7月4日未明から朝にかけて、熊本県など九州南部を記録的な集中豪雨が襲った。各地で土砂崩れが発生し、球磨(くま)川が氾濫。荒れ狂う濁流が次々と家屋をのみ込んだ。

 4日、安倍晋三首相は「自衛隊が1万人態勢で応急対応にあたる」とした上で、武田防災相を現地に派遣すると表明した。

 3日夜から九州北部で断続的に大雨が降り続き、統合幕僚監部などによると、4日午前5時36分、熊本県知事から8師団長(北熊本駐)に対し、災害派遣要請が出された。その時点で熊本、鹿児島両県には大雨特別警報が発令され、すでに球磨川が氾濫していた。

 自衛隊は被害が大きい熊本県人吉、八代両市、芦北町に42即機連(北熊本駐)を、同人吉市と球磨村に24普連(えびの駐)などをそれぞれ派遣した。

画像: 九州南部豪雨 2日間で564人救助|陸海空自部隊

 4、5の両日の活動は、地上部隊のボートによる人命救助、航空機によるつり上げ救助などのほか、海自22空群(大村航空基地)のUH60ヘリコプターによる水や食料の物資輸送、陸自西方航空隊(目達原駐)、空自芦屋、新田原両救難隊のヘリによる被害情報の収集、熊本、鹿児島両県庁、9市町村への連絡員の派遣などを行った。

 自衛隊は4日に229人(地上、航空合計)、5日は335人(同)、2日間で564人を救助した。5日には政府が非常災害対策本部を設置。持ち回り閣議が開かれ、自衛官OBで構成する即応予備自衛官の招集も決定した。

 球磨川は九州屈指の1級河川。洪水が起こると被害が大きくなることから、「暴れ川」との異名を持つ。現地では6日以降も大雨が続き、自衛隊が人命救助や土砂の撤去などの活動を続けている。

陸海空自が出動

 九州南部の集中豪雨で災害派遣された部隊は次の通り(統合幕僚監部発表。5日現在)。

 《4日》▽人命救助など=陸自24普連(約70人)、42即機連(約330人)、8施設大隊(約60人)、西部方面特科連隊(約250人)、空自9警戒隊(約30人)

 ▽航空機によるつり上げ救助=陸自8飛行隊、4飛行隊、西部方面航空隊、海自22航空群、空自芦屋救難隊、同新田原救難隊(ヘリ16機)

 ▽物資輸送=海自22航空群(ヘリ2機)

 ▽被害情報収集など=陸自西部方面航空隊、空自芦屋救難隊、同新田原救難隊(ヘリ4機)

 ▽連絡員=熊本、鹿児島両県庁、人吉、八代、水俣、薩摩川内各市、芦北、津奈木、長島各町、球磨、相良両村

 《5日》▽人命救助など=陸自12普連、24普連、42即機連、43普連、西部方面特科連、8施設大隊(約1070人)

 ▽航空機によるつり上げ=陸自8飛行隊、4飛行隊、西部方面航空隊、空自航空救難団、海自22航空群(ヘリ15機)

 ▽物資輸送=球磨村に対し、水や食料をヘリ4機と車両8台により輸送

 ▽被害情報収集など=地上部隊、航空機(ヘリ4機)

画像1: 陸海空自が出動
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◆関連リンク
令和2年7月前線に伴う大雨に係る災害派遣(統合幕僚監部)|防衛省・自衛隊
https://www.mod.go.jp/j/approach/defense/saigai/2020/pdf/0705a.pdf


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