<北海道>陸自5旅団(旅団長・岸良陸将補)は11月8日から22日の間、然別演(しかりべつ)習場、矢臼別演習場で、「秋季演習場定期整備」を実施した。整備は、演習場中期整備計画に基づき、射場、弾着区域、道路附帯などの訓練基盤を重視した整備を実施するもので、演習場の道場化推進に寄与した。
 
若年隊員への積極的育成も

 隊員一人ひとりが、旅団長要望事項である「目的意識と創意をもった整備の完遂」のため、単に草刈りなどの整備をするのではなく、整備が何を目的に、どのようなでき上がりになり、どのような訓練ができるようになるかをイメージし、自らが担任する整備の重要性を認識しながら整備した。

画像: 射場整備

射場整備

 また、部内ネットワークの共通作戦図、作業工程表の自動集計の活用により、整備隊本部と各部隊の進捗(しんちょく)状況を常に共有。人員現況・装備品現況などを管理し、進捗の遅延がある部隊に機材・隊力を迅速に配分するなど、効率的な部隊運用を実施した。

画像1: 防火帯整備

防火帯整備

画像2: 防火帯整備

防火帯整備

画像: 路面整備

路面整備

 さらに、整備を作戦の場と捉えた隊務総合一体化施策により、若年隊員に対し、育成につながる零細時間を活用した積極的な技術指導や安全管理教育を行った。 

画像: 爆破訓練場整備中

爆破訓練場整備中

 5旅団は「今回の定期整備を通じて、訓練基盤を充実させ、任務完遂のため、日々訓練に励んでいきます」としている。


◆関連リンク
陸上自衛隊 第5旅団
https://www.mod.go.jp/gsdf/nae/5d/

<編集部より>

 自衛隊では、駐屯地が日々の訓練などを実施する演習場を「道場」と呼び、定期的に一斉整備を行います。路盤の強化作業から溜枡(ためます)の浚渫(しゅんせつ)、木々の伐採、不発弾の捜索などなど、演習場を安定的に使用できるよう、この期間は多くの隊員があらん限りの力で、しかし丁寧に、そして無事故で―を目的にそれぞれの任務に汗を流します。

 「仕事場」です。仕事がしやすいように、きれいに整備するのは当然のことなのですが、何と言っても相当な広さです。以前、取材を通して立ち会ったことがありますが、かなりの重労働です。さらには、取り扱いに注意を要する装備や整備中の予想だにしないアクシデントの可能性もあります。整備といっても訓練。これはこれで、大変なのです。

 防衛日報では本日(12月11日付)2面で、各地で実施された秋季定期整備を5つの部隊の報告を基に、1ページで特集しました。保有している施設技術を駆使する部隊があれば、先端技術を活用したり、効率的な整備を重視した部隊もありました。

 その中で、取り上げたいのが陸上自衛隊5旅団の報告です。理由は、旅団長要望事項である「目的意識と創意を持った整備の完遂」を具現化させようとしていたことでした。

 具体的には、草刈り一つをとっても整備が何を目的に、どのような完成型になり、どのような訓練ができるようになるのかをイメージし、その重要性を認識しながら整備する―。この方針にひかれました。

 至極、当然のことなのかもしれません。ほかの部隊とて「それは、言わずもがな。わかっているよ」となるかもしれませんが、あえて方針として言葉に出し、隊員一人ひとりにその意識を強く植え付ける。これが素晴らしいことなのだと思うのです。

 少しおおげさかもしれませんが、社会や組織の中でよく言われることがあります。時代はもの凄いスピードで変化し、新たな価値観が登場し、それまでの固定概念がもろくもくずれてしまう。そんな時代変化に対応できず、前例や教科書などに頼っていては「もっと考えろ」「自分の考えはないのか」などと言われかねない昨今です。

 要は自分で考え、自分なりの考えをしっかりと持つことでしょうか。何でもかんでも、考えてばかりはいられませんが、時と場合によっては、これから行うことに対し、改めて立ち止まり、その意義や効果などを考えることは重要なのではないかと。

 5旅団の報告を読んで思ったのは、与えられた任務を指示通りに淡々とこなすことはもちろん大事なのですが、そこに「考えながら任務をする」が加わることで、整備に対する意識も変わっていくのではないかということでした。

他記事は防衛日報PDF版をご覧ください。

→防衛日報12月11日付PDF


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