いつもの訓練展示ではなく部隊紹介に
駐屯地司令は、創造的な変革の推進と困難に立ち向かう強靭(きょうじん)さと強固な団結で結ばれた部隊を創造することを要望するとともに、来場者に対し、平素からの理解と協力への深謝に加え、国民の負託に必ず応えることを誓い、式辞とした。
次いで共催者である恵庭市自衛隊協力会長の原田裕恵庭市長、和田義明衆議院議員から祝辞があった。
観閲行進では、施設器材や90式戦車など105両の迫力ある雄姿を披露した。
また、13施設群の隊員で構成される北海自衛太鼓、7音楽隊の演奏披露に引き続き、今回初の試みとして「訓練展示」に変えて「部隊紹介」を行い、各部隊長らが駐屯する地域の特性や特色のある装備品とそれらを駆使する隊員をユニークに表現して行事に花を添えた。
当日は天候にも恵まれ、約2200人の市民が来場。戦車・偵察警戒車などの装備品の体験搭乗、たこ・紙飛行機作りや恵庭市所在団体によるよさこい演舞などにより、大盛況のうちに行事を終えた。
また、前日には南恵庭駐所在隊員の家族、募集対象者らに対して「家族の日」を開催。駐屯地司令体験や戦車、施設器材の体験搭乗などを行い、部隊と家族の連携強化、募集対象者らの自衛隊に対する理解促進に寄与した。
<編集部より>
いろいろ考えるものだな~。そう、つぶやかずにはいられない、ユニークな要素をたっぷりと詰め込んだイベントがありました。防衛日報の本日(10月24日付)2面トップ記事で紹介した「陸上自衛隊南恵庭駐屯地創設72周年 第3施設団創隊63周年記念行事」です。基本、通常の記念行事です。記念式典、観閲行進のほか、北海自衛太鼓や7音楽隊の演奏披露などなど、ある程度、どの記念行事にも盛り込まれるメニューではあります。
だがしかし、しかし、南恵庭駐は一味も二味も趣向を凝らしていたように思いました。
その一つが、初めて試みたという、「訓練展示」を「部隊紹介」に変えたことでした。多数の来場者に楽しんでもらうべく、各部隊長らが駐屯する地域の㏚や特色ある装備品とそれらを駆使する隊員をユーモアあふれる紹介をしました。
紹介といっても、アナウンス的には素人の隊員です。イベントでの司会・進行役を隊員が務めるケースが多いこともあり、最近では専門の講師を招いて「アナウンス力」の向上を目指す部隊も見かけられますが、それにしてもやっぱり、経験は足りないのが実情でしょうか。その場をうまくリードするための「引き込み」や「笑い」など、見る者、聞く者が食いつきたくなるような紹介技術が求められる中、新たな挑戦でした。
個人的には、迷彩服姿の隊員がマイク片手に、おもしろいことを言うだけでも、ちょっとは引き込まれそうにはなりますが…。訓練展示も部隊の㏚にはかかせませんが、こうした試みもまた、記憶に残してもらえる一つのポイントでもあります。素晴らしいことです。
もう一つは、303ダンプ車両中隊の活躍です。紙面では写真も紹介しています。荷台に「祝72周年 地域の皆様の ご理解ご協力に 感謝致します」の4つの文字を1台ずつに張り、荷台を立てて4台を並べたアイデアです。
文言もさることながら、こうした工夫はただ単に、文字だけにとどまらず整然と並ぶダンプと合わせ、その見た目の「フォルム」でまず目立たせ、来場者の視覚に訴える、まさに自衛隊ならではの試みのように思えました。
最近では、地本などとともに市街地広報の際、「自衛官募集」などの幕を車両に結び、街中を走る姿も見かけられます。どんな場面にも言えることですが、活字や映像を使って㏚する手法は効果的です。部隊紹介とともに、節目の記念行事で否が応でも目に入るような303隊の試み。南恵庭駐と地域とのさらなる強固な関係につながることを予感させる、そんな独自的要素が目立ったイベントでした。
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