岸大臣、防衛力の抜本的強化伝える
日米双方の戦略すり合わせることで一致

 【2022年5月12日(木)1面】 防衛省は5月5日、訪米中の岸信夫防衛大臣とオースティン米国防長官との日米防衛相会談の概要を発表した。

 会談は、同4日午前11時10分(現地時間)から米国防省で約75分間にわたって行われ、両閣僚は、ウクライナへの支援の継続や中国、北朝鮮への対処の連携強化などを共有した。

 また、岸大臣は国家安全保障戦略などをめぐり防衛力を抜本的に強化する考えを伝え、日米双方の戦略をすり合わせていくことで一致した。

 防衛省は公式ツイッターで、「同盟の抑止力・対処力の強化に向けた取り組みを速やかに具体化するとともに、二国間の取り組みがますます重要であるという認識を共有した」としている。

会談要旨

 防衛省が発表した岸大臣とオースティン米国防長官との会談の主な内容は次の通り。

 ■地域情勢など

 ○ロシアによるウクライナ侵略は断じて容認できず、引き続き、日米が連携し、ウクライナへできる限りの支援を継続していくことを確認した。オースティン長官は、ウクライナへの支援で日本が発揮しているリーダーシップに謝意を述べた。

 ○東シナ海・南シナ海における威圧的な行動など、インド太平洋地域における中国の最近の行動について議論。インド太平洋地域における力による一方的な現状変更を許容しないことを決意し、これを抑止し、必要であれば対処するために連携を強化していくことを確認した。

 ○オースティン長官は、尖閣諸島は日本の施政下にある領域であり、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されること、尖閣諸島の現状変更を試みる、または、日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する旨を表明した。

 ○台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて強調した。

 ○北朝鮮による度重なる弾道ミサイル発射や核開発などは、地域と国際社会の平和と安定に対する深刻な脅威であり、断じて容認できない。北朝鮮の挑発行動に対しては、日米、日米韓で緊密に連携していくことを確認した。

 ○豪州、インド、東南アジア、太平洋島嶼(とうしょ)国および欧州諸国といった地域内外のパートナー国との防衛協力を強化していくことで一致した。

 ■日米防衛協力

 ○急速に厳しさを増す安全保障環境の中、今年1月の「2+2」においても確認した日米同盟の抑止力・対処力の強化に向けた取り組みを速やかに具体化していくことで一致した。

 ○岸大臣は、「国家安全保障戦略」などの策定を通じた、日本の防衛力の抜本的強化に対する断固たる決意を述べた。オースティン長官は歓迎するとともに、双方の戦略を緊密な協議を通じて擦すり合わせていくことを確認した。

 ○オースティン長官は、日本に対する核を含めた米国の拡大抑止のコミットメントは揺るぎないものである旨を述べた。岸大臣は、現下の国際情勢において核抑止が信頼でき、強靱(きょうじん)な ものであり続けるためのあらゆるレベルでの二国間の取り組みが従来にも増して重要である旨を述べ、認識を共有した。

 ○日米防衛協力の基盤である情報保全・サイバーセキュリティーの重要性を確認するとともに、その強化に取り組んでいくことで一致した。

 ○同盟の技術的優位性を確保するため、極超音速技術に対抗するための技術を含め、装備・技術分野での協力をさらに深化させることで一致した。

 ■米軍再編/在日米軍

 ○普天間飛行場の辺野古移設および馬毛島の施設整備を含む米軍再編計画のこれまでの取り組みを歓迎するとともに、今後の着実な進展のため、引き続き日米で緊密に協力していくことで一致した。

 ○日米双方が引き続き緊密に連携し、今年、本土復帰50周年を迎える沖縄の負担軽減について、協力を一層加速させていくことの重要性を共有した。


◆関連リンク
防衛省・自衛隊
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