ポスターは募集・採用の重要なプロモーション
陸幕 募集・援護課のインタビューでも触れた通り、自衛官募集のポスターや動画は、応募のきっかけになるケースも多く、重要なプロモーションの一端を担っている。
地本では、一般公募をはじめ、毎年独自に自衛官募集ポスターを制作。マンガやアニメのキャラクターを起用するなど、自衛隊への関心や理解を促すため、さまざまな工夫をこらしている。
一方、総本山である防衛省が展開する自衛官募集ポスターは、現役自衛官をモデルに起用するなど正統派のデザインが中心だ。
ポスターに登場する自衛官はまさに「顔」。出演者はどのように決められ、どのような役割を担っているのか、かつて自衛官募集のポスターや動画に出演した松原聡志2空曹に話を聞いた。
当時の様子や反響、そして出演から4年が経った現在、どのような心境の変化があったのかなど、思いを語ってもらった。
「自衛官の顔」として動画やラジオ出演に奔走
──自衛官募集のポスターや動画に出演された経緯を教えてください。
松原2曹 先任曹長から「こういう企画があるんだが、やってみないか」と推薦されたのがきっかけです。
このような広報活動は初めてだったのですが、募集・採用活動に貢献できればと思い、チャレンジしました。
私だけでなく、各地から多くの隊員が推薦されているので、選考通過は難しいというお話でした。だから、「選考が通った」と聞いた時は驚きましたね。
当初はポスターのモデルとしか聞いていなかったのですが、後から動画も撮ると知りびっくりしました。実はその後ラジオにも出演したんですよ。
この入間基地からは3人選出されたのですが、それぞれ部隊が異なることもあり、みんな初対面でした。でも、撮影がきっかけで知り合えたので、その後も挨拶を交わす仲になりました。
撮影は楽しく、とてもいい経験になりました。
──ポスターに動画、さらにはラジオ出演と、まさに「自衛官の顔」として奔走したんですね。松原さんは現在、どのような業務をされているのですか。
松原2曹 ポスターに登場する空自隊員というとパイロットのイメージがあると思いますが、私はパイロットではなく空中輸送員です。
ロードマスターとも呼ばれ、航空機内に荷物を搭載して、必要とされている場所に届けるのが主な任務です。
輸送機の搭乗員は、操縦するパイロット以外にも、機上整備員や空中輸送員、無線員もいます。さまざまな職種の隊員が1つのクルーとして輸送機に搭乗して任務にあたります。
撮影時もパイロットという職種に限定せず、「搭乗員」として選抜したという企画側の狙いがあったのだと思います。
それから、空中輸送員という職種は、さまざまな輸送機に乗れるのも特徴です。
入間基地でもC1やC2などの輸送機をはじめ、U4という多用途支援機にも搭乗します。
そのほかにも輸送機C130H、空中給油機KC767、輸送ヘリコプターCH-47J、そして、千歳基地にあるB777という政府専用機など、本当にいろいろな航空機に搭乗できるのが魅力ですね。
空中輸送員は、貨物室の責任者として、人員・貨物の搭載や、しゃ下に関する計画の立案、機体の重量重心の算出も行う、空輸のプロフェッショナル。
実は空自でも人気の職種で、入隊後すぐになれるわけではなく、選抜試験に合格しなくてはならない。
頑張り次第で活躍のフィールドが広がる。自衛隊には「成長できる舞台」が整っているのだ。
予想以上の大反響! 電車で「これ、あなた?」と声をかけられ…
──ポスターや動画に出演された当時、反響はありましたか。
松原2曹 すごく多くの反響がありました。小・中学校の同級生などの旧友から「ポスターを見たよ」と連絡があったり、父にも喜ばれました。
実は父にはポスター出演の話はしていなかったのですが、役場などに貼られているポスターを見て驚いたそうです。「誇らしい」と言ってもらえたのが嬉しかったですね。
防衛省の自衛官募集サイトをはじめ、YouTubeやWeb広告にも出ていましたので、本当に多くの方に見てもらえたんだなと実感しました。
電車の中吊り広告にもポスターが貼ってあったのですが、ある日、電車に乗っていたら、見知らぬ女性が車内のポスターを指し「これ、あなた?」と話しかけてこられたこともあり、びっくりしましたね(笑)。
──松原さんの出演された動画を見て、「私もああいう自衛官になりたい」と応募されたなどの声はあったのでしょうか。
松原2曹 直接そのような声は聞いてないのですが、私が熊本出身ということもあり、熊本地本の本部長から「ぜひ地元・熊本でも広報活動をしてほしい」と連絡をいただきました。
その時に、ポスターや動画が志願のきっかけになったり、応募の後押しになっているという声も多いと聞きました。
自分が募集・採用に貢献できたという実感が湧き、本当によかったなと思いました。