はじめに
総合防災コミュニティ「学防 manabou」運営メンバーの生活密着型ママ防災士セイコです。主婦と子どもの視点から考える「普通の暮らしの中の防災」を担当しています。
前回は火を使わず、発熱剤を利用して暖かいご飯を食べる方法に挑戦してみました。今回はカセットボンベの備蓄について考えてみます。
カセットボンベの備蓄はどのくらい必要か
我が家のカセットボンベの備蓄は24本。この本数に深い根拠はなく、収納スペースに3本セット8ケースがちょうどよく収まったからという理由です。
でも実際、備蓄と収納スペースの兼ね合いというのはついて回る問題ですよね。
我が家の収納に適した24本。果たして多いのか少ないのか。いざという時どのくらい助けになるのかを考えてみます。
カセットボンベの用途としては、カセットコンロ、カセットガスストーブ、トーチバーナーなどがあります。
我が家はカセットコンロのみ保有していますので、今回は全てのカセットボンベをカセットコンロで使用する場合で考えます。
カセットボンベ1本でどれくらいのことができる?
我が家のカセットコンロおよびボンベの製造メーカーである岩谷産業の公式サイトによると、
ご使用の器具(こんろ等)のガス消費量によって異なりますが、目安としては、3.5kW(3,000kcal/h)のこんろの場合、強火で約1時間です。
公式サイトでは、カセットガスが一週間に何本必要となるかの試算結果も掲載されていて、参考になります。
この試算のうち、湯を沸かすことに注目してみます。
・気温10℃の環境
・1.2Lの水
・ステンレスやかんを使用
・強火
という条件下では、
・8分で沸騰
・消費ガス量は31.5g
という結果です。
我が家のやかんでも実験してみました。
・気温16℃の環境
・2Lの水
・ステンレスやかんを使用
・やかんの底面サイズに合わせて中火
その結果、およそ11分ほどで沸騰しました。
強火使用で1時間という試算目安を参考に単純計算してみると、我が家のやかんでは、カセットボンベ1本でおよそ12Lほどの湯を沸かすことができそうです。
非常時は近居の家族も合わせて6人で生活するとして、1日1人当たり2L程度の熱湯をボンベ1本で賄える計算になります。
なお、首都直下地震が発生した場合のライフライン復旧日数について、内閣府の想定では以下のようになっています。
電気 6日
上水道 30日
都市ガス 55日
我が家では電気式の卓上用IHクッキングヒーターも保有していますので、電気が復旧すればそちらも使えるようになる可能性がありますし、ガスボンベ24本の備蓄は、ひとまず十分な量なのではないかという結論にいたりました。
さて、次なる問題は、24本ものカセットボンベの備蓄管理です。
我が家で食卓でお鍋を囲むときは、扱いやすさや安全性から、基本的に卓上用IHクッキングヒーターを使っています。
つまり、放っておけば、カセットボンベもカセットコンロも使う機会がないまま、貯蔵品となりつづけてしまいますので、意識的に消費する機会を作っています。
カセットボンベに使用期限はある?
「製造後約7年以内を目安に使い切ってください。(製造日は缶底に表示)」とパッケージに明記されています。
短い文章ですが、重要なポイントが3つ。
【ポイント1】製造日
カセットボンベの底を見てみましょう。底の数字が製造年月日です。
うちで一番最近購入したボンベは2021(年)10(月)05(日)製造の表示です。
【ポイント2】製造後約7年以内を目安に
"7年"はあくまでも目安。7年経たずに使用できなくなる場合もあります。たとえば保管環境によって缶が劣化している場合などは、危険なので使えません。
使用できない例については、こちらのページで写真つきで紹介されています。
【ポイント3】使い切って
後述しますが、使用後は廃棄の問題が必ず発生します。カセットボンベは使いきって廃棄しましょう。
カセットボンベのローリングストック
24本備蓄しているので、1年に3〜4本使い、使った分を買い足していけば、順繰りに7年以内に消費できる計算です。
カセットボンベもローリングストック式で備蓄です。
製造年月をテープで貼って、すぐ見えるようにしています。
古い順に使って、3本出したら3本買ってきます。
奥行きがある棚なので、出し入れが稀なカセットボンベは奥に、手前は収納ケースで食品を入れています。
一番下の段なので落下の心配もありません。
カセットボンベ保管時の注意点
・火気や直射日光を避け、40℃以下の湿気の少ない場所
・キャップをしておく
・落下しやすい場所や子供の手の届くところにを避ける
・器具からはずして保管してください。
私は、使いかけのボンベがある時は、収納時に貼っていた製造年月日テープを剥がしたものを使いかけのボンベのキャップに貼って目印にしています。
カセットボンベの捨て方
お住まいの地域のゴミ回収ルールを必ず確認してください!!
私の住む地域を例に見てみます。
《使いきったカセットボンベ》
〈重要〉穴をあけて。※火気のそばでの作業は厳禁!
〈分別区分〉かん・なべ類
〈出し方〉戸建て住宅の場合はバケツ等に入れ、集合住宅の場合は専用コンテナ又は専用ネットに直接入れる(ビニール袋などには入れない)
《使いきったが穴をあけられない場合》
〈分別区分〉特定処理品目
〈出し方〉カセットボンベだけを透明あるいは半透明のポリ袋に入れる
廃棄処理をする前の注意点
《使いきっていない場合》
〈重要〉穴を開けずに、まずは先端部からガスを抜く!
ガスが残ったまま穴を開けるのは危険!
ガスを抜く時は、屋外の火の気のない風通しの良いところで、ボンベのキャップを外し、先端を下にして、先端部をコンクリートなどに押し付けてください。すると、ガスが液体で出て気化して散っていきます。ガスが出なくなった後、振って「サラサラ」と音がしなければ空になっています。抜いた後は、地域自治体のごみ出しの取り決めに従って廃棄ください。 なお、ガスの抜き方は未使用で満タンでも、使いかけでも、錆びていても同じ方法で抜けます。 なお、ガスが入った状態で穴をあけると、ガスが噴出して途中で止まらなくなり危険ですのでおやめください。
カセットボンベやスプレー缶を捨てるときは、穴を開ける理由
カセットボンベやスプレー缶を使い残したまま廃棄すると、ごみ収集車内で押しつぶされ、漏れた可燃性ガスが車内に充満し、ごみ圧縮時に生じた火花などで引火し、火災に至るおそれがあります。
独立行政法人製品評価技術基盤機構
普段の廃棄はもちろん、避難生活中に、ゴミの中に使い切っていない・穴の開いていないガスボンベ・スプレー缶が埋もれていたら。爆発や火災の原因になりかねません。
家を耐震にしても、家具を固定しても、備蓄を万全にしても、火災に遭ってしまったら元も子もありません。
火災を出さないことはとても重要です。
わが家のスプレー缶用穴あけ器
景品か何かでもらったものをずっと使っていますが、ネットで調べてみると、軽い力で穴が開けららる商品など、さまざま販売されているようです。
たまにしか使わない道具ですが、使い勝手や収納、デザインなど、気に入った物を探してみるのも楽しいかも知れません。
ヘアスプレーなどの廃棄にも必須ですし、我が子が一人暮らしするときには、必ず持たせようと思っているグッズの一つです。
まとめ
使うときも捨てるときも、カセットボンベの危険性を理解した上で、正しく便利に利用したいアイテム。
使い慣れていても、あらためて取り扱い説明書を読み直してみることをおすすめしたいです。
カセットガス関連品が身近な店頭でも手に入れやすい冬シーズン。今のうちに、次の冬に向けて備蓄の検討をされると良いかも知れません。
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