【2022年4月28日(木)1面】 4月23日午後1時15分ごろ、北海道知床半島の斜里(しゃり)町沖合の「カシュニの滝」付近で、乗客24人、乗組員2人の計26人が乗った観光船「KAZU1(カズワン)」から「船首部分から浸水し、沈みかかっている」と海上保安庁第1管区海上保安本部(北海道小樽市)に通報があり、海保、警察などがヘリや巡視船などで捜索活動を続けた。また、同7時40分には、1管本部長から空自2航空団司令(千歳・北海道千歳市)に対し、要救助者の捜索に係る災害派遣要請があり、同8時29分以降、陸海空自がU125救難捜索機、P3C哨戒機、UH1機、護衛艦などで捜索活動などを続けた。現場では、26日までに11人が救助されたが、全員の死亡が確認された。海保などは残る15人の不明者の捜索に全力を挙げている。

海保から災派要請 護衛艦など出動

 1管は、業務上過失致死や同過失往来危険の疑いで捜査を続け、事故の原因などを調べている。また、24日午後には、運航会社の「知床遊覧船」(斜里町)に対する特別監査のため、国土交通省運輸安全委員会の船舶事故調査官3人が現地入りした。

 岸田文雄首相は24日、熊本市で行われた「水サミット」の出席中に事故の報告を受け、行方不明者の捜索と救助に引き続き全力を尽くすよう指示。翌朝、斉藤鉄夫国土交通大臣を現地に派遣した。

 1管によると、乗客24人の年齢は10歳未満から70代。亡くなった11人のほとんどは、カズワンが救助要請をした海域から10キロほど北東の海上や岩場などから発見されたという。

画像: 海保から災派要請 護衛艦など出動

 現場海域は、暗礁が多く、座礁しやすいことで知られている。網走地方気象台などによると、事故発生の23日は現場海域に朝から強風・波浪注意報が出されていたという。

 また、1管は24日、観光船の乗組員2人は、豊田徳幸船長(54歳)と、曽山聖甲板員(27歳)であることを明らかにした。

 防衛省によると、この事故で自衛隊は発生直後から、関係自治体などに多くのLO(連絡員)を派遣した。

 25日には、政府現地対策本部(斜里町ウトロ支所)に2人、北海道庁に1人、第1管区海上保安本部に1人、ウトロ漁村センターに4人の計8人を派遣。情報収集や各種調整にあたった。

画像: 統合幕僚監部ツイッターより

統合幕僚監部ツイッターより

<活動状況> 防衛省4月25日発表より

【U125(固定翼)】
 ・4月23日午後8時29分以降=空自千歳救難隊(千歳・北海道千歳市)の1機、空自救難教育隊(小牧・愛知県小牧市)の1機が捜索活動を実施
 ・25日午後2時23分以降=千歳救難隊の1機が捜索を実施
【P3C(固定翼)】
 ・23日午後11時44分以降=海自2航空群(八戸・青森県八戸市)の2機が捜索活動を実施
 ・25日午前8時30分以降=2航空群の1機が捜索活動を実施
【UH60(回転翼)】
 ・24日午前7時39分以降=千歳救難隊の1機が捜索活動を実施
 ・同午前8時1分=千歳救難隊が要救助者1人を発見、同8時24分、同機により収容完了
 ・同9時27分以降=空自秋田救難隊(秋田・秋田市)の1機が捜索活動を実施
 ・同=海上保安庁が発見した要救助者1人について、千歳救難隊の1機が午前10時11分に収容完了
 ・25日午前5時29分以降=千歳救難隊の1機、秋田救難隊の1機により捜索活動を実施
【UH1(回転翼)】
 ・24日午前7時45分以降、北部方面航空隊(丘珠・札幌市)の2機が映像伝送を実施
 ・25日午前7時20分以降、北部方面航空隊の2機が映像伝送を実施
【E2(固定翼)】
 ・24日午後2時55分以降=レーダー覆域の補完、通信中継のため、空自の早期警戒管制機を運用開始
 ・25日午前10時25分時点=空自飛行警戒監視群(三沢・青森県三沢市)の1機が活動を実施
【E767(固定翼)】
 ・25日午後0時28分以降、空自飛行警戒管制群(浜松・浜松市)の1機が活動を実施
【護衛艦「せんだい」】
 ・24日午前0時10分、大湊を出港
 ・25日午前2時42分以降=現場周辺海域で捜索活動を実施


◆関連リンク
防衛省 統合幕僚監部
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