【2022年9月9日(金)1面】 令和3年度の自衛官の募集や退職自衛官の再就職支援などで顕著な功績があったとして、「第1級賞状」を授与された3つの地本のうち、奈良地本の広瀬本部長(事務官)=写真(左)=がこのほど、防衛日報社の書面による取材に応じた。同地本の賞状受賞は平成22年度の第2級賞状以来11年ぶりで、第1級賞状の受賞は初めてだった。マスコットキャラクターを使ったSNSによるユニークな発信などを積極的に展開。駐屯地がない奈良県にあって、自衛隊への認知や理解に向けて工夫を凝らした活動を続けている広報官たちの奮闘ぶりなどを語ってくれた。
全国で唯一、駐屯地なし 不利な条件跳ね返して
全50地本長が一堂に会した「全国地本長等会議」(6月27、28日、防衛省)を経て、令和3年度の「優秀地本」が7月に入って決定。自衛官の募集や退職自衛官の再就職援護、予備自衛官業務などで顕著な功績があり、同27日に第1級賞状を授与されたのは、奈良、岩手、愛知の3地本だった。
その中で、奈良は47都道府県のうち唯一、陸自の駐屯地がない県。災害も少ない一方、自衛隊の活動を認知してもらいにくい県という。
そんな中でも、奈良地本は令和2年度の入校・入隊者が89人だったのに対し、3年度は106人と、対前年度17人増(19%増)の人材を確保。広瀬本部長は「こうした功績などが評価されたのではないか」と分析する。
令和3年8月に着任した広瀬本部長は、昨年度の募集活動で特に力を入れたポイントとして、「高校の進路指導担当教諭には、学校訪問、各種説明会、各種イベントなどを通じて、自衛隊を職業選択の一つとして、やりがいなどについて認識してもらい、数多くの方々を入隊させることができた」と、学校などの組織的な募集がうまくいったことを挙げた。
広瀬本部長はいう。「認知度が低いので、数多くの方々に入校・入隊していただくことは容易ではないが、一人ひとりに丁寧にきめ細かな対応をしていきたい」
6月の全国地本長等会議では、少子・高学歴化の進展や企業による大学生の採用活動の早期化など、募集環境の厳しさが報告された。令和4年度も志願者の確保は難しくなることが予想される。
今年度も受賞目指して-「可能な人材、そろっている」
広瀬本部長は、「今年度も受賞できるよう頑張っていきたい。それが可能な人材もそろっていると自負している。各関連団体からの支援に応えるような結果を出さなければならない」と改めて意気込みを語った。
マスコットキャラクター広報が好評 しかくん3兄弟を「よろシカ!」
奈良といえば、「奈良公園の鹿」はあまりにも有名。奈良地本では、その密接な関係を生かしたマスコットキャラクター「りくしかくん(陸=長男)」、「うみしかくん(海=次男)」、「そらしかくん(空=三男)」の「3兄弟」をフルに活用している。
地本ホームページによると、りくしかくんたちは、広報イベントやさまざまな場所で活動した情報を「活動日誌」として地本公式ツイッターで紹介。つぶやきの文章の最後は、「フォロー、よろシカ!」など、「…シカ」で締めている。柔らかでユニークな内容と「口癖」と表記される最後のくだりも相まって、好評を博しているという。