5月29日の感謝飛行では、東京上空をブルーインパルスが飛びました。このとき、東京上空を戦闘機が曲技飛行した、と思われた方もいるかもしれません。ブルーインパルスは確かに航空自衛隊の戦闘機パイロットによって編成されたチームで、一番若いパイロットでも二機編隊長の資格を持つ、精鋭の戦闘機パイロットが集められています。でも、使っている飛行機はジェット“練習機”T-4で、感謝飛行も“航過飛行”という(曲技飛行ではない)フライトだったのです。ですので、東京上空を練習機を使ったブルーインパルスが航過飛行した、というのが正しい言い方です。

画像: ブルーインパルスの展示飛行の種類
曲技飛行(アクロバット飛行)、編隊連携機動飛行、航過飛行

 ブルーインパルスは自衛隊唯一の展示飛行専門チームです。純国産のジェット練習機を使い、どんな展示飛行を実施しているのか、見ていきましょう。

 ブルーインパルスの展示飛行は、曲技飛行、編隊連携機動飛行、航過飛行に分類することができます(実は飛行を伴わない地上滑走展示、駐機して見せるだけの地上展示、もあるのですが、それはまたの機会に置いておきます)。

画像: フェニックスループ:ブルーインパルスを代表する曲技飛行課目

フェニックスループ:ブルーインパルスを代表する曲技飛行課目

 曲技飛行とは、航空法施行規則第百九十七条の三に定められる飛行です。同施行規則第百九十七条の三で、曲技飛行は、宙返り、横転、反転、背面、きりもみ、ヒップストールその他航空機の姿勢の急激な変化、航空機の異常な姿勢又は航空機の速度の異常な変化を伴う一連の飛行とする。と定められています。

 ブルーインパルスは(訓練空域を除き)滑走路のある飛行場でしか曲技飛行を行いません。

 くどいようですが、東京上空では曲技飛行はやりません。これは飛行場の滑走路を基準にして曲技飛行を実施するからなのですが、他にも飛行場の管制圏の中で空域を完全に占有して行えるという安全上の利点もあるようです。

 曲技飛行では高度10,000フィート以下と半径5マイル以内の空域が占有されます。航空祭で展示飛行中に近隣でドクターヘリのフライトが発生した場合、中段して近隣空域からドクターヘリが離れるのを待って展示飛行を再開するという事例もあります。安全第一、ブルーインパルスの曲技飛行は、一か八かの曲芸飛行ではないのです。

画像: スワン360ターン:鳥取砂像フェスティバルで見せた編隊連携機動飛行課目

スワン360ターン:鳥取砂像フェスティバルで見せた編隊連携機動飛行課目

 編隊連携機動飛行は、曲技飛行は行わないが、迫力のある編隊での機動飛行を見せてくれます。宙返り、横転、反転、背面などの曲技飛行は実施しませんが、旋回や上昇、傾斜といった機動飛行を編隊で実施するダイナミックな展示飛行となります。

 また、編隊連携機動飛行は飛行場以外のイベントで実施されます。東京五輪聖火到着式、ラグビーワールドカップ開会式、横浜開港祭、鳥取砂像フェスティバルなど、様々なイベントで披露されるのが編隊連携機動飛行です。長野五輪開会式で小澤征爾さん指揮の第九交響曲の終わりに合わせ、傘型隊形が扇状に開いたレベルオープナーも、一課目だけですが、編隊連携機動飛行でした。

画像: グランドクロスローパス:SAYONARA国立競技場イベントで見せた航過飛行課目

グランドクロスローパス:SAYONARA国立競技場イベントで見せた航過飛行課目

 航過飛行は、真っ直ぐに飛ぶ、編隊飛行です。ブルーインパルスが持つ様々な隊形(デルタ、フェニックス、リーダーズベネフィット、スワン、ポイントスター、エシュロン、トレイルなど)で真っ直ぐに飛行します。先日の感謝飛行は(幅広の)デルタ隊形とフェニックス隊形で飛行しました。SAYONARA国立競技場イベント、日韓サッカーワールドカップ日本初戦、千葉国体など、様々なイベントで実施されました。真っ直ぐ飛ぶだけですが、その開始のタイミングをイベントの進行に合わせるなど、そこにもブルーインパルスの素晴らしい技術が活かされています。

画像: ローリングコンバットピッチ:初代F-86Fブルーインパルスから継承される伝統的曲技飛行課目

ローリングコンバットピッチ:初代F-86Fブルーインパルスから継承される伝統的曲技飛行課目

 気象や地形条件によっても様々な規定があります。曲技飛行は1区分、2区分、3区分、4区分に分類され、これはシーリングといって、雲の高さによって分類され、それぞれ別の課目構成が決められています。編隊連携機動飛行や航過飛行にもそうした条件が備わっています。

 ブルーインパルスが飛ぶといっても場所や目的に応じて様々な展示飛行方式があることがお分かりいただけたでしょうか。今後もブルーインパルスをご理解いただくためのトピックをお届けして参ります。宜しくお願いします。

 文と写真:ブルーインパルスファンネット管理人



This article is a sponsored article by
''.