバー・ターン
⑥インバーテッド&コンティニュアス・ロール
⑦レベル・サンライズ
⑧バーティカル・クライム・ロール
⑨スローロール
⑩チェンジ・オーバー・ループ
⑪カリプソ
⑫レター8
⑬オポジット・コンティニュアス・ロール
⑭4シップインバート
⑮バーティカル・キューピッド
⑯ライン・アブレスト・ロール
⑰360°&ループ
⑱ワイド・トゥ・デルタ・ループ
⑲デルタ・ロール
⑳フェニックス・ループ
㉑デルタ・ローパス
㉒ダーティー・ツリー・ローパス
㉓ボントン・ロール
㉔バーティカル・キューバン8
㉕スター・クロス
㉖タック・クロスⅠ
㉗ローリング・コンバット・ピッチ
㉘コーク・スクリュー

令和5年度築城基地航空祭 ブルーインパルス展示飛行メンバー

1番機 川島良介3空佐(飛行班長)、後席・江尻卓2空佐
2番機 東島公佑1空尉、後席・松永大誠1空尉
3番機 藏元文弥1空尉
4番機 手島孝1空尉
5番機 藤井正和3空佐、後席・林幸一郎3空佐(総括班長)
6番機 加藤拓也1空尉
地上指揮官 名久井朋之2空佐(飛行隊長)
ナレーター 佐藤裕介1空尉

画像: ひっきりなしに飛ぶ築城基地航空祭の展示飛行スケジュール(出典・築城基地HP)

ひっきりなしに飛ぶ築城基地航空祭の展示飛行スケジュール(出典・築城基地HP)

 ひっきりなしの展示飛行が続くのも築城基地航空祭の特長だ。
 新田原基地からは第5航空団第305飛行隊のF-15Jが機動飛行を、芦屋基地の第13飛行教育団からT-4(レッドドルフィン)、防府北基地の第12飛行教育団からT-7が航過飛行を、各基地から飛来しリモートで展示した。

画像: 微風の追い風の中を低空でのローアプローチを見せた海自救難艇US-2(写真・今村義幸)

微風の追い風の中を低空でのローアプローチを見せた海自救難艇US-2(写真・今村義幸)

 海上自衛隊岩国航空基地からは水陸両用飛行艇の救難機US-2がリモート展示し、ワンパスの航過飛行ながら、微風の追い風という条件の中、低速・低高度での飛行を見せ、安定性とSTOL機(短距離離着陸機)としての性能の高さを示していた。
 芦屋救難隊のU-125AとUH-60Jは築城基地に展開しての救難展示を実施した。陸上自衛隊の戦闘ヘリコプターAH-64Dも展開し機動飛行を見せた。

画像: ウイスキーパパ競技曲技飛行チームのエクストラEA300によるマイナスGの宙返り(写真・今村義幸)

ウイスキーパパ競技曲技飛行チームのエクストラEA300によるマイナスGの宙返り(写真・今村義幸)

 ウイスキーパパ競技曲技飛行チームの内海昌浩氏も岐阜基地航空祭に続いての航空祭参加となり、スモークで第6飛行隊の「6」、第8飛行隊の「8」、第8航空団の「八」を立て続けに描いたり、マイナスGでのループを見せたりして、競技曲技飛行の魅力を示していた。

画像: 地上展示ではまず入場門付近で、退役したが綺麗に磨き上げられ保存されているF-4EJの429号機が観客を出迎え、記念撮影には長い列が出来ていた(写真・今村義幸)

地上展示ではまず入場門付近で、退役したが綺麗に磨き上げられ保存されているF-4EJの429号機が観客を出迎え、記念撮影には長い列が出来ていた(写真・今村義幸)

画像: 小牧基地からは空中給油輸送機KC-767が参加した。ブルーインパルスの整備小隊が展開してきた機体だ。KC-767はメインデッキ、ロアデッキ共にカーゴドアを開けての地上展示だった(写真・今村義幸)

小牧基地からは空中給油輸送機KC-767が参加した。ブルーインパルスの整備小隊が展開してきた機体だ。KC-767はメインデッキ、ロアデッキ共にカーゴドアを開けての地上展示だった(写真・今村義幸)

画像: F-2戦闘機のコクピット体験搭乗は3機体制でその人気に応じていた(写真・今村義幸)

F-2戦闘機のコクピット体験搭乗は3機体制でその人気に応じていた(写真・今村義幸)

 航空学生78期のファンシードリル展示、基地太鼓部の太鼓演奏、警備犬訓練展示なども行われていた。

令和5年度築城基地航空祭ハイライト

《取材・撮影》ブルーインパルスファンネット
吉田信也/今村義幸(文)/伊藤宜由/Yuka Miyamoto


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