自治体、各関係機関との連携強化
訓練は「置賜地域で震度6強の地震が発生し、建物の倒壊により相当数の負傷者が出たほか、電気、ガス、水道などのライフラインに甚大な被害が発生した」との想定で行われ、警察や消防、自主防災組織など防災関係機関、地域住民参加型の訓練で、73機関総勢700人を超える規模で実施された。
訓練で、3科の會田1陸尉、堀1陸曹は、各関係機関と調整を行うとともに、被害状況などの情報を本部へ伝達。じ後、4中隊の隊員が倒壊家屋からの救助訓練を行い、警察、消防と連携し、救助者への安心を与える声がけとともに、迅速確実に要救助者を救助する一連の行動について関係機関との連携要領を確認した。
訓練に参加した4中隊の長岡3陸曹は、「狭い場所からの救出は困難だと実感するとともに、日頃から各機関との連携が大切だと感じた」と感想を述べ、災害現場において各関係機関との連携の重要性を再認識した。
20普連は「今後も県内各自治体の防災訓練に積極的に参加し、災害発生時における対処能力を向上させるとともに、自治体および各関係機関との連携強化を図っていく」としている。
<編集部より>
自衛隊を語る時、「最後の砦(とりで)」という言葉がよく使われます。大災害などが発生した際、被害の内容次第では自衛隊への応援要請となり、出動となります。人命救助や孤立集落での対応、物資輸送、給水・食料支援…などなど、その役割は多岐に渡るわけですが、そこには自衛隊が持つ人員、さまざまな装備を持つ絶対的な組織であること、何よりも普段から災害派遣活動を想定する日々の訓練を実施しているからにほかなりません。
自衛隊が頼りにされることはもちろん、素晴らしいことですが、災害対応の初動はまずは、地元自治体や警察、消防などが中心。こうした関係機関が全力で臨むわけですから、「最後の砦」たる自衛隊にとっては、現場で合流し、情報収集や共同作業などのためにも普段から関係機関とどれだけ緊密にコミュニケーションを取っているかが非常に重要となるわけです。
防衛日報の本日(10月3日付)2面トップで、山形県・長井市合同総合防災訓練に陸上自衛隊神町駐屯地20普連が参加した報告を扱いました。山形県によると、防災関係機関だけでなく、地域住民も参加し、防災に対する理解と意識の高揚を図るため、毎年、県内の各市を舞台に実施しているとのこと。今回は73機関、約700人が集合し、「震度6強の地震発生、建物倒壊で負傷者多数、ライフラインに甚大な被害」などを想定していました。
住民、関係機関それぞれに訓練参加の意図は違いますが、自衛隊にとっては現場でともに活動を続けたり、警察・消防が救助した人たちを運ぶこともあるでしょう。そのための情報収集はもちろんのこと、関係機関と迅速に、そして確実に行動し、お互いに確認し合うという「関係性」が救援活動では最も大事な要素です。
今回、参加した3科や4中隊の隊員たちは、収集した情報を本部へ伝達し、倒壊家屋からの救助活動を行いました。訓練は実際を想定したもの。現場は緊張感があふれていたことでしょう。緊迫感、切迫感をにじませながらの訓練の中、いかに冷静に効率よく動くため関係機関との日常的な連携がどれだけ大切なのかを、しっかりと再認識したという報告でした。
忘れていけないのは、自衛隊が出動するまでの間、国民の命を守るため必死に活動を続けた関係機関に対する敬意です。その労苦をリスペクトしながら、「あとは、われわれに任せて!」の崇高な気持ちを胸に、現場で国民の安心・安全のために輝いてほしいものだと思います。
他記事は防衛日報PDF版をご覧ください。