1日で一挙見学 ~参加者の姿を追った~
【2022年6月10日(金)1面】 令和4年度の募集が各地で本格化する中、沖縄地本(本部長・坂田陸将補)は5月14日、自衛官を希望する沖縄県内の高校生らによる在沖縄自衛隊の部隊研修をスタートさせ、その1回目として在沖陸海空自を1日で見学できる研修を実施した。地本の今年度のコンセプトは、「自衛隊を実際に見て、聞いて、知ってもらいたい」。現場で勤務する隊員の姿や自衛隊の魅力を十分に知ってもらい、入隊希望者をさらに確保するのが目的だ。3自を一挙に見学した参加者たちの姿を追った。
この日は、陸自15旅団、空自那覇基地、海自5航空群の研修を実施した。参加者は、入隊希望者ら31人。
【陸自】装備説明に聞き入る
参加者は、感染防止対策の説明などを受けてマイクロバスに乗車し、午前中は15旅団を見学した。到着後、個人用装具を体験。約30キロの重さの背のうを担ぎ、初めて体験する重さに「これを担いで歩くのですか」と隊員に質問。「訓練を重ねることにより、身体も順応していきます」と隊員も経験談を交えながら答えていた。
終了後は、15施設隊が所有する車両・築城建設機材や15後方支援隊の野外用手術システム・整備工場などを見学。15施設隊所属の女性自衛官の小隊長は、自衛官候補生から幹部任官の経験談を交え、「学生時代は運動も経験せず、24歳で入隊して不安だったが、若い同期と一緒にいると、頑張る気持ちが湧いてくる。皆さんも大丈夫ですよ」との話に真剣に耳を傾けていた。
この後、81式短距離地対空誘導弾、中距離多目的誘導弾、野外通信システム、化学防護車、87式偵察警戒車など陸自の多種多様な装備の説明を目を輝かせて聞き入り、写真撮影を行っていた。その後、体験喫食も実施し、「ボリュームがあり、おいしい」「専属の栄養士がいるのに驚きました」などの感想があった。
【空自】飛行、救難、消防を研修
体験喫食後は、那覇基地に移動。3個グループに分かれ、飛行隊(F15J戦闘機)、那覇救難隊(UH60J救難ヘリコプター)、消防隊を見学した。F15J戦闘機パイロットから操縦席の説明を受けた参加者は驚きながらも、格好良さに興奮していた。
那覇救難隊では、UH60JやU125A救難捜索機の研修を行った。関連する器材などの救難員の活動の説明に、参加者は真剣に耳を傾けていた。
消防隊見学では、防護衣の着衣見学や消防車の放水体験などが行われた。「消防車は、公道でも走れますか」「消防車は、どのぐらいの水量が排出されますか」など、参加者は消防車のスケールの大きさに驚いていた。
【海自】P3C哨戒機を見学
最後は、5航空群に移動し、概要説明、P3C哨戒機見学やビデオ鑑賞を実施した。P3C哨戒機見学では、「飛行機のアンテナは、どんな時に使用するのですか」「飛行機の整備は、誰が行うのですか」などの質問をしていた。
体験喫食からは、沖縄地本広報大使の中沢初絵さんも研修に参加し、参加者と交流。「栄養士が管理している食事のバランスやおいしさなどに驚きました。F15の操縦席を見学し、パイロットの過酷な任務や訓練の説明を受けました。知らなかった自衛隊の活動やその姿を知り、伝えたい。自分なりに発信し、人生ラストまで、出会いと学びです」と述べた。
沖縄地本は「今回の研修は、各自とも積極的に準備してもらい、今後の自衛隊を目指す参加者への参考になったと感じた。今後も一人でも多くの募集対象者が自衛官に志願したくなるようなイベントの企画・実行に努めていく」としている。