歯を磨けないリスク
皆さん、毎日歯磨きできていますか?
当たり前の歯磨きも災害時にはできなくなる可能性が高い。
そして歯磨きができない事で体調悪化、最悪の場合死亡してしまうケースがある事はご存知でしょうか?
例えば太平洋戦争時、戦場では歯磨きは全くできず、日中戦争の時点で80%の兵士が虫歯や歯槽膿漏になっていたとされています。衛生兵の数も少なく、兵士たちは正露丸を歯につめて痛みを和らげたりしていたそうです。
また口は肺への入り口です。避難所生活や水不足で口の中を清潔に保つことができないと、高齢の方では誤嚥性(ごえんせい)肺炎がおこりやすくなるので注意が必要です。
1995年に発生した阪神淡路大震災では震災に関連した肺炎で200人以上が亡くなられていて、誤嚥性肺炎の割合も多かったのではないかと推測されています。
しかし、誤嚥性肺炎に関しては口腔ケアを行う事で予防出来る事が確立されています。
こういった事から、戦争でも災害でも口の中を綺麗にする事の大切さが分かります。
つまり最悪の状況下において口の中を綺麗にする事は命を守ることに繋がるのです。
災害時の口腔ケア
歯磨きといっても避難生活では水は貴重です。その為、なるべく水を使わない手段として
・歯ブラシに少量の水を浸し、歯磨き粉を使用せず磨く(歯磨き粉を使用すると濯ぐ際に多量の水が必要)
・食べた後に直ぐ少量の水で口の中を濯ぐ。
・水が必要ない歯磨きシートで磨く。
・キシリトール入りシュガーレスガムを噛む。
などの口腔衛生管理が必要になってきます。
爪の手入れ
口腔ケアと並んで爪のケアも災害時には重要です。何故なら爪の管理は感染症予防につながるからです。
実は、爪が長いほど細菌数が増えてしまうことが保健所の調べで判明しています。
例えば3.0mmの爪の長さは0.5mmの爪の長さに比べて細菌の数が243倍も多いとのこと。
また爪の長さが長いほど爪下や手指のアルコール消毒効果が減少する事も分かっています。
昨今のコロナウイルスも例外ではなく、長い爪の間に潜伏し、そこから感染率が高まるとも言われてます。
その為、WHO(世界保健機関)やCDC(米国疾病対策センター)のガイドラインでも感染症対策としてアルコール消毒と並び爪の長さの管理も推奨されています。
まとめ
歯磨きや爪切りが健康を維持するのに必要不可欠だという事がお分かりいただけたでしょうか。
加えて地震などの災害が発生し、長い避難生活になった時、そういった当たり前の事もできなくなるリスクも知っておく必要があります。
そしてもう一つ重要なことをお伝えすると、自治体の防災備蓄品に口腔ケア関係が含まれている割合は僅か11%。つまり自ら備えておく事は必須だという事です。
あなたの防災用品に歯磨き用品や爪切りは入ってますか?
災害時に口腔ケア、爪の管理をする事は体だけではなく心のケアにも効果的です。そのため、こう言った衛生用品を備えておく事を強くお勧めします。
参考資料
・日本軍兵士(中公新書)一部
・日本食品衛生協会〜食品衛生責任者ガイドブック
・大規模災害時の口腔ケアに関する報告集〜健康危機管理体制に関する研究班
・災害時の口腔ケア〜日本口腔ケア学会
・手指消毒効果と手指細菌叢に影響する爪の長さ(論文)
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