こんにちは、元警察官のゆうきです!
突然ですが皆さんは非接触事故をご存知ですか?
おそらくほとんどの方が事故は車両や人が衝突して起きるものと考えているのではないでしょうか。
ところが事故の中には発生件数こそ少ないですが、衝突がない事故が存在します。
今回はその非接触事故について解説していきます。
交通事故の定義
何度も耳にしたことがある「交通事故」という言葉ですが、皆さんは正確に交通事故についてどのように定義されているか認識していますでしょうか?
そこで、警察庁のWEBサイトを見てみると以下のように定義されていることがわかります。
「交通事故」とは、道路交通法第2条第1項第1号に規定する道路において、車両等及び列車の交通によって起こされた事故で、人の死亡又は負傷を伴うもの(人身事故)並びに物損事故をいう。
この定義のポイントは「車両等及び列車の交通によって起こされた事故」という部分です。
非接触事故とは
先ほど「車両等及び列車の交通によって起こされた事故」とありましたが、この定義において接触の必要性は明記されていません。
つまり、接触しなくても事故として認められるケースがあり、そのような事故のことを「非接触事故」と呼びます。
接触していないのに事故?と思う方もいると思いますので次にどのようなケースがあるか確認していきましょう。
どのようなケースが考えられるか
・横断歩道を歩行中に車両がギリギリまで走行してきたため驚いて転倒し打撲
・自転車が走行中に曲がり角で歩行者とぶつかりそうになり避けた歩行者が転倒して骨折
・方向指示器を出さずに急に車線を変更した自動車を避けようとしたバイクがバランスを崩し転倒
いずれの場合も転倒しただけでは非接触事故としては成立せず、転倒したことで受傷したということが必要になります。
バイクなどで転倒した際に車体のみが破損した場合は単独事故という扱いで受理されます。
アッと思ったその時は
走行中に自分の車両に驚いて転倒した人がいるときは、直ちに救護義務を履行しましょう。
救護を行わなかった場合は道路交通法違反となったり、被害者からの情報のみで捜査が始まることもあるため結果として不利な立場になります。
また、自分が被害者で車が停止せずに走行していった場合は110番通報をし、事故があった旨を伝えて実況見分を行ってもらいましょう。
時間や車の特徴がわかれば近くの防犯カメラから車両が特定できるかもしれません。
〈参考法令〉
道路交通法第72条
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
道路交通法第117条
車両等(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があつた場合において、第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反したときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
道路交通法第117条第2項
前項の場合において、同項の人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
最後に
歩行者に寄り添ったルールになっている一方で、それを逆手に取り金銭を要求しようとする人もいます。
歩行者が転倒して怪我をしたと言った場合でも焦らずに警察を呼んで対応するようにしましょう。
警察が事故に介入せずに当事者同士で解決しようとすると、さらに要求がエスカレートする恐れもあります。
そのような事態を避けるためにもまずは日頃から安全運転を心がけていきましょう。
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