防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針の見直しを検討している自民、公明両党のワーキングチーム(WT)は12月1日、国会内で会合を開いた。前回に引き続き、現在輸出を認めている「救難」など5類型の拡大の是非についても協議したが、両党の溝は大きく、結論には至らなかった。さらに国際共同開発品の第三国輸出について、公明内で慎重意見が浮上。両党は年内のとりまとめを目指しているが、暗雲が立ち込めてきた。

議論続く5類型
 現行の運用指針では輸出可能な分野を「救難・輸送・警戒・監視・掃海」の5類型に限定。7月にまとめた論点整理では、現行制度上も安全保障協力がある国への輸出は、5類型に該当すれば殺傷能力のある武器搭載が可能であると「意見が一致」とした。だが、5類型を撤廃したい自民と、「教育訓練」「地雷処理」「ドローン対処」の追加の輸出緩和で対応したい公明で、平行線をたどっている。

 会合に出席した自民党議員は「ある程度の妥協もやむなしだが、まずは5類型撤廃だ。それがわれわれの存在意義だ」と強調する。さらに続けて「5類型だけ積み残し、年内にとりまとめる可能性もある」と示唆。

公明の石井幹事長の発言が波紋
 これに加えて、公明党の石井啓一幹事長の発言が波紋を広げた。1日の記者会見で、日本が他国と共同開発する防衛装備品の第三国への輸出について「完成品を輸出することはこれまでの在り方を大きくはみ出す。慎重であるべきだ」と主張した。

 WTでは日英伊の3カ国で共同開発する次期戦闘機を年頭に、国際共同開発の第三国への輸出は大筋で合意していたが、石井氏の発言はこれまでの議論に水を差す行為だ。今回の会合では、石井氏の発言で与党内でのハレーションを起こさないために議題には上げなかったとみられる。 

 3カ国は来年中に政府間組織を設立する予定で、設立のための関連条約を今年中に締結する方針だ。こうした中で、両党のWT関係者は日英伊3カ国の調整を控え、「年内には一致したい」との思惑がある。

 「議論は前へ進むのか、後退するのか」―。WTのメンバーがどれだけ公明党上層部を説得できるかがカギを握る。未来志向で議論をしなければ次期戦闘機の共同開発は日本だけが不利な状況に陥ってしまう。

撮影は全て防衛日報社


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