三菱重工業(本社・東京都千代田区)は11月22日、防衛事業に関する説明会を開いた。日本の防衛費が令和5年度からの5年間で総額43兆円程度となる中、同社は敵地攻撃能力を担う「スタンド・オフ・ミサイル」や日英伊の3カ国で共同開発する次期戦闘機などを含めた年間売り上げを8年度までに1兆円規模にすると発表した。事業拡大に伴い、設備投資や研究開発に積極的に投資していく。
安保3文書の一つである「防衛力整備計画」では防衛費を令和9年度までに43兆円程度とした。これに伴い、三菱重工の年間売り上げを、これまでの2倍となる1兆円規模に押し上げる方針を示した。防衛省の新たな防衛産業政策を活用して利益率を従来の7.7%から最大10%を確保する。
同社では防衛省が進める統合防空ミサイル防衛能力や無人アセット防衛能力など7つの重点分野などに注力する。このうち、スタンド・オフ防衛能力では、反撃能力の主力装備となる長距離ミサイルシステムの量産・開発を3781億円で受注した。こうした中で、同社の防衛事業の6年3月期受注高は過去最高の8000億~8500億円を見込む。
同社の執行役員で防衛・宇宙セグメント長の江口雅之氏は防衛省の令和6年度概算要求予算案に触れ「スタンド・オフ・ミサイルや次期戦闘機の共同開発、艦艇、特殊車両など当社に関係する事業が満遍なく盛り込まれている。今年度もそうだが、来年度も受注金額は1兆円を超えそうだ」と期待を寄せる。
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