陸自高等工科学校(学校長・篠村陸将補)は9月28日、開校祭を実施するとともに、翌29日、創立69周年記念行事を挙行した。
 
開校祭は生徒主動

 28日の開校祭は、実行委員長(岩並生徒)を核心に、生徒会が主導で計画。文化クラブなどの活動成果発表や生徒会主催イベントなど、生徒が主体となって運営、実施した。

 普段は教場として使用される教室舎では、茶道部などの10個文化クラブが作品などを展示し、各クラブの創意を凝らした作品の数々で、日頃の活動成果を披露し、来校した家族を楽しませた。

 講堂では、4個クラブ(吹奏楽部・弁論部・吟詠剣詩舞部・和太鼓部)の発表も実施した。また、グラウンドで実施した生徒会主催イベントでは、審査員として来校した千葉県立君津高校ダンス部のエキシビションを皮切りに、学年混合の11チームによる「ダンスバトル」を開催し、さらに「ギネスに挑戦」では、「最大のじゃんけん列車」で、780人を達成し、見事チャレンジに成功、ギネスに認定された。

 29日の創立69周年記念業事には、後援会会員の国会議員、歴代学校長、各職種学校長をはじめ、各協力団体の会長ら多くの来賓に加え、この日を楽しみに全国から駆けつけた生徒家族を迎えるとともに、定年退官相当期となる第31期生、一般の来場者ら合計約2500人以上が来校。当日は晴天に恵まれ、グラウンドで記念式典・生徒隊パレード・祝賀飛行・ドリル演技・和太鼓演奏を行った。

画像: 篠村陸将補(式辞)

篠村陸将補(式辞)

画像: 生徒隊指揮官

生徒隊指揮官

画像: 観閲行進

観閲行進

画像: 国旗警衛

国旗警衛

画像1: ドリル演技

ドリル演技

画像2: ドリル演技

ドリル演技

 式典の式辞で学校長は、「生徒制度の創設以来、69年にわたる歴史を重ね、伝統を継承しつつも、時代の変革に応じて組織、教育内容を充実・発展させてまいりました。今後も陸上自衛隊のみならず、全自衛隊から必要とされる高等工科学校として、積極的に新たな分野の人材育成に取り組んでいく所存です」と抱負を述べた。

 その上で、生徒に対し「自信と誇り」「校風の具現」を、職員に対し、「自信と誇り」に加え「情熱と愛情」を改めて要望した。

 その後も校内各所で、装備品展示、広報展示、生徒会イベントなどが行われ、創立記念行事の一連の行事は、盛会のうちに終了した。


◆関連リンク
陸上自衛隊 高等工科学校
https://www.mod.go.jp/gsdf/yt_sch/

<編集部より>

 陸上自衛隊高等工科学校では、普通科高校と同様の教育を行う「一般教育」、工業高校に準ずる専門的技術の教育を行う「専門教育」、さらには、陸自(陸曹候補者)として必要な防衛に対する教養、各種教育を行う「防衛基礎学」などが実施されます。

 高等教育機関の一つというばかりか、自衛隊の底辺を広げる意味で大きな存在です。中学校を卒業した15歳から18歳といえば、まだまだ遊び盛り。目いっぱい楽しみたい青春期を日本、国民を守るための勉学や訓練に費やす。その崇高な思いにまず敬意を表したいと思います。そして、僭越(せんえつ)ではありますが、まだまだ社会経験が少ない少年たちの気持ちをくみ、送り出してくれた親御さんら家族にも感謝したいと思います。

 防衛日報の本日(11月1日付)2面では、開校祭と創立69周年記念行事を実施した高工校の報告をトップ記事として紹介しました。例年と同様に、開校祭は生徒主導によるさまざまなクラブの活動の成果が紹介され、記念行事には全国から駆け付けた生徒家族や一般の来場者ら2500人以上が来校し、節目のイベントを楽しみました。

 報告とともに寄せられた多くの写真の中で、迷わず大きく扱いたいと思うカットがありました。生徒隊指揮官を先頭に整然と行進する1枚です。駐屯地の記念行事のような現役隊員ではなく、未来の陸自の中枢を担う「若き精鋭候補」たちの姿はまぶしいばかり。表情を見ればまだまだ少年です。しかし、大志を抱き、崇高な理想を胸に秘め、集まった多くの来賓や一般客らの前での堂々の歩みとなったことでしょう。

 科学技術の発展に伴い、高機能化、システム化、近代化された防衛装備品を運用するためには、「機械に強い」人材のような、それらを取り扱える現代社会に少しでも即応できる若者たちが必要となります。

 冒頭でも述べましたが、こうした世代が高工校に入校し、候補生から隊員となり、あすの自衛隊を支える大きな戦力となるわけで、定員に満たない状況が続く自衛官不足の現状を考えれば、高工校はとても貴重な存在なのだと改めて思います。

 高工校の理念は「技術的な識能を有し、知德体を兼ね備えた進展性ある陸上自衛官としてふさわしい人材を育成する」ことです。それだけでも素晴らしい理念ですが、今回の式典の式辞の中で、学校長の篠村陸将補は「全自衛隊から必要とされる高工校として、新たな分野の人材育成に取り組む」と決意を述べていました。

 新たな時代には新たな組織や分野、新たなグループの誕生もあり得ます。さまざまな能力を身に付けることで、自衛隊の中での配置も多様化していくことでしょう。その「第一歩」にいる高工校生徒たちの未来に期待したいと思います。

他記事は防衛日報PDF版をご覧ください。

→防衛日報11月1日付PDF


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