【2021年10月21日(木)1面】 統合幕僚監部は10月15日、今年度上半期(4~9月)の空自戦闘機による緊急発進(スクランブル)が390回だったと発表した。前年度同時期比では19回増加。1件の領空侵犯のほか、特異な飛行として計7回の事例を公表。最近の傾向と同様に、推定を含めて中国、ロシア両機に対する実施が多かった。
国・地域別スクランブルでは(推定含む)、中国機が281回で全体の約72%を占め、ロシア機が102回で約26%だった。月別では、8月以降に急増。8月は92回、9月は101回に上った。
このうち、9月12日、ロシア・An261機が北海道知床岬領空内を飛行、領空侵犯した事例を公表した。
また、特異な飛行はほとんどが中国機で、4月4日=Y9哨戒機1機が東シナ海から太平洋を飛行▽同27日=Z18早期警戒ヘリコプター1機が大正島領空の北東約50キロの空域を飛行▽8月24日=TB001偵察/攻撃型無人機(推定)1機が東シナ海を飛行(対領空侵犯措置で初確認)など。このほか、6月25日にロシアのSu25攻撃機1機の日本海の飛行(対領空侵犯措置で初確認)を含め、公表した事例は計7回に上った。
方面隊別の回数を見ると、東シナ海上空などで中国機に対応している南西空が最も多い269回(前年度同期比75回増)。逆に北空は94回(同22回減)。西空は22回(同26回減)、前年度13回だった中空も5回に減少した。
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岸防衛大臣は10月15日の記者会見で、特に中国機について言及。「近年、飛行形態が変化し、活動範囲は東シナ海のみならず、太平洋や日本海にも拡大しているほか、台湾周辺における活動も今年に入り、非常に活発化している」とした上で、「引き続き国際法と自衛隊法に従って、対空侵犯措置に万全を期す」と述べた。