令和5年9月10日(日)、三沢基地において三沢基地航空祭が開催された。航空自衛隊の主催で米軍三沢基地と三沢市防衛協会が共催し、三沢市/三沢市商工会/三沢市観光協会/空自三沢基地OB会が後援する町を挙げてのビッグイベントだ。台風13号の影響が心配されたが、一部の展示飛行が中止となり、ブルーインパルスも時間変更となったものの、無事に開催された。

時間変更して実施されたブルーインパルスの展示飛行

 ブルーインパルスの展示飛行は当初10:00開始で予定され、12:45開始に変更された。当日の三沢基地は朝から低い雲に覆われ霧雨も降っていた。天候回復を待つための変更と思われた。
 当日の飛行場実況気象通報式(METAR)の記録は10:00と13:00で以下の通りだ。

【9月10日10:00】
  METAR RJSM 100100Z 04006KT 010V070 9999
  FEW010 BKN020 BKN040 25/21 Q1013

【9月10日13:00】
  METAR RJSM 100400Z 06009KT 9999 SCT008
  SCT010 25/21 Q1012

 この中で「9999」とあるのが視程で、視程10km以上を示している。視程は問題ない。その次に「FEW、BKN、SCT」が見られるが、これが雲量で問題となる。

 FEW(フュー=少しの)は全天の1/8~2/8に雲があることを示している。少しの雲であり、避けなければならないが影響は少ないといえよう。
 BKN(ブロークン=隙間あり)は全天の5/8~7/8に雲があり、隙間はあるというものの、ほとんど雲に覆われ、雲底(シーリング)とみなされる。当初の展示時間には2000ft(020)と4000ft(040)の高さにBKNがあり、ブルーインパルスの曲技飛行は第4区分でも3000ftの雲底でなければならないため、その条件を満たしていなかった。

 SCT(スキャター=散在している)は全天の3/8~4/8に雲がある状態で、13時にはこれが800ft(008)と1000ft(010)に現れている。雲底は解消されたが、全天の半分にある雲を避けて宙返りを行うのは難しい状況だ。 

画像: 5番機が最初に単独で上がり、展示飛行で使う空域を天候偵察した

5番機が最初に単独で上がり、展示飛行で使う空域を天候偵察した

画像: 全天の半分を覆う雲を避けて、その上で最初のデルタ・ローパスから展示飛行が開始された

全天の半分を覆う雲を避けて、その上で最初のデルタ・ローパスから展示飛行が開始された

 午後に変更したことで雲の状況は若干好転したが、曲技飛行を実施するまでには至らなかったようだ。5番機が先に離陸し展示飛行の空域をくまなく天候偵察して回った後、残りの5機が離陸し、航過飛行が始まった。
 最初の2課目は雲の上で実施された。これは今年の石巻川開き祭りを彷彿とさせる雲の隙間から展示飛行を見せる方法だった。3課目目からは雲の下に降りてきた。これは石巻と違い周囲に高い山や建造物のない三沢飛行場だからできたことであり、様々な基本隊形を最も見栄えのする高度帯で見られたことは、ブルーインパルスの基本隊形の持つ美しさや迫力が際立ち画期的であった。

三沢基地航空祭2023 ブルーインパルス展示課目

①デルタ・ローパス
②リーダーズ・ベネフィット・ローパス
③ポイント・スター・ローパス
④スワン・ローパス
⑤グランド・クロス・ローパス
⑥エシュロン・ローパス
⑦ピラミッド・ローパス
⑧ツリー・ローパス
⑨フェニックス・ローパス

三沢基地航空祭2023 ブルーインパルス展示メンバー

1番機 川島良介3空佐(飛行班長)、後席・江尻卓2空佐
2番機 東島公佑1空尉
3番機 藏元文弥1空尉、後席・林幸一郎3空佐
4番機 手島孝1空尉
5番機 江口健3空佐、後席・藤井正和3空佐
6番機 加藤拓也1空尉
地上統制官 名久井朋之2空佐(飛行隊長)
ナレーター 松永大誠1空尉(ナレーションデビュー)

地上展示機の多さに圧倒される

 エプロン地区の東にあるファルコンゲートから入場し、手荷物検査を受け、地上展示機をすべて撮ろうと歩き始めた。最初に目に入ってきたのが令和4年に新編された偵察航空隊の無人偵察機RQ-4B(グローバルホーク)だ。そこからA2誘導路辺り西の端まで1.4kmほど歩いて地上展示機を撮影した。
 機内を公開した輸送機には長い行列ができていた。
 空自三沢ヘリコプター空輸隊ではCH-47Jと共に5tもの水を運ぶためのバケツを展示し、間近にみるバケツの大きさに圧倒された。
 B-52やB-1Bといった戦略爆撃機の姿はなかった。だが、日頃、見ることのできない航空機をこれだけ見られる航空祭もなかなかない。

