中谷元・新防衛大臣が10月2日、東京・市谷の防衛省に初登庁した。防衛庁長官を含めて今回で3回目の就任となった中谷氏は、初訓示で防衛力の抜本的強化や自衛隊の処遇の改善、日米の対処力・抑止力の強化などに取り組むとして「国を守るという崇高な使命をともに果たしていく覚悟だ」と決意表明した。
中谷氏は2日午後、儀仗(じょう)広場で特別儀仗隊の栄誉礼を受けた後、殉職隊員慰霊碑に献花。その後、A棟講堂での着任式に臨み、防衛省・自衛隊の主要幹部らを前に訓示した。
中谷氏は中国などを念頭に、「わが国周辺では緊張を高める事案が急増しているが、国際秩序の根幹を揺るがしかねない深刻な事態を許すわけにはいかない。国民の命と平和な暮らしを守り、わが国の領土・領海・領空を断固として守り抜く」と訴えた。
厳しい募集環境の中で、政府は今後、自衛隊の人的基盤強化に関する会議体を官邸に設ける方針。中谷氏は「自衛隊の処遇や勤務環境の改善など、将来の戦い方も見据えた自衛隊の人的基盤に取り組んでいく」と強調した。
また、自衛隊の一連の不祥事について述べた上で、中国の思想書「韓非子」の「巧詐不如拙誠(こうさはせっせいにしかず)」という言葉を引用し、「偽りやだましごとは、誠の心、正直な気持ちにはかなわないという意味だ。この気持ちを胸に皆さんとともに仕事をしていきたい」と訓示した。
その後、中谷氏は初会見に臨み、石破茂首相が掲げる「アジア版NATO」について、「政府全体として何が必要なのか検討していきたい」と説明。加えて、在米自衛隊基地の実現可能性に関して問われると、「日米同盟の抑止力・対処力を強化するためにも、政府として対応を検討していきたい」などと答えた。
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