「任務第一の教育目指して」
【2022年5月19日(木)2面】 <京都>福知山駐7普連(連隊長・前野1陸佐)は、令和4年度師団集合教育「レンジャー」養成教育の中でこのほど、兵庫県丹波市春日町にある三尾山(みつおさん)山岳訓練を実施した。三尾山の山岳訓練は昭和34年から行われている。レンジャー隊員の山地潜入任務で必要な各種登はん、懸垂下降、患者搬送などの山岳技術を実際の岩山で練成する総合訓練だ。
訓練で教官、助教は「君たち全員が任務に必要な技術をできるようにすることがわれわれの仕事。できないものはできないとハッキリ言うように。何回でも、できるまでやろう」と述べ、危険を伴う訓練で、練度に対して妥協しない意志を示していた。
三尾山での訓練の前に、駐屯地のレンジャー訓練塔やコンクリートの登はん訓練場で基礎的な訓練を行ってきた。しかし、人工で条件が整えられた訓練場と、三尾山の本物の岩場とでは、格段に難しさが増す。自分の体格や技術レベルなどを考慮し、岸壁をしっかり観察して、自分で答えを導かなければならない。不規則な天然の岩肌に、初日は戸惑う隊員の姿がみられた。
訓練が進むにつれ、中には練度未達成の隊員がいた。しかし、教官、助教の宣言どおり、そのレンジャー学生は、何度も根気よく繰り返し挑戦。その日はできなくても、次の日には課題を達成していた。今後の想定訓練で任務を完遂するためには、今、確実に必要な練度に達することが重要となる。
7普連のレンジャー教育は近年、任務遂行能力の向上を唯一の目的とし、「任務第一」の教育に挑戦している。「任務が試練を与え、任務完遂することで学生が成長し、部隊が強くなる」という考えの下、教官、助教は一丸となり、より科学的で、より任務に対して効果的な指導を追求してきた。
「偏った根性より困難な任務を完遂できる能力と使命感」
これにより、山岳訓練のレベルが上がり、安全能力も向上している。「偏った根性はなくたっていい。困難な任務を完遂できる能力と使命感があれば」と助教。
これまで人生で経験したことのない濃密な訓練の数カ月を過ごしている彼ら。頼れる仲間とともに、自らの意志で任務を完遂できる、真に戦えるレンジャー隊員と戦闘隊となるべく教育は続いている。