ジブチの自衛隊の拠点で、スーダンから退避した邦人の支援にあたる武井外務副大臣(右端、外務省提供)

45人がC2輸送機でジブチへ
政府残りの在留者退避へ全力

 戦闘が激化しているアフリカ北東部スーダンの在留邦人退避のため、4月21日から22日にかけて航空自衛隊のC130輸送機とC2輸送機、KC767空中給油輸送機の3機が周辺国のアフリカ東部・ジブチに向けて出発し、23日に到着した。現地で待機し、情勢を見極めていたが、岸田文雄首相が24日夜、邦人とその家族計45人がC2輸送機で退避したほか、フランスや国際赤十字の協力などで計4人がジブチやエチオピアに出国したことを明らかにした。首相によると、スーダンには残り数人が在留しているとみられ、政府は早期退避に向けて全力を挙げる。

 政府はジブチで業務にあたるため、武井俊輔外務副大臣を現地に派遣し、対応を検討。ジブチに到着していた3機の自衛隊機は同国内の自衛隊拠点で待機していた。

 その後、C2輸送機をスーダン東部のポートスーダンに移動させて待機。岸田首相によると、邦人45人を乗せてジブチへ輸送したという。

 首相官邸ホームページによると、岸田首相は「危険かつ困難な状況の中、成功裏に邦人退避を遂行した大使館や自衛隊をはじめとした関係者の努力への敬意と感謝を申し上げたい」と述べた。今後、退避した邦人らの帰国に向けた調整を行うなど、必要な支援を行うとしている。現地での自衛隊機の輸送については、松野博一官房長官が24日の記者会見で、活動を開始することを発表していた。

 スーダンでは正規軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の衝突で多数の死傷者が出ているとみられる。

 海外での自衛隊機による邦人退避は2021年(令和3)8月のアフガニスタン情勢の悪化に伴い、C130輸送機が同国から邦人を含む15人を輸送して以来。

 自衛隊機の派遣については、松野官房長官が4月19日の臨時会見で自衛隊機派遣の準備に入ったことを明らかにし、防衛省・自衛隊が20日、先遣隊として連絡調整員5人をジブチに派遣した。

 林芳正外務大臣が自衛隊法に基づき、輸送に必要な準備を浜田大臣に要請し、浜田大臣が20日、自衛隊に対し、在留邦人の国外退避に向けてジブチに自衛隊機を派遣し、待機するよう命じた。

 これを受けて、防衛省・自衛隊は、航空支援集団司令官の森川空将を指揮官とした統合任務部隊(隊員約370人)を編成。ソマリア沖・アデン湾で海賊対処にあたる自衛隊の拠点があるジブチへの派遣を決めた。

<編集部より>

 1面ではアフリカ北東部スーダンの邦人退避に向けて派遣された自衛隊の活動を大きく取り上げました。自衛隊の拠点がある周辺国のジブチをベースに、スーダン東部の都市で邦人らを保護し、ジブチに輸送して無事退避。直接、任務を遂行したのはC2輸送機でしたが、現地にはC130輸送機なども派遣され、連携しながらバックアップを含め、万全の態勢を取ったようです。岸田文雄首相が自衛隊などに対する敬意と感謝の言葉を述べていましたので、その部分も併せて掲載しました。

 国民のため、国民保護のため、そして現地の人たちのため、自衛隊は世界各地で活動を展開しています。今回のベース地であるジブチでも隊員が日夜、奮闘しています。まだまだ知られていないこともありますので、防衛日報社は引き続き国内のさまざまな活動をメインに、今回のような海外任務などがあれば可能な限り伝えていきたいと思います。

続きはPDFにて防衛日報をご覧ください。

→防衛日報4月26日付PDF


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