はじめに
こんにちは。ヨメナルドです。
前回、私は、「津波フラッグ」について記事にまとめました。その際、災害時に障害を持つ方や高齢者の犠牲が多いことを知りました。記事作成後も、このような方々が安全に避難をする方法や、安心して避難後に生活を送る方法について深く調べを進めたところ、一つのツールにたどり着きました。それが、「黄色いバンダナ」です。今回は、津波フラッグ同様、災害時に要支援者(障害者およびその他災害時に支援が必要な方)が使用する、「黄色いバンダナ」について説明したいと思います。
黄色いバンダナとは
下に示している、とても目立つ黄色いバンダナは、災害時に自分の安否や、困りごとなどを周囲に示すためのツールです。バンダナには、災害時にとりあえず支援が必要ない場合に、玄関や門扉に結んだり掲げたりされる「無事ですバンダナ」と、自らがどのような障害をもっているかが記載されている「災害時障害者支援バンダナ」があります。
また、バンダナだけでなく、ハンカチや、タオルバージョンもあるそうです。
「無事ですバンダナ」を作成している自治体の一例として、東京都の板橋区があります。板橋区は、このバンダナを「災害発生時に地域支援者の皆さまに対して無事であることを目印として知らせ、安否確認を円滑に行うこと」を目的として作成し、避難行動の支援が必要な方に配布しています。
また、黄色いバンダナの四隅に、支援が必要な理由が記載されているバージョンもありました。大阪府大東市が作成したバンダナです。
大東市の災害時支援バンダナは、発災時に避難所等でどのような支援を必要としているかがわかるように作成されています。
黄色いバンダナは主に自治体が作成、配布を行っており、配布方法には、大きく二つのパターンがあります。
- 要支援者等が住む世帯などに配布するパターン
最も多いのが、要支援者がいる世帯に限定し、配布するパターンです。配布方法は、希望者が役所で配布を受ける方法や、自治体で作成している「避難行動要支援者名簿」に記載を希望した方に配布する方法などがあります。上記の板橋区や大東市は、こちらの配布方法をとっています。
- 制限なく全戸に配布するパターン
自治体によっては、全戸に配布しているところもあります。磯子区は、区役所の窓口で配布しているそうです。配布する世帯の制限をせずに全戸配布することにより、街全体で統一して安否を確認できますね。
なぜ導入されたのか
黄色いバンダナが導入されたきっかけは、東日本大震災です。
震災時、被災地全体の死者数のうち、65歳以上の高齢者の割合が約6割を占め、障害者の死亡率は被災住民全体における約2割と推計されています。
このことから、高齢者や障害者が災害時にいかに被害に遭いやすいかがわかります。他方で、要支援者の支援活動を行う消防職員・消防団員の死者・行方不明者は281名、厚生労働省から委嘱を受け活動する民生委員の死者・行方不明者は56名とされており(総務省消防庁「平成26年版 消防白書」)、支援者側にも多数の犠牲者がでました。
また、支援が必要な方が避難できたとしても、避難所で適切な支援を受けられないという問題もありました。例えば、耳が聞こえない人が、避難所でのアナウンスの情報を入手できなかったり、目の見えない人が、掲示板に書いている情報を知ることができなかったりした例もあります。
このような問題を受けて、支援が必要な方を素早く見つけ、その安否と必要な支援を迅速に確認できるように、災害時の黄色いバンダナが作成され、普及しました。
さらに普及させるためには
災害時に使用する黄色いバンダナは、前回の記事で紹介した津波フラッグ同様、周知が必要です。支援が必要な方が確実に入手でき、また黄色いバンダナの存在を少しでも多くの住民が認識するための周知が必要だと思います。
支援が必要な方が確実に入手できるためには、周知だけではなく、災害時に支援が必要になる方が受け取りやすい配布方法の検討も必要かなとも思いました。例えば、要支援者等が区役所まで出向いて受け取るのではなく、支援が必要な方々が行く場所(病院など)で配布すると、さらに配布率が高くなるのでは、と感じました。
さいごに
災害が起きた際は、混乱して情報が錯そうしたり、細部まで支援が行き届かなかったりすることが考えられます。支援が必要な方がヘルプを発信したり、無事なことを伝えやすくなったりすることで、支援する側もスムーズに支援が行えます。まさに、「誰一人取り残さない」ためのツールとして、多くの方に利用してもらいたいです。
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