日米が当日に共同訓練

 【2022年6月9日(木)2面】 防衛省は6月5日、北朝鮮が同日午前9時台に3カ所以上の地点から、弾道ミサイルを少なくとも6発発射したと発表した。いずれも落下したのは、北朝鮮東側の沿岸付近や日本海で、日本の排他的経済水域(EEZ)外と推定される。航空機や船舶からの被害報告などの情報は確認されていないという。一方、同省は自衛隊と米軍が同日、弾道ミサイルの発射を想定した共同訓練を実施したことを明らかにした。北朝鮮のミサイル発射を受け、日米が連携して対抗措置を取ったとみられている。

 防衛省によると、弾道ミサイルは午前9時6分ごろ=北朝鮮西岸付近から▽同10分ごろ=同東岸付近から▽同15分ごろ=同西岸付近から▽同24分ごろ=同内陸部付近から▽同30分ごろ=同西岸付近から▽同41分ごろ=同内陸部付近から-の6発。この弾道ミサイルの中には、少なくとも1発以上が変則軌道で飛翔した可能性があるという。

 さらに、この6発以外にもミサイルを発射した可能性があり、同省は関連する情報を収集し、分析している。

 北朝鮮によるミサイルの発射は、今年に入ってから巡航ミサイルの発射を含めれば17回におよぶ。

 一方、報道などを総合すると、今回、北朝鮮が発射した弾道ミサイルは計8発とする情報もある。
 防衛省では、岸田文雄首相に報告を行ったほか、政府は、総理大臣官邸の危機管理センターに設置している官邸対策室に関係省庁の担当者をメンバーとする緊急参集チームを招集し、情報の収集と被害の確認などにあたり、首相が情報収集・分析に全力を挙げることなどを指示した。

 これを受けて、岸信夫防衛大臣が、(1)米国などと緊密に連携しつつ、情報収集・分析に全力を挙げる(2)不測の事態の発生に備え、引き続き警戒監視に万全を期す-の2点について指示を出した。

 岸大臣は5日午前11時すぎに防衛省内で臨時記者会見を行い、「かつてない高い頻度で、かつ新たな態様での発射を繰り返している。今回のように、少なくとも短時間で3カ所以上から、極めて多い発数の発射は異例」と述べた。

 また、大臣は北朝鮮が2017年3月6日に4発のミサイル「スカッドER」を同時に発射し、いずれも1000キロ以上飛翔した後、北朝鮮が「『連発発射訓練』『同時発射訓練』を成功裏に実施した」などとする発表を行った過去の事例を出し、複数の場所から発射した今回についても、「飽和攻撃などに必要な連続発射能力の向上といった狙いの可能性がある」と指摘。引き続き、分析を行う必要があるとしている。


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日米共同弾道ミサイル対処訓練で情報共有手順を確認

 統合幕僚監部は6月5日、北朝鮮による度重なる弾道ミサイル発射など、より厳しさを増す安全保障環境の中、自衛隊と米軍が同日、日米共同弾道ミサイル対処訓練を実施したと発表した。北朝鮮が同日朝、少なくとも6発の弾道ミサイルを発射したことを受け、日米が連携して対抗措置を取ったとみられる。

 訓練では、強固な日米同盟の下、自衛隊と米軍の即応態勢を確認し、弾道ミサイルの脅威に対処する日米の強い意思と緊密な連携を内外に示すとともに、同盟関係のさらなる強化を図った。海自からは、イージス艦「あしがら」、空自の地対空誘導弾「ペトリオット」(PAC3)が参加したとみられ、日米の間で情報を共有する手順などを確認したという。

 防衛省は「自衛隊と米軍は日本の防衛、地域の平和と安定の確保のため平素から緊密に連携し、あらゆる事態に即応するため、万全の態勢を維持する」としている。

画像: 統合幕僚監部発表資料から

統合幕僚監部発表資料から

脅威に対応するため、抑止力・対処力強化で一致

 山崎統幕長は6月1日、統幕を訪問したラカメラ国連軍兼米韓連合軍兼在韓米軍司令官と会談を行った。

 統幕長は、ラカメラ司令官の訪日を歓迎する旨を述べるとともに、先般のミサイル発射を含む朝鮮半島の安全保障環境について認識を共有し、意見交換を行った。

 また、両者は、日米韓連携の重要性を再確認するとともに、地域の平和と安定を脅かす一方的な現状変更の試みや核や弾道ミサイルなどによる脅威に対し、断固としてともに対応するため、必要な抑止力・対処力を強化していくことで一致した。

画像: 統合幕僚監部ツイッターから

統合幕僚監部ツイッターから


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