<宮城県>陸自東北方面隊(東北方面総監・牛嶋陸将)は、定年退職予定隊員に対して、幹部・陸曹合同による業務管理教育を実施し、人生計画、就職の心構え、企業などで必要な基礎知識を教育している。
 
定年前の学生にとっては高いハードル

 特に、FP(ファイナンシャル・プランナー)の教育に力を入れており、FP3級相当の知識の習得を目指すとともに、教育の最後には模擬試験を実施して理解度を確認し、今後の資格取得に向けた素地の定着と自信の付与を行っている。

 背景には、FP試験の学習内容が再就職やキャリアアップに有利なだけではなく、生活する上で必要不可欠な知識(ライフプランニングと資金計画、リスクマネジメント、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業継承)ばかりで定年退官後、公私ともに充実した人生を送るために必要な社会常識と認識しているためだ。

 ただ、慣れない座学、聞きなれない用語、年齢とともに低下する記憶力と集中力、定年前の学生にとっては非常にハードルの高い勉強となっており、同期で励まし合いながら模擬試験合格に向けて頑張っている。

 こうした中、「第274期業務管理教育」(令和6年8月27日~9月27日)で、FP3級相当の模擬試験に全員合格(23人)という初の快挙を達成した。

 これまでの入校課程では、数人程度の学生しか合格していない。東北方面総監部は「本課程から教科書に加えて新たに問題集を貸し出し、問題に反復して取り組むとともに、学生自らも課業外に勉強会を開いて知識の向上や試験対策を練るなど、職員・学生が一生懸命努力し、また、講師のきめ細やかな講義のおかげで達成した成果」としている。

 その上で、「この素晴らしい結果を、今回限りにすることなく、職員・学生、また、講師が一体となって継続的に成果を出し、東北方面隊として良い伝統を継承できるよう今後も頑張っていく所存です」としている。


◆関連リンク
陸上自衛隊 東北方延滞
https://www.mod.go.jp/gsdf/neae/neahq/

<編集部より>

 陸上自衛隊東北方面総監部から退職者の「援護」につながる、とてもいい報告がありました。防衛日報の本日(10月18日付)2面トップで掲載した、東北方面隊が定年退職予定隊員に対して実施中の幹部・陸曹合同による業務管理教育期間内での話です。

 教育でとくに力を入れているのが、退職後の人生計画に直結する「FP(ファイナンシャル・プランナー)」の資格の取得。そのために学習を続け、生活に必要不可欠な知識を得るため、教育の最後にはPF3級相当の資格取得を目指す模擬試験を実施しているとのことです。

 前置きが長くなりました、今回の内容はその模擬試験を受験した23人全員が合格したことでした。通常の教育課程では数人程度しか合格しない難関ということですから、総監部がコメントしているように「初の快挙」だったのです。

 教育は反復学習やきめ細かい講義など、勉強自体かなりハードルが高いものでした。それはそうでしょう。座学や聞き慣れない難解な用語がどんどん登場するだけでなく、記憶力や集中力も年齢とともに低下しています。それでも皆で励まし合い、結果を出した23人の精鋭たちはまさに自衛隊員ならではの団結心を発揮した証しといえます。「アッパレ!」を贈りたいと思います。

 FPの資格を持つことで、リスクマネジメントや金融資産の運用、不動産、相続、事業継承などなど、定年後の「充実人生」のためには大きな財産の一つになるものです。世の中には、ずっと突っ走ってきたあげく、こうした準備をまったくしないまま定年を迎え、個人的にはそこからあわてて考える人も多いと思います。ましてや自衛隊という特別な組織、社会とは一線を画す組織に長年、在籍することで社会との距離感ができてしまいかねないものです。

 だからこそ、自衛隊員だろうがサラリーマンだろうが、一つの大きな役目を終えた立場としては同じ土俵に立つわけですから、新たな人生計画を創(つく)り上げるには社会の動きや現状などを知る上で、ある程度の知識は必要となり、ここでFPの存在が大きく浮上してくるのではないかと思います。

 東北方面隊の教育は、報告を読んでいて素晴らしい就職支援の一つの形だと思えるもの。再就職先へ向け、サポートをする「援護」が最も大きなことであるのは間違いのないところですが、再就職を考えると同時に自分の人生設計、計画をまず、しっかりと考えるために必要なことを学び、一方で具体的に企業などとの説明会に臨む。これこそが、二重の支援となり、さらなる「援護」につながるものではないかと思いました。

他記事は防衛日報PDF版をご覧ください。

→防衛日報10月18日付PDF


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