はじめに
総合防災コミュニティ「学防 manabou」運営メンバーの生活密着型ママ防災士セイコです。主婦と子どもの視点から考える「普通の暮らしの中の防災」を担当しています。
今年も台風1号が発生しました。まだ桜を楽しんだばかりのような気がしますが、同じ頃にミクロネシアで発生した台風が小笠原諸島に最接近。停電被害があったそうです。
台風は毎年発生しますし、豪雨被害も増えています。気象現象は止められませんが、避難をすることで命を守ることはできるはず。
台風や大雨は規模や進路、おおまかな接近日時の予測情報を得ることができるところが、同じく日本で懸念される災害である地震と大きく違います。
水害も恐ろしい災害ではありますが、計画的に準備態勢を整えるチャンスがあるのです。
災害発生が予測されると避難情報が流れます。ですが実際に避難するのは一人ひとりの判断と行動。
いざ災害が近づいてから考え始めるのでは慌ててしまうし、間に合わないかも知れません。
今のうちに、自分は避難するべきなのかを知り、いつ・どのように避難するのか?を考えておきましょう。
そこで便利なのがマイ・タイムラインです!
マイ・タイムラインって?
マイ・タイムラインは、台風など大雨が長く続くときや急激な豪雨による水害が発生する場所にいる人が、いつ、どのような避難行動をとるべきなのかを、一人ひとりの立場で事前に時系列的に整理し計画しておくものです。
ポイントは "マイ" 。英語の ”my” = ”私の” という意味。同じ場所にいても適切な避難行動は人それぞれ。マイ・タイムラインはまさに、”その人その人の安全確保のためのタイムライン”なのです。
なんとなく知ってはいるというだけの避難行動も、自分にあてはめて考えてみると、それまで気づかなかった自分が事前にしておくべきことが見えてきます。
マイ・タイムライン作成のおおまかな流れ
[自分のリスクを知る]
①ハザードマップ等で自分のいる地域の災害リスクを確認します。
・洪水浸水想定区域?
・土砂災害警戒区域?
・洪水浸水深はどのくらい?
②自分や家族の身体的リスクを確認します。
・高齢者・障がい・乳幼児・妊婦など避難に支援が必要な人はいませんか?
・ペットのことも忘れずに!
③避難場所や避難経路を確認します。
避難場所までの移動手段と、移動にかかる時間も考えます。ポイントは、避難経路の災害リスクも確認しておくこと。
④調べた災害リスクと建物の構造などを考慮し、自分にとって基本的な避難パターンを明らかにします。
水害時に考えておくべきは、自宅の安全性だけではありません。ハザードマップを少し広く見てみると、自宅近辺は被害が無さそうでも自宅を囲む地域に広く被害想定が出されている土地もあります。
自宅地域の周囲に大きな被害が生じた場合、地域が孤立してしまったり、ライフラインの停止や道路の寸断などで自宅での避難生活にも困難が発生しえます。
十分な備蓄をしておくといった在宅避難の準備を入念に整えておくべきですし、定期的な通院が必須といった場合は、スムーズな通院を継続できる場所に移動しておいた方がよいかも知れません。
自宅が安全な場所にあっても、人によっては、被害想定地域の外へ避難しておくべき場合もあるのです。
[個人個人の行動タイムラインを考える]
災害発生時を起点に、するべきことに要する時間を逆算していくことで、どのタイミングで何をしておけば避難が間に合うのかを考えます。
こうしてマイ・タイムラインを検討してみると、警戒レベル4「避難指示」が発令されてから避難するのでも間に合う人もいれば、警戒レベル3「高齢者等避難」で避難をしておいた方が良い人もいます。あるいはさらに早い時点でホテルに移動する、ペットを安全な場所に預けるといった行動をとり始めるべき人もいるでしょう。
マイ・タイムライン作成のためのガイドや用紙を手に入れる
専用の用紙がないと作れないわけではありませんが、地域の防災講習会などで書き込みやすく作られた作成シートなどが配付されることがあります。
また居住地域の防災パンフレットに掲載されていたりインターネットでダウンロードすることができる地域もあります。
私が暮らす神奈川県藤沢市ではインターネットから印刷することができますが、市役所の災害対策課でも配布されていました。
お住まいの地域からマイ・タイムラインの用紙が発行されていない場合は国交省や他地域の用紙を利用することもできます。
記入すべき内容の基本事項はどの地域でもほぼ同じです。サイズや体裁、デザインは地域によってまちまち。ご自分が記入しやすそうなものを選んでも良いと思います。
地域で発行されているマイ・タイムラインには、その地域ならではの便利な防災情報が掲載されていることもあります。
まずは「マイ・タイムライン 〇〇市」のように検索をして、近い地域のマイ・タイムラインを探してみるもおすすめです。
PC・スマホで直接作成できるサイトやアプリも!
