バイデン大統領も強い支持
【2022年5月27日(金)1面】 岸田文雄首相は5月23日、来日中の米国のバイデン大統領と東京・元赤坂の迎賓館で会談後、共同記者会見に臨み、冒頭、「地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、バイデン氏と日米同盟の抑止力・対処力を早急に強化する必要があることを再確認した」と述べた。また、防衛力の抜本的な強化に向け、バイデン氏に「防衛費の相当な増額を確保する」との決意を伝え、バイデン氏が歓迎したことを明らかにした。
「日米同盟の抑止力・対処力を早急に強化する必要がある」
首相官邸ホームページなどによると、首相は今回の日米首脳会談が(1)ロシアによるウクライナ侵略で、今ほど同盟国や同志国の結束が求められているときはない(2)インド太平洋地域の平和と繁栄をいかに確保していくかという課題こそ、日米が主導的役割を果たしていくことが求められている-の2つの意味で「これまでになく重要であると考えている」と強調した。
また、中国について「最近の中国海軍の活動や、中露両国による共同軍事演習などの動向を注視する」などとし、引き続き日米で緊密に連携していくことなどで一致。台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促した。北朝鮮については、日米、日米韓で一層緊密に連携していくことを確認したという。
こうした地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、首相は、「日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏づけとなる防衛費の相当な増額を確保する決意を表明し、バイデン大統領からは、これに対する強い支持をいただいた。また、日米で安全保障・防衛協力を拡大、深化させていくことで一致した」と述べた。
一方、バイデン氏によるインド太平洋経済枠組みの立ち上げについて「日本は参加し、協力する。その上で、戦略的な観点から、米国がTPP(環太平洋パートナーシップ)に復帰することを期待している」と語った。
岸大臣「スピード感をもって取り組む」
日米首脳会談で岸田首相が防衛費の相当の増額など、改めて防衛力の強化を表明したことについて、岸信夫防衛大臣は5月24日の閣議後会見で、「日米同盟の抑止力・対処力を早急に強化していくことで一致したと承知している」と述べた。
その上で、大臣は「今回の首脳会談や先般の日米『2+2』、日米防衛相会談などの成果を、新たな『国家安全保障戦略』などの策定、わが国の防衛力の抜本的強化の議論に生かしていくとともに、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化に向けて、スピード感をもって取り組む」と強調した。
また、米バイデン大統領が中国が武力で台湾統一を図ろうとした場合に、軍事的に関与する考えを示した発言について問われ、「国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定は、日本の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要。今後とも、米国を始めとする同盟国・同志国と緊密に連携しながら、両岸関係の推移を注視していく」と述べた。