国産地対艦誘導弾「能力向上型」「潜水艦発射型」を量産

 防衛省は8月30日、令和7年度予算の概算要求を発表した。総額は過去最大の8兆5389億円で6年度当初予算と比べ10.5%増(SACO関係経費など除く)となった。「防衛力整備計画」3年度目となる7年度では、反撃能力(敵基地攻撃能力)に使用する長射程ミサイルの保有を本格化させるため、国産の12式地対艦誘導弾の射程を延ばす「能力向上型」(艦艇発射型)や潜水艦発射型誘導弾の量産に着手する。宇宙分野では、多数の小型の人工衛星を連携させる「衛星コンステレーション」を構築するほか、航空自衛隊が「航空宇宙自衛隊」に改称するのを見据え、監視や対処を担う「宇宙作戦団(仮称)」を新設する(写真は防衛省発表資料から)。

 令和9年度まで防衛力抜本的強化を進めるため、7年度は初の8兆円台に。

画像: ※SACO関係経費など除く(防衛省発表資料を基に作成)

※SACO関係経費など除く(防衛省発表資料を基に作成)

令和7年度概算要求 主なポイント

・国産スタンド・オフ・ミサイルの量産化
・「衛星コンステレーション」の構築
・空自の「宇宙作戦団」新設
・攻撃用ドローンなど導入
・自衛隊海上輸送群(仮称)で運用する輸送船舶の取得

国産ミサイルの量産化

 敵の射程圏外から対処可能な「スタンド・オフ防衛能力」の強化に向け、9700億円を要求。このうち、国産の12式地対艦誘導弾の能力向上型(艦艇発射型)の取得に170億円、潜水艦発射型誘導弾の量産に30億円をそれぞれ計上した。さらに音速の5倍以上の速度域で飛行する極超音速誘導弾の製造態勢の拡充に2569億円を求めた。

 また、多数の小型の人工衛星を連携させて一体的に運用する「衛星コンステレーション」の構築に3232億円を要求し、スタンド・オフ防衛能力に必要な目標の探知・追尾能力を保有する。民間活力導入(PFI方式)で運用する方針で、7年度から公募・契約を開始する。9年度末以降の本格運用を目指し、7年度末から順次、人工衛星の打ち上げを進める。

攻撃型無人機の導入

 戦場の革新的なゲームチェンジャーとなる無人機(ドローン)の導入に1032億円を求めた。P1哨戒機やP3C哨戒機の代替として滞空型UAVを取得し、洋上における情報収集や警戒監視を強化する。現在は機種選定中で、価格は未定。

→続きは防衛日報9月4日付PDFでご覧ください


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