手書きの余裕がない方には、PCやスマホを使ってデジタル入力で進められるサイト・アプリもあります。
デジタル版の良いところは、マイ・タイムラインを持ち歩け、いつでも確認・修正できるところ。
台風接近時にお出かけしていても、帰宅時にどういう行動をとればよいか再確認しておけばスムーズな避難行動につなげることができるでしょう。
横浜市公開の防災アプリ「横浜市避難ナビ」にもマイ・タイムライン作成コーナーがあります
はじめに直接ハザードマップにアクセスできるリンクがあります。ハザードマップを別に用意する手間がありません。
マップ上で検討したい場所を指定すると自動でその場所の災害リスクが表示されます。
警戒レベルごとに自分がするべきことをリストから選択したり、自由記入で自分に必要な行動を書き込むことができます。
避難が必要な地域の場合は、避難場所の検索も自動でできるようになっています。
あなたのマイ・タイムライン、考えたことはありますか
手書きでもデジタル入力でも、お好みのスタイルでぜひマイ・タイムラインを作ってみてください。
ハザードマップやタイムライン記入用紙はインターネットで確認できますから、遠く離れて住んでいる家族のタイムライン作成を手伝うこともできます。
避難に伴う行動一つ一つにどれだけの時間を要するのか把握できているだけで、逃げ遅れを回避できる可能性が高まります。
子どもにレインウェアを着せて避難所までに歩かせるのに何分かかるのか。風雨が強くなれば歩かせることもベビーカーも不可能で荷物と子どもを抱いて歩けるだろうか。無理ならいつ頃、避難を開始すべきなのか。
指定避難所はペットの受け入れがあるのか。ペットホテルにはいつ預ければよいのか。在宅で安全そうだけれど早めに買い出しに行っておこう、ベランダの排水溝を掃除しておこう、そんなことも計画にいれておけると思います。
ちなみに私のマイ・タイムラインはかなり早い段階からスタートします。
【警戒レベル1:おばあちゃんに「〇月〇日頃、避難のためにホテルに行くかもしれないので、億劫かも知れないけれど私とお泊りに出かけてくださいね」と説得しておく】
なぜなら直前に避難を促しても拒否されてしまう恐れがあるからです。
人の生活環境は年々変化があります。子ども・ペット・地域の環境など、避難行動に大きく影響する条件が変わることもありますから、マイ・タイムラインは一度作って満足するのではなく、随時内容チェックをしましょう。
また、記入内容はあくまでも想定の計画です。記入内容にしばられず、避難時の判断をサポートする参考資料であることを忘れないでください。
マイ・タイムラインの最終段階には「もし避難できなかったら命をまもるためにできること」の記入欄があります。でも、どうぞここに当てはまる前に無理のない避難を完了しておいて下さい!
避難すべき人が確実に避難できるよう、みなさんの最初の1歩をぜひ考えてみてください。
下記リンク「ハザードマップポータルサイト」から全国のハザードをチェックすることができます。
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