沖縄南方海域で5月3日から連日

 【2022年5月17日(火)2面】 中国海軍の空母「遼寧」が5月3日以降、沖縄南方の太平洋で実施している艦載戦闘機やヘリなどの発着艦が200回を超えていることが、防衛省の同15日までの調査で分かった。回数の公表は異例。発着艦は同13日を除いて毎日行われている。岸信夫大臣によると、日本にこれまでで最も近接し、台湾にも近い海空域での実施とされ、同省は「引き続き強い緊張感をもって情報収集などを実施する」としている。

画像: 写真:統合幕僚監部提供

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岸大臣「懸念を持って注視せざるを得ない」

 統合幕僚監部の15日までの発表によると、遼寧はレンハイ級ミサイル艦やルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦など、ほかの艦艇とともに5月2日、沖縄本島と宮古島(沖縄県)の間の海峡を南下した。3日に沖大東島(同)の南約160キロの海域を航行し、同日正午ごろから約6時間にわたり、艦載戦闘機「J15」、艦載ヘリ「Z18」などの発着艦を行った。

 4日にも、沖大東島南西約230キロの海域を航行し、同日正午ごろから午後6時ごろにかけて発着艦を実施した。

 5日は午後2時ごろから同8時ごろまで行ったほか、6日からは実施が朝から夜までの長時間となり、この日は午前9時ごろから午後9時ごろまでの約12時間。7日以降も、午前9~10時ごろから午後7~9時ごろまで行っていたことが確認されている。

 防衛省・自衛隊は連日、護衛艦「いずも」などにより情報収集・警戒監視を行うとともに、戦闘機を緊急発進させるなどして対応した。

 発着艦が100回を超えた際、岸大臣は10日の会見で、「3日から8日の間、これまで確認された中でわが国に最も近接した海域で発着艦を実施したことを確認した。中国軍の活動は、空母などの運用能力やより遠方の海空域における作戦遂行能力の向上を企図した活動である可能性があり、わが国南西諸島、台湾に近接した海空域における活動であることを踏まえれば、懸念をもって注視せざるを得ない」と述べた。

 一方で、台湾に近い海峡で実施されていることから、「台湾有事を想定した訓練」との見方については、「懸念をもって注視せざるを得ない。引き続き警戒監視を続ける」と同様の言い回しを繰り返した。

画像: 岸大臣「懸念を持って注視せざるを得ない」

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