【2022年7月22日(金)1面】 2022(令和4)年度第1四半期(4~6月)の空自の戦闘機による緊急発進(スクランブル)の実施回数が計235回に上り、昨年度同時期までと比べて100回近く増加したことが、統合幕僚監部が7月8日に発表した実施状況で分かった。対象国・地域別(推定含む)では、中国機が約73%を占めた。空母からの戦闘機などによる度重なる発着艦や、ロシア機との長距離共同飛行など、海洋進出を活発化させる中国の動向が改めて浮き彫りとなったかたちで、防衛省・自衛隊はさらなる情報収集に努めるなど、警戒を強めている。
対中国機が73% 爆撃機など確認
統幕によると、2022年度第1四半期のスクランブルは、235回で、昨年度同時期(142回)に比べて93回増加した。年度全体のスクランブルが高い水準となった13(平成25)年度以降、第1四半期の時点で200回を超えたのは約半数あり、22年度も比較的高い水準となった。
国・地域別(推定含む)では、中国機に対するスクランブルが全体の約73%にあたる171回で、昨年度同時期(94回)比約80回の増加となった。13年度以降、第1四半期に中国機に対するスクランブルが170回を超えたのは、4度目。一方、ロシア機に対するスクランブルは、全体の約25%の58回で、前年度(48回)よりやや増加した。
中国機へのスクランブルは、特に5月が顕著。日本海、東シナ海、太平洋における中国H6爆撃機とロシアTu95爆撃機による長距離にわたる共同飛行や、太平洋における空母「遼寧」からの300回を超える艦載戦闘機、艦載ヘリの発着艦が確認されるなど、中国機による活発な活動を示す事例がみられた。統幕は、これらが中国機に対するスクランブルの増加につながっているとみている。
このほか、中国機による沖縄本島と宮古島の間の通過、推定ロシア機による日本海の飛行を含め、特異な飛行として17件を公表。この中には、4月7日、中国Y9電子戦機1機が太平洋を飛行し、対領空侵犯措置で初めて確認された。