日本を護る心構え 若者たちの不安と向き合う
入隊・入校予定者に向けたイベントが各地で実施されている。これから日本を護(まも)るための厳しい訓練が待ち構えている。不安を払拭(ふっしょく)して安心感を与え、一方で入隊・入校意欲のさらなる向上を図るのも地本の活動の一つだ。この時期ならではの地本の趣向を凝らした奮闘ぶりをまとめた。
「家族みたいな同期と出会えた」
ヘリ体験搭乗&女性自衛官と懇談|沖縄地本
【2023年2月24日(金)1面】 沖縄地本(本部長・久保陸将補)は2月5日、空自那覇基地で空自那覇ヘリコプター空輸隊の支援を受け、空自大型輸送機「CH47J」の体験搭乗や空自採用予定者(女性)に対しての懇談を行った。参加者に対し、自衛隊の魅力のPRや入隊希望者の不安を解消することが目的。参加者は、自衛隊を希望する学生、社会人や協力者ら21人と沖縄地本広報大使の中沢初絵さん。
当日の天候は曇り。参加者は那覇ヘリコプター空輸隊から安全説明を受けた後、機体に乗り込み、ヘリの振動と音の大きさに驚きながらも、旅客機と違う低空飛行の上空景色を楽しんでいる様子だった。
搭乗後は、F15戦闘機や消防車両を見学。隊員から装備品展示の説明を受けた空自採用予定者からは、「航空機に携わる仕事がしたいと思い、空自に入隊を決めました。搭乗員の方にいろいろな話を聞き、勉強になり航空機整備を目指して頑張ります」などの声があった。
広報大使の中沢さんからは、「ヘリの体験搭乗は、3回目のリベンジで体験できました。専守防衛の仕事、パイロットや整備士の皆さんにいろいろ見せてもらいました。命を懸けて日本国を防衛する大切なお仕事に感謝しかありません」との感想があった。
次に、子育て中の隊員から入隊2年目の隊員まで幅広い年齢層の女性自衛官と懇談。終始リラックスした様子で話が進んでいった。沖縄地本募集課の岡村2空曹からは、教育隊の班長経験を生かし、入隊携行資料などを基に入隊後の教育や職種、ライフプランなどを説明。また、着用しているTシャツや服装などの細部まで丁寧に説明した。
島尻分駐所臨時勤務の比嘉空士長は、自身の教育隊の様子や部隊配属後を説明。「2年前、私も皆さんと一緒で女性自衛官との懇談を受けたのを思い出しました。実際、教育隊に入隊すると本当にやっていけるか不安でしたが、過ごしていく上で家族みたいな同期に出会いました。やめたいと思ったことはありましたが、同期に支えられて卒業し、今は楽しく過ごしています。皆さんも楽しいことが待っています」と参加者を応援した。
参加者からは、「持ち物や注意点などを事細かに説明してもらったので、教育隊へ入隊する不安の気持ちが少し解消しました」「職種・進路のイメージが広がりました」などの感想があった。また、参加者間での連絡先の交換を行い、「入隊まで情報共有してお互いに頑張ろうね」と励まし合っていた。
沖縄地本は「今後も一人でも多くの募集対象者が自衛官に志願したくなるようなイベントや自衛官を希望する学生ら間のコミュニケーションを促進し、不安や悩みを解消できるような幅広い募集広報に取り組んでいく」としている。
「詳細でマニアックな体験は貴重」
特別航空輸送隊&千歳管制隊を研修|帯広地本
【2023年2月24日(金)1面】 帯広地本(本部長・内山1陸佐)は2月4日、空自千歳基地に所在する特別航空輸送隊(司令・山田1空佐)、千歳管制隊(隊長・江頭2空佐)の支援を受け部隊研修を実施、十勝・北見・網走・根室地区から集まった空自入隊予定者ら10人が参加した。
参加者は、特別航空輸送隊で部隊の全般説明実施後、特別輸送機「B777-300ER型」のコックピットや運航クルー室など、普段「見られない」「体験できない」研修を受けた。
特別航空輸送隊で勤務している先輩隊員との懇談では、入隊後の生活や勤務での体験談など、談笑を交えながら和やかな雰囲気で行われ、参加者は興味深く聞き入っていた。
また、千歳基地にある特別航空輸送隊本部庁舎では、客室乗務員の体験実習やメーク指導(女性のみ)、実際の航空服などを試着させてもらい、記念写真を撮るなど参加者は大いに盛り上がっていた。
次に、空自千歳飛行場と新千歳空港の間に位置する管制塔に移動。千歳管制隊を研修し、普段目にすることのないタワーコンソール、ラプコン(レーダー進入管制)装置や実際に航空機のパイロットと管制員との無線でのやりとりを見聞きした。
参加者からは、「今までの自衛隊イベントの中で、今回のような詳細でマニアックな体験は貴重で
した」「希望している特別航空輸送隊についての説明や情報が満載のイベントでとても楽しかった」など、入隊前の不安を払拭できたイベントとなった。
帯広地本は「入隊に向けて、全力でフォローをするとともに、対象者やその保護者の不安が少しでも払拭されるようなイベントを今後も企画していく」としている。