人事採用のプロが教える。国防人のための「使える」キャリアコラム
自衛隊のみなさま、日々国防の仕事に
従事くださり本当にありがとうございます。
心から感謝いたします。
前回は、「背中を見て学べ」「私の時代
には」は時代遅れ。環境やお客様の進化
がはるかに速い今、通用しませんよ、という
お話しをしました。
「聖域」ということばがあります。
会社の中にはよく聖域があります。
聖域とは社長や責任者でも入れない
場所のことです。
これがある会社や組織はダメです。
社長や責任者が入ってはいけない場所
なんてありえません。
ところが、こんなところに自分が行ったら、
現場の空気が悪くなるからと社長や責任者
は気をつかってしまうのです。
まちがった気づかいをし始めると聖域が
できてしまいます。
聖域になったところは孤立化します。
運輸会社を例にしましょうか。
運輸会社には運行管理者でも入って
いけない場所があります。
バスやトラックの運転席です。
バスやトラックの運転席は聖域化
しやすいのです。
運輸会社でダメになるところは、
社長や運行管理責任者は、ドライバーが
普段運転しているところに入れて
もらえません。
大昔の国鉄もそうでした。
運転手が組合をつくって大暴れした
時代がありました。
技術職のところは聖域化しやすいのです。
汚れますから来ないでくださいとなっていくと、
そこへは入れない空気が出来上がります。
その聖域は必ず大きくなります。
これが聖域の特徴です。
社長や責任者が入れないところは、やがて
下の人間も入れない場所になります。
誰も口を出さない部署が必ず会社・組織の
中で生まれます。
再就職先ではあなたは新人です。
新人の特権はものごとをすべて新鮮に自然に
見ることができること。
どうぞ全ての聖域を叩き潰してください。
まっすぐな目で質問したらいいのです。
「なぜ僕は入れないのですか?」と。
聖域という言葉を使うことがタテ割りを
生むのです。
部署外の人間が口出さないで全てのところが
聖域になります。
少人数の会社・組織でも聖域はできます。
両者がコミュニケーションを取らないのです。
お客様1人に対して、あらゆる部署が
コミュニケーションを取り、協働してサービス
しなければいけないのに、その風通しが
一切なくなってしまっているのは、
聖域が生まれてしまったからです。
あなたが再就職した職場では、
ぜひ入れない場所をなくしてください。
そんなあなたを社長や責任者、
他の社員はまったく違うまなざしで
見るようになるでしょう。
(了)
援護を援護するこのコラムはいつか訪れる
定年後のセカンドキャリアに活かせて、
「使える」再就職・キャリアのポイントを
毎回わかりやすく解説します。
毎週月曜日掲載です。
-第1回 人生時計を見てみよう-
-第2回 自分の中に青い鳥をみつけよう-
-第3回 家族や職域の人とは違う人と会話をしてみよう-
-第4回 自分の自慢の仕事話してみよう-
-第5回 自分の意外な強みを発見しよう-
-第6回 ものごとを頼みたくなる人になろう-
-第7回 基準があいまいなものにこそチャンスがあると考えよう-
-第8回 組織の成長が速くなるキーパーソンになろう-
-第10回 右腕、ナンバー2大事にする人になろう-
筆者プロフィール
石塚 毅(いしづか たけし)
1970年新潟県出身。
前職のリクルートでは年間MVP受賞をはじめ表彰多数。人事採用のプロ。
これまで7000社の採用支援、2万人以上の個人向けキャリア相談実績あり。
サイパン島で戦死した陸軍少尉の祖父を持つ。