はじめに
こんにちは。ヨメナルドです。
今月11月5日は、「世界津波の日」でした。この日が津波の日として制定されたのは、1854年11月5日に和歌山県で起きた大津波で、いわゆる「稲むらの火」により、多くの住民が助かったことに由来します。
東日本大震災の際にも津波の被害を受けた日本で、昨年から津波に対して新しい取り組みが始まりました。それが、「津波フラッグ」です。
津波フラッグとは
津波フラッグとは、津波警報が発出された時に振られる旗で、赤と白の格子模様をしています。赤と白の格子模様の旗は、世界規格で「U旗」といい、危険に向かっているという意味合いを持ちます。
2020年6月に規程類(「気象業務法施行規則」および「予報警報標識規則」)が改正され、赤と白の旗を、津波警報等を視覚的に伝達するのに用いることとされました。
詳しく説明すると…
①どこで津波フラッグ(旗)を出すの?
→海水浴場等で。
②誰が旗を出すの?
→ライフセーバーや監視員など、津波フラッグを上げる場所の近くにいる人。
③誰に対して旗を出すの?
→海水浴場等の利用者に対して。
④旗を出すタイミングは?
→津波警報等の発表を見る・聞くなどしたときにすぐに掲げる。
⑤どうやって旗を使うの?
→旗を掲げたり振ったり。それ以外にも、津波避難タワーや津波避難ビルなど海岸から見える建物に津波フラッグを掲げることも有効。
津波フラッグ導入の経緯
⑴いち早い津波の危機の周知
昨年、国の規定類で定められた津波フラッグですが、南海トラフ地震の際に予想される1m津波の到達時間は、静岡県、和歌山県、三重県、高知県、徳島県は10分以内とされています。1分1秒を争う津波からの避難。海水浴場での広範囲への遊泳者へのできる限り早い周知には、音だと波音や風向きで上手く伝わらない場合も考えられ、旗による周知が検討されました。
⑵聴覚障害者への伝達
また、東日本大震災において、岩手県・宮城県・福島県での聴覚障害者の死亡率が聴覚障害のない人の2倍に上ったとのデータがあります(「ノーマライゼーション 障害者の福祉」2011年11月、(公財)日本障害者リハビリテーション協会)。防災無線やサイレンが聞こえず、また、停電でテレビやメールが使えなかったなどの問題があったと考えられています。
東日本大震災は3月で、まだ海開きをしていませんでした。しかし、海水浴シーズンに津波警報が出された場合、海岸を利用中の聴覚障害者はスマートフォンを手元に持っていない可能性があり、サイレンのみだと津波警報に気づかず避難が遅れる恐れもあります。この点からも、津波警報の伝達に旗を利用することが検討されました。
津波フラッグの注意点
ただし、ライフセーバーなど、旗を振ったり掲げたりする人の安全が確保されているときにのみ津波フラッグは振られます。フラッグを掲出する人が逃げ遅れるということがないよう、安全に配慮して旗を掲げることになっています。
海水浴場を利用する方々には、この点を知っていてほしいと思います。
さいごに
津波フラッグが導入されている自治体は、7月時点で海水浴場を持つ自治体の約30%のみです。理由として、旗を振る人の不足が挙げられます。
しかし、津波フラッグがさらに周知され、その必要性を皆さんに認識してもらえれば、導入の促進や掲出の新しい方法が編み出されることが期待できると思います。
ぜひ、来年の海水浴シーズンまでに導入が増えるといいですね。
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