講話は、今年度から学校で取り組んでいる「世界規模の課題の解決と国際協力~課題を乗り越え世界の人々と共に生きる」を学習するにあたり、日本の国際貢献(国境なき医師団・各種NGOなど)のさらなる理解のため、自衛隊のPKOを学ばせたいとの学校側の意向によるもの。
当日、授業が始まると、児童たちは自衛官の姿に少し緊張した面持ちだったが、自衛隊の概要、UNMISS(南スーダンPKO)などの活動の説明や動画を見て、次第にノートに筆記を始めるなど、真剣に勉強する姿が見られた。
講話の最後には「『南極の氷』に直に触れよう」と、サプライズで氷を取り出すと児童たちは大興奮。列を作って氷に触ったり、溶ける際のプチプチした音に耳を傾けたりするなど、神秘的な南極の氷に対して皆、興味津々だった。
講話終了後、児童たちが時間いっぱいまで熱心に質問をする姿が見られるとともに、教員からも温かい感謝の言葉があるなど、講話に手応えを強く感じた。
豊島所は「今後も小学校をはじめ、中・高・大学や専門学校などからのニーズに応え、自衛隊に対する理解向上のために、あらゆる機会を活用して募集・広報に全力を尽くしていく」としている。
<編集部より>
本日1面は、「明日の自衛隊」を支えてくれるかもしれない(支えてほしい)小学生を対象にした3つのイベントをまとめてトップ記事として掲載しました。その中で特に紹介したいのは、東京地本豊島出張所の報告。東京都新宿区立西谷小学校からの依頼から始まった内容です。
「日本の国際貢献を学ばせたい」として、数多くある国際貢献の中から6年生の児童のために選んでくれたのが「自衛隊のPKO活動」でした。防衛省・自衛隊の広報紙として位置づけさせていただいている防衛日報として、こんなにうれしいことはありません。なぜなら、学校側が自衛隊の活動や存在意義、役割などに一定の理解を示している証しともいえるからです。一昔前(たとえば、自分の小学生時代とか)なら、なかなか実現しなかった自衛隊の「出張講話」、それも関心度、理解度などを考えても小学校に出向くことは恐らくないに等しかったのではないかと推察されるからこそ、喜ばしいことだと思うのです。
今はデジタル全盛時代。至るところから情報を得られる時代でもあります。ただ、情報過多になると、大人でも一つひとつの事象をしっかりと把握して理解するのが難しくなるため、どうしても表面的にとらえがちです。
小学6年生といえば、「大人への階段」に足を付け始める年頃。なかには背伸びをしたがる子供もいるとは思いますが、そこはまだ6年生。本物の自衛官から教えられるさまざまなこと、海外の状況、自衛隊がどんな活躍をしているのか、などなど、これまではあまり聞いたことがなかったでしょうから、説得力は増すばかりです。何と言っても、「先生」は自衛官ですから。
小学校への広報活動は、どちらかといえば体験ものが多いのは当然です。むずかしい話よりは、「実際にやってみる」的なものが受け入れてくれやすいでしょう。それはそれでいいと思いますが、小学校高学年となれば、真摯(しんし)に話を伝えることでしっかりと受け止めてくれる世代ではないかと思うのです。こうした意味で「講話型」もまたよしです。
最後に「南極の氷」に直に触れるなど、小学生相手らしい要素を加えたことにも拍手です。趣向を凝らす広報活動へ、さらなる奮闘を期待したいと思います。
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