教育内容は、防災講話、心肺蘇生、患者搬送、ロープワーク、避難訓練を実施し、災害時に必要な知識、技術を学んだ。
特に、防災講話では、実際に災害派遣で体験した話を聞くとともに、地域の特性を学習し、防災の重要性について理解を深めている様子だった。
体験した生徒たちからは、「自衛隊の災害派遣における活動に興味を持った」「AED(自動体外式除細動機器)の操作要領について理解できた」などの感想が聞かれた。
有田所は「今後も防災意識の向上に協力するとともに、自衛隊の任務や活動に対する理解を深めるため、積極的に防災教育を支援していく」としている。
<編集部より>
東日本大震災が発生した平成23年。その年の8月末から9月にかけて襲った台風12号による大雨では、和歌山県南部を中心に深層崩壊や土石流などの土砂災害が多数発生し、56人が犠牲となりました。「紀伊半島大水害」です(和歌山県まとめ)。
一方で、和歌山県は今後、東海、近畿、四国、九州地方の太平洋側を中心に予想される「南海トラフ大地震」でも、その範囲内に入るなど、防災に向けた取り組みが活発に行われています。県南部の学校を中心とした「防災スクール」など講話やさまざまな防災教育には、自衛隊も貢献しているところです。地域のための「防災ボランティア」を育成するシステムもあり、和歌山地本から寄せられる報告では地域をあげて防災意識の高さが表れている内容が多く見られます。
防衛日報の本日(7月2日付)1面でも取り上げました。地本有田募集案内所が「りら創造芸術高校」で実施した防災教育です。「災害時に役立つ知識や技術の習得」を目的に生徒たちが学んでいました。地本のコメントには「地域の特性を学習し、防災の重要性について理解を深めている様子だった」とあります。上記のように、和歌山県の特性を生徒たちも意識していたからだったように思います。
また、元日の能登半島地震もこうした意識をさらに向上させるきっかけとなりました。いざというとき、どれだけの行動や対応ができるのか―。とても重要な状況に直面したときのための準備をパワーアップさせなければならないのだということも、生徒一人ひとりが強く認識したことでしょう。能登の被災地で見る自衛隊の災害派遣活動も目に焼き付いています。そこには、災害と自衛隊とが一体となって映っているからこそ、「災害派遣活動に興味を持った」という感想につながったといえ、効果は大いにあったように思います。
もちろん、「災害列島」日本です。全国どこでも地震などの災害は起こり得ますが、より身近に感じている和歌山県のように「明日はわが身」として真剣に受け止める環境が行政を筆頭にしっかりとできているからこそ、自衛隊にとっても教育や体験などの支援にやりがいを感じることができるのだと思います。
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