大阪地本援護課(課長・柴垣事務官)は、援護企業との連携・協力の一環として退職予定隊員を採用してもらった際に「自衛官募集」への協力も依頼している。
 
近鉄バス株式会社全面協力

 援護課各班は、普段から既存の援護企業の訪問などに加えて新規の企業開拓にも積極的に取り組んでおり、大阪府内においても「2024年問題」や今年開催される「2025大阪関西万博」などの影響により、深刻な乗務員不足にある運輸業にも積極的に働きかけて退職自衛官の雇用を通じて地域への貢献にも努めている。

 今回は、援護班長の川永3陸佐の粘り強い調整と自衛官募集の重要性に賛同してもらった近鉄バス株式会社(本社・大阪府東大阪市)の全面的な協力により、同社が運営する路線バスの全路線で車内広告として250枚もの自衛官募集ポスターの掲示が実現。通学などで利用する募集対象者や通勤・買い物などで利用する保護者などに対するアピールとして多大な貢献をしてもらった。

画像: 近鉄バス㈱にて

近鉄バス㈱にて

画像: 車内のポスター掲示状況

車内のポスター掲示状況

 大阪地本は「援護企業との連携や協力を通じた自衛隊の活動や魅力の発信により、募集と援護が一体となった活動をさらに進め、1件でも多くの入隊や入校のほか、退職自衛官の雇用を獲得するべく、本部各課、地区隊、広報官が一丸となって『Scrum&Challenge』の精神で募集および援護活動を力強く展開していく」としている。


◆関連リンク
自衛隊大阪地方協力本部
https://www.mod.go.jp/pco/osaka/

<編集部より>

 昨年12月下旬は、政府の関係閣僚会議による基本方針(12月20日)や令和7年度予算案の閣議決定(同27日)という2つの大きなニュースがありました。ともに、大きな柱の一つとなったのが「自衛官の処遇改善と生涯設計の確立」です。

 自衛官不足と退職後の収入の不安は、人材確保に直結します。自衛官の魅力化を進め、やりがいのある仕事とするために、防衛省・自衛隊だけでなく、国全体がこうしたさまざまな処遇、待遇などの人的基盤の強化に向けて大きく舵(をかじ)を切ったのです。

 そこで、具体的な対策の一つになりうると思う話題がありました。防衛日報の本日(1月10日付)1面で掲載した大阪地本援護課の報告です。

 「2024年問題」などで深刻な乗務員不足にある運輸業に退職自衛官の雇用を働きかけるとともに、協力を通じて自衛官の募集への協力も併せてお願いするという作戦です。まさに、「出口(援護)」だけでなく「入り口(募集)」とのセットでしょうか。今回は近鉄バス株式会社が全面的にサポートし、同社が運営する路線バスの全路線で車内広告として計250枚の自衛官募集ポスターを掲示してくれました。協力に大拍手です。

 タイムリーな社会問題が背景にあったとはいえ、2つの大きな問題はつながっているわけです。たしかに退職後、新たな職場で働く元自衛官からの「口コミ」や情報提供などが新規の自衛官募集につながるケースはあるでしょう。知り合いや身内、友人らの紹介など、さまざまなルートも存在しますが、今回の大阪地本のように企業を通しての働きかけは、より多くの人が知ることにもつながります。ここが違うところかと思います。

 まずは入り口から、という対策の仕方にこだわる必要はまったくなく、出口から入って入り口につなげていく手もある―。今回の近鉄バスのケースのように地本の積極的、地道な活動があればこそ実現できたことですが、手法としては考えてもいいことだということを実感しました。余談ですが、電車よりバスの車内は狭いこともあって、張られているポスターはより近く感じ、自然と目が行きがちなものです。より効果が期待できるような気がします。

 内閣府の世論調査によれば、今や国民の9割は自衛隊に好意的な印象を持っているといわれています。にもかかわらず、自衛官の募集は困難な状況にあります。

 政府、防衛省は抜本的な対策を講じました。あとは、現場です。その任務の一翼を担うのが地本。2つの課題につながるよう、組織的に動いた今回の大阪地本の活動が一つの、また大きな参考になるのでは、と期待しています。

他記事は防衛日報PDF版をご覧ください。

→防衛日報1月10日付PDF


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