10分の1モビリティ競技開催事業などを手掛けるC1株式会社(千葉県柏市、林佑樹・代表取締役)はFPV(一人称視点)システムを活用した防衛用無人機の操縦装置の開発に注力している。陸海空の各領域でゲームチェンジャーとなり得る存在が無人機だ。防衛省ではUAV(中域用)機能向上型や無人機雷排除システムの整備のほか、無人戦闘車両システムなどの研究を進めている。こうした無人機の技術者や操縦者の育成も重要な施策の一つだ。
自社開発した「C1 Cockpit」で無人機の操作技術向上へ
同社は無人機の技術者、操縦者の育成に活用できる操縦装置「C1 Cockpit(シーワンコックピット)」を開発。AR(拡張現実)グラスやVR(仮想現実)ゴーグルで車載カメラ映像を見ながら、10分の1のラジコンカーやドローン(クワッドコプター)を遠隔で操縦することができる。小さな機体を操作するのは実機よりも難しいことから、高い操作技術を身に付けることができるという。
C1 Cockpitは、ドライビングシミュレータのステアリングやスロットルペダル、ブレーキペダルのほか、フライトシミュレータの操縦かん、スロットルレバー、ラダーペダルといった実機同様の操作系で構成されている。
これに加えて、ドライバーの頭の向きに合わせて車載カメラが動くように、ドライバーの頭部にヘッドトラッキングモジュールを設置する。操縦の設定は専用ソフトで調整することができる。映像通信には業務用無線を使用しており、Wi-Fiなどのネット回線よりも遅延が少ないという。
国防を担う技術者・操縦者の育成に貢献したい
林氏は「競技用ラジコンカーは100キロのスピードが出る。実車換算だと1000キロにもなり、実車では難しい速度域のドライビングテクニックを磨くことができる」と話す。技術的には、同じC1 Cockpitの操縦機器の使い分けで、ドローンや水中ドローンも操作できる。今後は固定翼の航空機、戦車、船舶なども操作できるシステムを開発する予定で、用途はさらに広がりそうだ。
さらに林氏はロシアが軍事侵攻するウクライナ情勢を引き合いに、「ウクライナ軍の無人機の活躍はめざましいが、西側諸国から供給されるモノ(装備)に対し、ヒト(技術者・操縦者)がボトルネックとなっている。日本でも、モノも重要だが、ヒトの育成も必要不可欠だ」と訴える。その上で「日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しくなっている中、当社が開発した『C1 Cockpit』を活用して国防を担う技術者、操縦者の育成に貢献していきたい」と語った。
C1株式会社
製造基幹システムなどの技術経営コンサルティングのほか、10分の1モビリティによる競技「C1」の開催や関連機器の開発、製造、販売なども行っている。2025年国際博覧会(大阪・関西万博)に出展する予定で、1/10FPVカーでのスラローム走行の世界記録を狙う。
ホームページ=https://c1race.com/
本社所在地=千葉県柏市若柴178-4 柏の葉キャンパス148-2 6F▽電話・0471-14-2985
支社所在地=大阪府大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビルITM棟3F D-1▽電話・0471-14-2985