会場では各部隊がブースを設けて来場者と交流した

 ブースを設けて、部隊や機体の説明をする部隊もあり、来場者との交流の場となっていた。空自第302飛行隊は自身の地上展示機であるF-35Aの前に机を置いて大勢の隊員でファンに対応していた。
 米軍のブースでは「どこから来ましたか?」「三沢です」「え?三沢って空軍の基地でしょ?」「空軍と海軍の基地です」と、こんな会話をして、米軍の場合には独自のグッズも販売しており、ついついこれを買ってしまい財布のお金がなくなっていくという体験をついついしてしまった。

画像: 空自第302飛行隊は地上展示機の前に机を置いて隊員たちが来場者と交流した

空自第302飛行隊は地上展示機の前に机を置いて隊員たちが来場者と交流した

画像: 韓国オサン空軍基地に配置されているA-10部隊の第25戦闘飛行隊は、イギリスのヘヴィメタルバンド「アイアン・メイデン」のTシャツを販売していた。なぜアイアン・メイデンのTシャツなのか尋ねると「アイアン・メイデンがオサンに来てくれて、それでこのデザインを作ってくれたの」と答えが返ってきた。帰ってからネットを調べたりアイアン・メイデンのコピーバンドをやっていた知人にその事実を聞いたりしてみたが、わからなかった。飛行機好きで有名なアイアン・メイデンであるが、公表されていない慰問演奏などをしているのかもしれない

韓国オサン空軍基地に配置されているA-10部隊の第25戦闘飛行隊は、イギリスのヘヴィメタルバンド「アイアン・メイデン」のTシャツを販売していた。なぜアイアン・メイデンのTシャツなのか尋ねると「アイアン・メイデンがオサンに来てくれて、それでこのデザインを作ってくれたの」と答えが返ってきた。帰ってからネットを調べたりアイアン・メイデンのコピーバンドをやっていた知人にその事実を聞いたりしてみたが、わからなかった。飛行機好きで有名なアイアン・メイデンであるが、公表されていない慰問演奏などをしているのかもしれない

画像: EA-18Gの部隊である米海軍第132電子戦飛行隊も三沢に配置されている海軍の部隊だ。紙の袋に入っただけのDVDとストラップを買った。割れないように持ち帰って視聴したが、空中給油シーンやミサイル発射シーンも入ったなかなか本格的な映像だった。6分強で1500円。高いのか安いのか。少なくとも他では手に入らない映像だろう

EA-18Gの部隊である米海軍第132電子戦飛行隊も三沢に配置されている海軍の部隊だ。紙の袋に入っただけのDVDとストラップを買った。割れないように持ち帰って視聴したが、空中給油シーンやミサイル発射シーンも入ったなかなか本格的な映像だった。6分強で1500円。高いのか安いのか。少なくとも他では手に入らない映像だろう

画像: 哨戒機P-8Aの米海軍第26哨戒飛行隊もTシャツを販売していた。この部隊も三沢に展開しているようだ。お薦めの色を訪ねると青の方だという。ブルーエンジェルスと同じ色だねというと喜んでいた

哨戒機P-8Aの米海軍第26哨戒飛行隊もTシャツを販売していた。この部隊も三沢に展開しているようだ。お薦めの色を訪ねると青の方だという。ブルーエンジェルスと同じ色だねというと喜んでいた

三沢基地所属機等による展示飛行

 展示飛行は、空自第601飛行隊のE-2D(E-2C/D40周年記念塗装機)を筆頭に、三沢基地所属機が展示飛行を繰り広げた。F-35Aの機動飛行やF-16Cの曲技飛行がかなりの迫力を見せ、戦闘機では空自千歳基地より第201飛行隊F-15Jもリモートで機動飛行を展示した。
 一連の展示飛行は午前中に実施され、午後ブルーインパルスの後に、CH-47Jの放水を含むデモとF-35AとF-16Cによる航過飛行で15時頃、締めくくられた。
 その他、共用飛行場のため民航機の離発着も見ることが出来た。これも展望デッキとは違う滑走路と同じ高さからの眺めであり、一味違う光景となった。

《取材・撮影》ブルーインパルスファンネット
今村義幸(文)/伊藤宜由


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