【2022年3月29日(火)1面】 防衛省によると、北朝鮮が3月24日午後2時33分ごろ、朝鮮半島西岸付近から1発の弾道ミサイルを東方向に発射した。ミサイルは過去最長となる約71分飛翔し、同3時44分ごろ、北海道の渡島(おしま)半島の西方約150キロの日本海=わが国の排他的経済水域(EEZ)内=に落下したと推定される。飛翔距離は約1100キロ、最高高度は約6000キロを超えるとみられ、岸信夫防衛大臣は同25日の閣議後会見で、新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)級と推定した上で、「これまでの一連の発射とは次元の異なる深刻な脅威」として警戒を強めている。

岸大臣「次元の異なる脅威」

 北朝鮮よるミサイル発射は、今年に入って11回目。25日時点で、航空機や船舶からの被害報告などの情報は確認されていない。

 防衛省の24日の発表によると、発射された弾道ミサイルは、2017年11月に発射したICBM級弾道ミサイル「火星15」の4000キロ超を大幅に上回る高度で飛翔したことを踏まえ、新型のICBM級弾道ミサイルであると考えられるとしている。

 また、2月27日と3月5日に2発発射したものと同じICBM級とみられるとし、通常より高い角度で打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射したと推定。防衛省などによると、岸大臣は25日の会見で、今回の弾道ミサイルが弾頭の重さによるとした上で、通常軌道で発射された場合には、1万5000キロを超える射程となり得るとし、その場合は東海岸を含む全米が射程に含まれるとの分析を明らかにし、強い懸念を示した。

      ◇

 防衛省では24日、政府内や関係機関に対して速やかに情報共有を行い、岸田文雄首相が情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して迅速・的確な情報提供を行うことなどを指示。これを受けて、岸大臣が米国などと緊密に連携し、警戒監視に万全を期すため、関係幹部会議を開催した。

 24日、防衛省内で臨時会見した鬼木誠副大臣は「何ら事前の通報もなく、わが国EEZ内に着弾させたことは、航空機や船舶の安全確保の観点からも極めて問題のある危険な行為。国際社会に対する挑発を一方的にエスカレートさせるような発射を強行しており、断じて容認できない」と述べていた。

 防衛省は、「一連の北朝鮮の行動は、わが国、地域および国際社会の平和と安全を脅かすもので、関連する安保理決議に違反する」とし、北朝鮮に対して厳重に抗議し、強く非難した。

画像: 防衛省・自衛隊ツイッターより

防衛省・自衛隊ツイッターより

F15が空中で確認か

 北朝鮮が3月24日、新型のICBM級弾道ミサイルを東方向に発射したことを受け、防衛省・自衛隊は同日、海自2航空群所属のP3Cと空自の2航空団所属のF15を発進させ、青森県沖で被害情報の収集を行ったと発表した。

 この際、「F15が、発射された弾道ミサイルに関連していると推定されるものを空中で確認した」として同省ホームページで公開した.

G7出席の岸田首相 「断固として避難する」

 北朝鮮が新型のICBM級弾道ミサイルを発射したことを受け、岸田文雄首相は3月24日、先進7カ国(G7)首脳会議出席のため訪問しているベルギー・ブリュッセルで「許せない暴挙。断固として非難する」と述べ、国家安全保障会議(NSC)を速やかに開催することを指示したことを明らかにした。

 首相官邸ホームページによると、首相は「日米、日米韓をはじめ関係国としっかり連携を取りながら対応する。また、G7でも対応での連携、確認をしたいと考えている」と述べた。

日米防衛相が電話会談 「両国にとって深刻」で一致

 防衛省によると、岸防衛大臣は3月24日、オースティン米国防長官と電話会談を行った。

 両閣僚は、北朝鮮による一連の弾道ミサイルの発射は、関連する国連安保理決議に違反するものであり、特に、ICBM級弾道ミサイルの発射は、両国にとって深刻なものであることで一致した。

 両閣僚は、日米の国防当局が(1)引き続き緊密に連携していくこと(2)日米同盟の抑止力と対処力を強化していくこと―を確認するとともに、日米韓3カ国での緊密な協力を進めていくことが重要であることを確認した。

 また、両閣僚は、ロシアによるウクライナ侵略への対応について、日米で緊密に連携していくことを確認した。

画像: 写真:防衛省提供

写真:防衛省提供


◆関連リンク
防衛省・自衛隊
https://www.mod.go.jp/



This article is a sponsored article by
''.