イスラエルと親イラン民兵組織ヒズボラの戦闘がレバノンで激化する中、航空自衛隊のC2輸送機が10月3日朝、空自美保基地(鳥取県境港市)から、近隣のヨルダンとギリシャに向けて出発した。防衛省が明らかにした。現地には約50人の邦人が滞在している模様で、C2に邦人を乗せて近隣国へ輸送する考えだ。
邦人退避を巡っては、外務大臣からの要請を受けて、防衛大臣が9月27日に派遣を命じていた。防衛省によると、空自の航空支援集団司令官を指揮官とする統合任務部隊を約500人で編成。外務省が飛行ルートに位置する各国から、領空の通過許可の調整を行っていため、10月3日の出発となった。
吉田統合幕僚長は3日の会見で、レバノンの情勢に触れ「イスラエルとヒズボラとの戦闘は急激に情勢が悪化しており、予断を許さない状況にある」との認識を示した。その上で、邦人退避のためにヨルダンとギリシャへ向かった自衛隊機について「輸送命令をいただければ、すぐに対応できる体制を整えている。万全を期して任務を完遂したい」と説明した。
自衛隊機や政府専用機による邦人退避はこれまで、8回実施。昨秋にはパレスチナ情勢の悪化で、イスラエルから2回輸送した。